電子処方箋、「一番混乱するのは患者さん」

2020年7月9日厚労省・医療保険部会

 2022年開始予定の電子処方箋について、薬剤師の代表から「一番混乱するのは患者さん」との声が出ている。病院の医師は「処方箋を二重に受け取れない技術は確定しているのか」とセキュリティ上の欠陥を危惧しており、課題が山積している。(新井裕充)

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 厚生労働省は7月9日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)をオンライン形式で開催し、「データヘルスの集中改革プラン」を中心に審議した。

 「集中改革プラン」では、「3つのACTIONを今後2年間で集中的に実行する」とし、①全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大、②電子処方箋の仕組みの構築、③自身の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大──を挙げている。

 同日の会合で厚労省の担当者は、マイナンバーカードを健康保険証にする意向を示した上で、電子処方箋の仕組みについて「令和4年夏をめどに運用を開始する」と説明した。

 厚労省の担当者は、これにより「リアルタイムで処方情報を共有できる」とし、「薬局における処方箋情報の入力の負担の軽減が図られるとともに、患者さんも紙ではなくオンラインで情報を得ることができるメリットがある」と期待を込めた。

■ 患者さんに十分周知してほしい

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 これに対し、会議に参加している委員から「過剰投薬や重複受診をなくしていくためにも、患者本人の同意にかかわらず、原則、医師が患者の投薬履歴を管理・把握できるということが必要と考えるので、ぜひ進めていただきたい」と歓迎する声が上がったが、セキュリティ上の欠陥を危惧する発言もあった。

 高齢患者を多く抱える病院の医師は、多くの情報が入っているマイナンバーカードを持ち歩くことについて「なかなか、まだ抵抗がある方が多いと思う」と明かし、処方箋を二重に受け取れるようなリスクも挙げた。

 薬剤師や薬局を代表する立場の委員は「薬局でのシステム改修など、さまざまなことが必要になる」と指摘し、「インフラを整備するにあたり十分な支援を頂きたい」と要望。また、紙の処方箋が発行されないことについて「一番混乱するのは患者さんではないか」と懸念し、「患者さんに十分周知してほしい」と求めた。

■ どこに利益が生まれ、誰が利益を得るのか

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 電子処方箋のベースとなる情報管理システムについて、「本質とずれていくことに大変危惧を覚える」と、くぎを刺す意見もあった。

 厚労省が示したプランによると、「民間PHR事業者等」が絡み、いつもの構図が透けて見える。
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11抜粋_【資料3】データヘルスの検討状況について_20200709医療保険部会
                      同日の資料3「データヘルスの検討状況について」のP11を基に作成
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 こうした“ビジネスモデル”について、「どこに利益が生まれているのか、誰が利益を得るのか」との声もあった。

 会議の委員は「コストもかなり掛かると思う」と指摘し、「一体、国民にとって、どこにメリットが出るのか、もっと分かりやすく提示していかなければ理解は得られないのではないか」と述べた。

 厚労省担当者の説明や質疑の模様は、以下のとおり。

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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 (前略) それでは次に、「データヘルスの検討状況について」を議題といたします。事務局から資料がありますので、説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 はい、医療介護連携政策課長でございます。資料3、「データヘルスの検討状況」につきまして、ご説明をさせていただきます。

 前回の医療保険部会で、健康・医療・介護情報の利活用検討会の検討状況について、ご説明を差し上げましたが、それの、いわゆる「続き」ということと、

 また、昨年の12月にさせていただきました「オンライン資格確認等システム」の構築に向けての、今、検討状況について、ご説明をさせていただきたいと思っております。
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 1ページをおめくりください。

 今年の6月に公布されましたけれども、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」の中に、「医療・介護のデータ基盤の整備の推進」、

 これは介護保険法の改正がありまして、その介護保険法での介護のデータ基盤の整備の推進の中に、社会保険診療報酬支払基金の医療機関の業務としまして、「オンライン資格確認の実施に必要な物品の調達・提供の業務を追加する」ということが入っておりまして、これが、おかげさまで成立をしたということでございます。

 (中略)


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 続いて、経済財政諮問会議で加藤厚生労働大臣が発表した「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プラン」ということで、4ページ以降、説明をさせていただきたいと思います。

 「データヘルス集中改革プラン」としまして、オンライン資格確認等システムやマイナンバー制度などの既存のインフラを最大限活用して、令和3年に必要な法制上の対応を行った上で、令和4年度中に運用したいというようなプラン、運用したいということで、

 「ACTION1」「ACTION2」「ACTION3」ということで、3つの「ACTION」ということで、今後2年間、集中的に実行するという内容を提案させていただきました。

 まず「ACTION1」なんですけれども、前回の医療保険部会でも説明したとおりなんですけれども、全国で医療情報を確認できる、そういった仕組みをつくって令和4年夏をめどに運用を開始したいというものでございます。

 次に「ACTION2」は、電子処方箋の仕組みを令和4年夏をめどに運用を開始するということで考えております。

 そして「ACTION3」は、自分自身の保険医療情報を活用できる仕組みの活用ということで、これも令和4年度早期から順次拡大し、運用するということを考えております。
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 具体的にどういう内容かっていうことにつきまして、ページ飛びますけれども、7ページをご覧いただきたいと思います。

 まず「ACTION1」の、医療情報を患者や全国の医療機関等で確認できる仕組みということでございます。

 真ん中の絵にありますけれども、今、私どもが支払基金さん、また各、全保険者さんと一緒になって構築をさせていただいております、オンライン資格確認等システム。

 これは個人単位の被保険番号、また、どの保険者に入っているかっていう資格情報、医療費、薬剤情報、そして特定健診の情報が1人ひとりの個人被保険者番号と1対1対応で管理されることになります。

 これに加えまして、レセプトや診療報酬の明細書にあるような情報としまして、手術の情報、また移植の情報、透析とかの情報、さらに、どこの医療機関でやったのかっていう情報も付け加えまして、

 例えば、その情報から自分がマイナンバーカードで自分のマイナポータルで見たいということであれば、それが見られるような仕組みをつくる。

 さらに、ご自身がマイナンバーカードで主治医の先生、また自分が通ってる薬局のほうで見てくださいっていうことで見るというような仕組みを構築するというものでございます。

 実際にこれ、モデル事業をやっておりまして、医師・薬剤師、また救急の現場でですね、これらの情報によって、どう医療の現場でなったのかっていうのが、それぞれのコメントというか、感想というかが書いてありまして、これは説明省略しますが、「参考資料2─2」で、そういったことが書かれているということでございます。

 で、この仕組みをどのように進めていくかということなんですけれども、実際には医政局のほうで検討して具体化していくということでありますけれども、

 そう言っても、オンライン資格確認等システムの基盤の中でやっていくということでございますので、今こういったことをやっていきますということを今日、紹介を、医療保険部会の皆さま方にご紹介しますが、それと並行して医政局でも検討をしていくということになります。

 われわれとしましては、その検討を具体化の、ある程度の具体化していく、もしくは、その中途の検討状況ということを、この秋とかに進捗状況を聞いたりとかをしていくということでございまして、

 そして来年には、その検討の最終報告というのを医療保険部会にも発表していただくというようなつもりでおります。
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 続いて、9ページを見ていただきたいんですけれども、「ACTION2」としまして、「電子処方箋の仕組み」です。

 患者さん自身は、例えば、その、患者さん自身、医療機関に行って、かかりつけのお医者さんから診察されて診断をされるということでございます。

 その際、本来であればですね、お医者さんから処方箋を紙で頂いておりますけれども、それをせずに、この処方情報をですね、電子的に医療機関の方々から、この「オンライン資格確認等システム」のほうに登録をしていただくということ。

 で、そして患者さんは、診断していただいたあと、お支払いを終わったあと、次に薬局に行っていただいて、薬局でマイナンバーカードを提示して、自分、本人確認とともに、そのマイナンバーカードを通じて薬局のほうに「私の処方情報、処方された情報を見てください」ということを言うことで、薬局は、この処方した、医療機関が処方した電子処方箋の情報をオンライン資格確認等システムからもらって見に行くというような仕掛けでございます。

 これはリアルタイムの処方情報を共有するというようなイメージで思っていただきたいんですけれども、「オンライン資格確認等システム」を媒介しまして、リアルタイムで処方情報を共有できるという仕組みがこちらでございます。

 で、これらに伴いまして、薬局における処方箋情報の入力の負担の軽減が図られるとともに、患者さんもですね、紙ではなくてオンラインで、こう、情報を得ることができるというようなことのメリットがあるということでございます。
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 で、実際に、具体的にどういう検討をするかというところが10ページにありますけれども、これも、実際に具体的に検討するのは医薬・生活衛生局のほうで、今後、調査研究をしまして検討していくというふうなことでございます。

 医療保険、そうは言っても、この電子処方箋の仕組みにつきましては、「オンライン資格確認等システム」の基盤でやっていくということですございますので、私、こちらの医療保険部会でも、もちろんを注視をしていかないといけないということでございまして、

 先ほどと同様、秋ごろに検討状況の進捗について伺う機会を設けさせていただくとか、

 また実際に、1月にはですね、最終的にその医薬・生活衛生局での検討結果をですね、報告をいただくというようなことを考えているところでございます。
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 続きまして、11ページです。「自身の保健医療情報を閲覧・活用できる仕組み」ということでございます。

 これは健康診断の情報につきまして、今、保険者にあるのは40歳以上の特定健診の情報のみでございますけれども、

 一方で、健診する実施主体は、例えば、自治体であったり、あとは乳幼児健診の自治体であったり、あとは学校健診であれば学校であったりしますし、

 さらに、働き始めれば事業主も労働安全衛生法に基づいて毎年、必ず事業主は健診を従業員に対してしなきゃいけませんので、そういった情報がありますと。

 で、これにつきまして、特に事業主のところ、この左側を見ていただきたいんですけど、事業主が行った事業主健診の情報を、その保険者に必ず情報提供してくださいね、というようなことを法制上の対応を講ずることによって、

 そうすると保険者のほうはですね、これは事業主健診の情報が集まる。これは40歳以上であろうが40歳未満であろうが、これは事業主健診で行った情報が保険者に集まると。

 そういったことを集めた上で、保険者のほうで先ほどの説明のとおり、「オンライン資格確認等システム」に特定健診だけではなくて事業主健診の情報も登録するということができれば、本人がマイナンバーカードを通じてマイナポータルというものがありますので、そこから見ることができるとともに、ご本人が例えば、自分の情報を医療の、主治医の先生方に、もしくは主治医の先生に、こういったマイナンバーカードを通じて、診てくださいっていうこともできますと。

 そういうような仕組みが「自身の保険医療情報を閲覧・活用できる仕組み」ということでございます。
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 そして、12ページを見ていただきまして、これらのメリットが書かれて、書かせていただいておりますけれども、左側になりますけれども、「データヘルスの一層の推進」ができるということ。

 さらに、「コラボヘルス」としまして、事業主と保険者が一緒になって加入者の健康づくりに役立てることができるということ。

 それだけじゃなくて、マイナポータルで自分の健診情報を見ることができるということになりまして、さらにそれをお医者さんに見せることで自分の受ける診療の質を高めることもできます、ということでございます。

 実際に、そういったメリットがありますので、実際にどういうふうにするかと言いますと、いま現在は40歳以上を含めた事業主健診情報を保険者のほうに提供するということが法的にありますけれども、

 それだけでなくて、40歳未満の方々の事業主健診情報も保険者に集約できる。そのための法制上の対応というのをこれから考えてまいりたいと思っております。

 説明、長くなりましたけれども、データヘルスの検討状況につきまして事務局からの説明は以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 はい、丁寧な説明、ありがとうございました。それでは、これにつきまして、ご意見、ご質問等あれば頂きたいと思います。

 藤井委員、お願いいたします。
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〇藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)
 ありがとうございます。これまでも申し上げておるとおりですね、過剰投薬や重複受診をなくしていくためにも、患者本人の同意にかかわらず、原則、医師が患者の投薬履歴を管理・把握できるということが必要と考えますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 加えまして、中小企業経営者、あるいは従業員自身にとりましてもですね、予防接種や乳幼児からの健診研修の結果も含めて、過去、自身がどういった医療を受けてきたか、さらにはOTC医薬品を含めて、どういう薬を摂取してきたかということを把握することは、安心して事業を行う上でも、安心して働く上でも必要不可欠と感じております。

 従いまして、閲覧できる情報の拡大も含め、積極的に進めていただきたいと思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございました。

 (以下略)

 石上委員、お待たせしました。
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〇石上千博委員(日本労働組合総連合会副事務局長)
 ありがとうございます。「データヘルス集中改革プラン」のACTIONの3の所なんですけど。
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 この表を見たときに、まず1つは、その、生涯の全ての、この健康診断ですとか、そういった健診のデータを集めていく。そこに、「学校の設置者」の所が「検討中」というふうになってますが、ここは非常に難しい課題なのではないかというふうに思っております。

 そして、現在、進められようとしてます特定健診情報の連結は保険者っていうことで、これは、メリットは非常に分かりやすいっていうふうに思ってるんですけれども、

 この表を見るとですね、この「ACTION3」の出口が「民間のPHR事業者」というふうになってます。

 これは、全体を見ても、このことによって、どこに利益が生まれているのかっていうか、どこに誰が利益を得るのかっていうのが、なかなかこう、理解しづらいというかですね、

 先ほども言ったように、これからデータ化しなきゃならないような課題も大きい中で、コストもかなり掛かると思うんですが、

 これが完成した時に、一体、国民にとってどこにメリットが出るのかっていうのが、もっと分かりやすくですね、提示していかなければ理解は得られないんじゃないかというふうに思いまして、もう少し慎重に、もっと検討が必要なんではないか、というふうに感じました。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございます。ではご意見として。あ、何かコメントがありますか?
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 はい。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 では、政策課長どうぞ。
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 医療介護連携政策課長でございます。石上委員、ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりでございます。

 私のほうは、保険者のほうに健診情報を集めるということをやっておりますが、一方で、別途、健康局のほうで、生涯を通じて、この「自身の保険医療情報を閲覧・活用できる仕組み」として、どうあるべきかっていうことを検討してますし、

 さらに、今ありました「民間のPHR事業者」、私、あえて説明をしなかったのは、これは今日、今回、医療保険部会で保険者の情報を集めるのとちょっと違ったものですから、あえて説明しませんでしたけれども、こういった話も出ていることではあります。

 これは当然、何のためにやるかって言うと、一番利益を得るべき人はご本人、患者というか、加入者ご本人が利益を得るべき話ですし、そうじゃないとおかしな話でございますので、そこをしっかりとできるように、私どももこう、健康局を含めて全部の対応をやってる所と、きちんと伝えて対応していきたいと思っております。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 はい、ありがとうございます。

 (中略)

 では、お待たせしました池端委員、お願いいたします。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 はい、ありがとうございます。2点、お伺いしたいと思います。

 まず、ACTION2、電子処方箋についてですけども、これについて、ちょっと私、ITがそれほど詳しくはないので確認をしたいんですけども。

 一番、心配するのは、現時点では処方箋が本物かどうかっていうのは、最終的に実物をお持ちして確認をして、それであれば、ファックス等での情報伝達はOKってなっていますけども、

 電子処方箋になると、その、1枚の原本だということを確認して、二重に受け取ることができないようなことっていうのは、技術的に、もう現時点で確定しているのかどうか、それをちょっと、1点、お伺いしたい。

 もう1点は、これは前回の時にもお話しをさせていただきましたマイナンバーカードの普及に関して、

 発行はずいぶん伸びていますけども、それを持ち歩くということがなかなかまだ抵抗がある方が多いと思います。

 それで前回、スマートフォンに入れることはできないかっていう話をしましたけれども、

 そのあと、1週間ぐらいあとぐらいですか、全国紙に運転免許証と、このマイナンバーカードを同時に情報を入れるような形を検討するっていうことが、なんか出ていましたが、それの進捗状況等、管轄が異なるかもしれませんけども、分かっている範囲で教えていただければと思います。

 以上、2点です。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 はい、それでは事務局、お願いいたします。
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〇厚労省医薬・生活衛生局・吉屋拓之企画官
 はい。ありがとうございます。医薬局からです。

 電子処方箋ですけれども、今、お話しありましたとおり、今のコロナ対策であると、ファックスで送ったあとに実物を送らなきゃいけないというのは確かにおっしゃるとおりでございます。

 今回の電子処方箋については、これから要件整理をし始め、させていただきまして、どういう形にするかということを決めていくことになりますけれども、紙のものというのは基本的にないという形になりますので。
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 この9ページをご覧いただきまして、3ページ、③にあるとおりで、電子処方箋の登録というのを③、医療機関でこのオンライン資格確認等システムの中にします。

 この登録をしたあとですね、⑤とありますけれども、薬局のほうで、この電子処方箋の取得をしまして、その処方箋情報に基づいて薬局で調剤をして、

 かつ、その調剤をする際にですね、その調剤を取得したということを、このサーバーの中に入れますので、その登録された中身をほかの薬局が見たとしても、それを改めて調剤することはできないという形になりますので、

 そういう意味で、同じ処方箋に基づいて2回調剤することがないと。

 これについて詳しくどんな形にするかっていうことに関しましては、先ほど申し上げましたとおりで、今後、要件整理をしっかりさせていただくというつもりでおります。以上です。
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 続いて、運転免許証なんですけれども、運転免許証、聞いているところでございますけれども、検討、やれるかどうかっていうことを、これから検討するということでございます。

 健康保険証、マイナンバーカードを健康保険証にするということもですね、実際に決まってから実際に着工までにこれだけ時間かけて一生懸命、丁寧にやっているわけですから、まだ、これから検討をして、どうなのかっていうところだと思いますので、

 もちろん、それを、なればですね、マイナンバーカードの普及がさらに進むと、私どもも期待しておりますが、

 そういった状況も見ながら、われわれとしては、ぜひともマイナンバーカードの普及に資するような形で進めていくように頑張っていきたいと思っています。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございました。それではお待たせしました、松原委員どうぞ。
.
松原謙二委員(日本医師会副会長)
 はい、ありがとうございます。日本医師会の松原でございます。こういったデータを1つに集めたり集約していくっていうことは、今から大変必要なことだと思いますが。

 ただ、議論を聴いていますと、これは、私は国民の皆さん、患者さんの皆さんのために行うべきことであって、

 ところが、中には、どうも誤解されてる方もいらっしゃるように、民間の事業のためとか、あるいは企業に予防接種のデータを集めるとか、どうもそれは違うのはないかと思います。

 あくまでも国民、患者さんのために、これをやるということを徹底しないと、おかしなことになるということを危惧します。

 また、先ほど、「マイナンバーカードを保険証にした」というような言い方をされましたけど、そうではなくて、私どもは「保険証は保険証」「マイナンバーカードはマイナンバーカード」だと。

 患者さんにとっての重要な医療情報をきちっと守っていくということが一番大事なことであると医療者として思いますので、

 そこのところは誤解のないように、きちっとやっていただきたいと思っているところであります。

 そういったことを押さえた上でやらないと、何にあと、使うのかということだけが先走って、本質とずれていくということに対して大変危惧を覚えます。

 電子処方箋についても、よくよく現場の意見を聴いていただかないと、これだけが独り歩きするということは非常に危険ですので、ぜひ、こういうことを検討するときには、その、・・・におかれましても、具体的に現場で行っている人たちの意見を十分に聴いていただきたいと思ってるとこであり、まだまだ、これは「たたき台」、出た「たたき台」だと私どもは理解しているとこであります。以上です。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 どうもありがとうございました。

 (中略)

 森委員、お願いいたします。森委員、林委員の順番でお願いします。
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〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
 はい、ありがとうございます。10ページ目のですね、「電子処方箋の仕組みの実現に向けた今後の進め方」の所なんですけども。
.

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 先ほど事務局のほうから、今、検討を進めているというお話がありましたけれども、令和4年度の夏ごろをめどに電子処方箋の仕組みの構築ができるというふうに書いてあります。

 電子処方箋に関してはですね、新たなシステム開発もこれからということも考えると、あまり時間がないのかなと。

 先ほど、松原委員からもありましたけれども、ぜひですね、現場の意見をまず十分に聴きながら進めていただきたいというふうに思っております。

 その上で、システム開発以外のですね、 電子的な薬局の認証であるとか、薬剤師の認証、それから、薬局でのシステムの改修など、さまざまなことが必要になると思います。

 できるだけ早く、薬局として何が必要でどう対応していいのかということに関しては、なるべく早く示していただきたいと思います。

 また、インフラを整備するにあたり、国としてもですね、十分な支援を頂きたいと思います。

 また、それからですね、電子処方箋が実際、発行されるようになりますと、一番混乱するのは患者さんではないかと思います。

 これまで、医療機関を受診して、医師が治療の必要があるということで、まあ、「薬を出しておきますね」ということで、処方箋を受け取って薬局に来ていたものから、何ももらわない中で、かなり患者さんもですね、混乱をするんじゃないかと思います。

 そういう中で、患者さんへの周知というのも十分に周知をいただければというふうに思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございました。では林委員、お待たせしました。
.
林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。前回も申し上げましたけれども、このデータヘルス改革に関しましては医療の生産性を高めるという意味で非常に重要だと理解しております。

 (中略)

 5ページの「データヘルス集中改革プラン(2年間)の工程(案)」という所でございますが、ここで、工程表の③、ピンク色の所でございますが、③が「手術・移植」、④が「透析」、それから⑤が「医療機関名等」っていう形で、「医療機関名」というものが情報として享受できるという形になっておりますが。
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 このあたり、患者さんにとって、やはり理解ができる仕組みづくりっていうのが、これが重要なところだと思いますが、

 患者さんにとって本当に医療機関名が同意欄の所で分かってしまうというようなことが理解されているのかどうか、というようなところも含めて、しっかりとしたコンセンサスが取れての情報提供なのかどうか、そういった案なのか、というところも、またご説明いただきたいなと思っております。

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〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございます。これについて、じゃあ、連携政策課長、コメントをお願いします。
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 はい、ありがとうございます。
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 具体的には、先ほどのスケジュール、ページ数で言うと、8ページでお示ししたとおり、医政局における検討のところで具体的な情報が決まっていくというふうに理解しておりますけれども。
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 ここにある「医療機関名」は、患者さんがですね、診察を終わったあと、お支払いをした時に、その診療報酬の明細書をですね、お支払いと同時にですね、頂くと。その中にはですね、どんな処置をしましたかとか、いわゆる診療報酬の明細書に書かれているところがあると同時に、どこで受けたんですか、ということで医療機関名もこう、書かれているはず、いるはずと言うか、います。

 その情報をベースに私どもは考えておりますんで、当然、その、患者さんは持っている情報を、こう、やっていくということでございますので、基本、それをベースに考えていくということでございます。

 一方で、いやいや、そのほかにもですね、「診療する私たち、われわれにとってはもう少しこういった情報が必要だ」というような話が今後、医政局のほうで検討していく中で、じゃあ、その情報はどのような形であるのかっていうような話も議論して、また医療保険部会のほうでですね、進捗状況について聞くというふうな流れにしたいと思っております。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 林委員、どうぞ。
.
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。医療機関名が他の医療機関等に分かってしまうということではないと。

 患者個人、国民個人が見れるという、そういう意味合いでよろしいんでしょうか?
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 では、連携政策課長どうぞ。
.
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 はい、ありがとうございます。おっしゃるとおりです。受けた人が、どこで受けたのかっていう情報はこれは受けた人は持ってますから、その情報がベースになっていますということでございます。
.
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 ありがとうございます。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 「ベースになっている」ということよりも、見れるのかどうか、ほかの医療機関が。

 ほかの医療機関が、その患者さんが前にどこの医療機関にかかったか、かかった医療機関名を知ってしまうのかどうかっていうことを、たぶん懸念されて、ご質問されてるんです。
.
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 ありがとうございます。まさに、そこなんですけれども、診療報酬の明細書を自分、受けた患者さんにですね、お渡しをします。

 で、要はその紙をですね、患者さんが例えば持って、いろんな所に行く可能性が、まあ、まあ、可能性と言うか、行くという前提の話ですので、

 当然、その、自分がどこで、どんな治療を受けたのかっていうのは診療報酬明細書レベルですけれど、それ患者さんの情報としてあります。

 その患者さんの情報を、患者さんが同意する形で、自分が信頼できる医療機関にご提示をするということでございますので、そういった形で進んでいくと。そういった形。

 その、要は、紙で既にもらってるものを、あの、こう、患者さんが渡すということもあるんじゃないかということ。

 それらをベースに、じゃあ、実際にどうなるのかっていう話で、具体的に医政局のほうで、どういう形、どういう情報でやっていけばいいのかっていうことを検討していくんだろうと思っております。

 実際のデータというのは、データというか情報というのは、あくまでも診療報酬の明細書に書かれている、そういった内容でございます。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 勝手には見られない?
.
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 そう。だから、結果的には勝手には見られないで、「患者さんが同意して見せる」ということでございます。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 ありがとうございました。林委員、どうぞ。
.
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。そこは非常に重要なところでして、患者さんがそれをご存知ない場合での情報提供となると、後々トラブルの元になると思っておりますので、よく周知していただいた上での必要な情報提供ということで、よろしくお願いしたいと思います。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 重要なコメント、ご提案だと思います。ありがとうございました。ほかにございますか。菅原委員どうぞ。
.
〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
 ありがとうございます。今のところに、もしかしたら関わるかもしれませんが、要はデータを集約されて、それを予防だとか、さまざまな健康事業に役立てていくというのは非常に重要なことだと思いますし、また、それを個人の方が確認できるっていうことも非常に大事だというふうに思います。

 ただ、今、たぶん、申し上げていたところに関わるんだと思いますけれども、治療上の必要性で、あえて患者さんに、さまざまな診療の行為だとか、なんて言うんでしょう、病状っていうものを隠されているようなことも、もしかしたら素人ですけれども、あるんじゃないかっていうことを懸念いたします。

 そういった場合に、それがですね、結果的に個人で、そのデータにアクセスすることによって分かってしまうだとか、そもそもの診療の効果を、狙ったところと意図せざるところで効果をもってしまうと非常に問題だと思いますので、そのあたりの運用の仕方は非常に丁寧に議論する必要があると思います。以上です。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 重要なご指摘だと思いますが、連携政策課長どうぞ。
.
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
 はい、菅原委員、ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。そういったことも含めて、医政局のほうで検討になりますけれども。

 繰り返しになりますけれども、診療報酬の明細書に書かれている情報は、支払いの終わったあと、患者ご本人にお渡しされております。

 それらの情報を基礎として話をするということでございますので、今、言った懸念も含めて、あったことも含めて今後、医政局における検討でですね、しっかりと、どういった情報なのかっていうことを議論していただくということにしていきたいと思っております。
.
〇遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)
 よろしくお願いいたします。

 (以下略)

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