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「医療提供体制に余力があるべきだ」と日本医師会副会長

中川俊男構成員(日本医師会副会長)_20200319_地域医療構想WG

 日本医師会副会長の中川俊男氏は3月19日、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、新型コロナウイルスへの対応策などに触れながら「医療提供体制に余力があるべきだ」と述べた。(新井裕充)

 この日の主な議題は、①今後の地域医療構想に係る議論の活性化に資する実態分析等について、②重点支援区域の状況について──の2点。

 昨年9月26日に「424病院」を公表して以来、約半年ぶりの開催であるため、会議の前半は公表後の動きなどを厚労省の担当者が説明。今後の人口減を見据えた指標の必要性などを指摘した。

 前半の質疑では、「424病院」の公表後、地域の調整会議がどのように変わったかなどについて意見が交わされたが、全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は発言しなかった。

 全ての議題を終え、閉会間際になって中川氏が挙手。「われわれは特にイタリアから教訓を得なければならない」と切り出し、「医療提供体制は平常時にも有事の際にも対応できるハード・ソフト両面の余力が求められる」と主張した。

 これに対し、小熊氏が発言。「われわれ公的は、こういう有事の時に対応するために、常に医療の余裕を持っていなければならない」とした上で、「有事の際に使うので普段はほとんど使わないが、それを効率性という面から、あるいは助成金というほうから批判されると問題が生じる」と苦言を呈したが、すぐに中川氏が反論した。

 詳しくは以下のとおり。

〇尾形裕也座長(九州大学名誉教授)
 はい、ほかいかがでしょう。よろしいですか。それでは、この「重点支援区域」については、優先的にその財政的な支援を行うということでもありますので、今後、その状況については引き続き当ワーキンググループのほうにも適宜、報告をお願いをしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。一応、用意しました資料、議題は以上でございますが、最後に、全体を通して、あるいは「その他」でも結構ですので、何かご意見、ご質問等があれば、この際、承りたいと思います。

 はい、中川構成員どうぞ。
.
〇中川俊男構成員(日本医師会副会長)
 関連のことを少し申し上げさせていただきたいと思います。

 地域医療構想においては、このワーキンググループをはじめ、厚生労働省の審議会、検討会で、特に今日の36、37、38ページにあるような、いわゆる全国のほとんどの構想区域で人口が減少するんだと。
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.
 医療需要や医療資源の減少に備えて、病床の機能分化・連携を進めることをすすめてきましたが、

 ご存知のように、一方で、現在、世界中で新型コロナウイルス感染症がパンデミックを起こしています。

 感染者数がご存知のように現在、世界で約20万人。死亡者数も8,000人を超えています。

 この中で、われわれは特にイタリアから教訓を得なければならないと思っています。

 現在、感染者数が3万人を超え、死亡者数も3,000人近くなっています。新型コロナウイルス感染による人口10万対死亡率、それから感染者における致死率も突出して高くなっています。

 その背景の1つに、イタリアは欧州連合、EUが求めた財政緊縮策として医療費削減を進めました。

 2012年から2017年にかけて、イタリア全土で大変多くの医療機関の閉鎖や医療従事者の不足を招いたとされています。

 そのような背景の中で感染が拡大し、多くの医師や看護師も感染し、医療現場は大混乱に陥ったと連日報道されています。

 早稲田大学の野口晴子教授の研究では、平常時の政府医療支出の増減と、例えば、季節性インフルエンザによる死亡率との間には統計学的に強い負の相関があり、支出が多ければ死亡率が下がるとしています。

 このような事実から、私は地域医療構想として改めて鑑みなければならないという点を2点、指摘させていただきたいと思います。

 まず1点目は、医療提供体制は平常時にも有事の際にも対応できるハード・ソフト両面の余力が求められると思います。

 そのためには、平常時に余裕のある地域の医療提供体制を構築しておく必要があります。
 例えば、病床数の一定の余裕。緊急時に対応できる医療機器等の備え等ですが、国はそのための必要な財源を確保する必要があるのではないかと思っています。

 2点目は、具体的に、今回の新型コロナウイルス感染症のような有事の際に対応する公立・公的機関と民間医療機関の事前の役割分担の明確化です。

 これからはですね、新型コロナウイルス感染症のような未知の感染症が次から次に起こってくる可能性が十分にありますので、

 これを議論の活性化、地域医療構想調整会議の議論の活性化の1つとしてですね、このような態勢の時にどうするのか、各構想区域ごとに議論をまた詰めていくって言いますか、活性化させていっていただきたいなというのが私の提案です。以上です。
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〇尾形裕也座長(九州大学名誉教授)
 はい、貴重なご意見ありがとうございました。はい、小熊構成員、どうぞ。
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〇小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長、砂川市立病院名誉院長)
 今、中川先生のおっしゃったことについて、われわれ公的の立場からお話ししますと、

 もともと、われわれ公的は、こういう有事の時に対応するために、常に医療の余裕を持ってなきゃいけないということは主張してきたとおりでありまして。

 これはですね、昨日もうちの幹部が集まったんですが、都市部では公立・公的に、今、こういう感染症の患者がたくさん入ってますと。

 その機能がですね、麻痺して、しかかってるというのが現実でございます。

 ただ、都市部の場合は重症患者も引き受けられるんですけれども、今の医療体制からいうと、地方部ではですね、なかなか重症患者は診れない体制になってます。

 ですから、そういったところはやはり、中川先生がおっしゃるように見直していただきたいなというふうに思います。

 ただ、有事の際に使うところですから、普段はほとんど使わないわけで。

 それを「効率性」という面から、あるいは「助成金」というほうから批判されると問題が生じるということがございますので、

 そういったことも、普段、われわれが主張をしてることですけども、お考えいただければというふうに思います。
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小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)_20200319_地域医療構想WG
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 それから、すいません、今時になって最初の問題について、公立の……。

 まあ、今の印象を申し上げますと、はっきり申し上げますと、こないだの424の公表。まあ、追加もありますけれども、

 あれによって、地方の公立病院、公的病院の責任者って言いましょうか、首長がですね、まる程度、ショックを受けたと思います。

 「国の考えてる急性期とは何なのか」ということを如実に示されたと思って。

 その一方でですね、少なくとも急性期の中でも難しいほうの急性期ではなくて、「軽症急性期」と言いましょうか、

 そういったものも急性期の中にあって、それは地方の医療を実施していく上には絶対になくしてはいけないと。

 そういう認識がですね、地方の医療関係者、あるいは首長には出てきたと。

 ただ問題は、それをどうやって、軽症のほうと重いほうとに分けて、それを効率的に住民に迷惑をかけないように再編して、したり、ダウンサイジングしていくか、

 というところに意識はそれぞれ向いてきてるというふうに私どもは今、考えております。

 問題は、先ほど厚労省のほうから、(医政局地域医療計画課の)松本さんのほうから、話があったように、

 医療従事者不足も関わってきますし、それから働き方の問題も関わってきます。

 将来の医療需要の問題もあるということで。

 いま現在、先ほどご指摘いただいたように、ベッドは田舎に行くほど余って、効率、稼働率も悪いというのは現実で、

 それはもう皆さん、皆さんって言うか、うちの仲間は全部知っておりまして、

 それをどういうふうにダウンサイジングしていくかと。あるいは、地域医療の兼ね合いからどうしていくかということを

 今、非常に真剣に考え始めてるという状況だということを皆さまにお伝えさせていただきます。

 最後に申し上げて申し訳ないんですが、そういうことでございます。はい。
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〇尾形裕也座長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。はい、中川構成員。
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〇中川俊男構成員(日本医師会副会長)_20200319_地域医療構想WG
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〇中川俊男構成員(日本医師会副会長)
 小熊先生、ありがとうございました。

 私の申し上げたいのは、「医療提供体制に余力があるべきだ」ということを申し上げているので、

 決してですね、「病床稼働率がもう50%を切った病棟はそのままでいいんだ」っていうことを申し上げているのではないんです。

 医療提供体制の議論を進めていく、地域医療構想の議論を進めていく際に、提供体制のボリュームって言いますか、

 ジャストフィット、いわゆる効率化の名の下に、ジャストフィット、「過剰はないけど、不足もない」という、そういうことではなくてですね、

 やっぱり少し多めの提供量と言いますか、いざという時にはすぐ対応できる、そういうような余力をそれぞれ備えておくべきだということを申し上げているんです。以上です。
.
〇尾形裕也座長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。

 はい。ありがとうございました。

 それでは、ほかにご意見、ご質問もないようですので、本日の議論は以上とさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、事務局のほうから何かありますか?
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〇厚労省医政局地域医療計画課・瀧主査
 はい。次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、ご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
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〇尾形裕也座長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。
 それでは、予定の時間より少し早いですが、以上をもちまして、本日のワーキンググループを閉会とさせていただきます。

 長時間にわたりまして、熱心なご議論、どうもありがとうございました。

 (散会)

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