外来受診、「80代の回数が多い」と厚労省の込山課長

厚労省保険局_20200227_医療保険部会

 厚生労働省保険局高齢者医療課の込山愛郎課長は2月27日、今後の医療保険制度について議論した会議で、外来受診の最多が「80~84歳」の年35.8回であるとのデータを示し、「お年寄りになると、どうしても受診の機会が増える。80代の回数が多くなっている」と説明した。(新井裕充)

 厚労省によると、1人当たりの年間外来受診回数は高齢になるほど増加。最も少ない「20~24歳」は年6.2回にとどまっているが、年齢が上がるにつれて受診回数が増加し、「75~79歳」は年33.4回、「80~84歳」は年35.8回となっている。
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■「疾病、生活状況等」を踏まえ検討

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 新型コロナウイルスの影響で各地のイベントなどが相次いで中止となるなか、厚労省は同日、社会保障審議会の医療保険部会(部会長=遠藤久夫部・国立社会保障・人口問題研究所所長)を予定どおり開催し、前回に続いて医療保険制度改革に向けて議論した。

 この日のテーマは、後期高齢者の窓口負担について。政府の検討会議が昨年末にまとめた中間報告を踏まえ、厚労省は同日の部会に「後期高齢者の自己負担割合の在り方等について」と題する資料を提示。「現役並み」の負担を求める範囲などについて意見を求めた。

 政府の検討会議が示した報告書では、後期高齢者の窓口負担について「高齢者の疾病、生活状況等の実態」などを踏まえて検討すべきとしている。
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465_20200227_医療保険部会

■ 高齢者の医療費増、大きな要因は「受診率」

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 厚労省は同日の部会で、「疾病」や「生活状況」に関連する資料として「1人当たり窓口負担額」「1人当たり医療費」「1人当たり年間外来受診回数」などのデータを提示。受診率の上昇が医療費の伸びに影響しているとの認識を改めて示した。

 厚労省の込山課長は「高齢になるにつれて1人当たりの医療費が高くなる」「高齢者の医療費が高くなる大きな要因は、受診率が若人に比べて高いこと」「お年寄りになると受診の機会が増えるので、80代の外来受診回数が多い」などと説明した。
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20200227_医療保険部会

■「気になるのが平均値のトリック」との声も

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 こうした説明に対し、委員から「窓口負担額の大小だけの比較は正確でない」(健保連の佐野雅宏副会長)、「こういった統計等を見るときにいつも気になるのが平均値のトリック」(全国後期高齢者医療広域連合協議会の横尾俊彦会長)などの意見があった。

 また、「外来に通えなくなった方は訪問診療などで対応するので、この数も知りたい」(日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長)との質問や、「ミスリーディングが起きる。外来だけなのか」(東海大学健康学部の堀真奈美・学部長)との指摘もあった。
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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20200227_医療保険部会

 この日、厚労省が示した資料は表紙を除いて33ページ。厚労省担当者の説明は、下記のとおり。

〇厚労省保険局医療課・荻原和宏・医療保険制度改革推進官
 それでは定刻となりましたので、ただいまより第125回医療保険部会を開催いたします。
 委員の皆さまにおかれましては、ご多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、一瀬委員(全国町村会理事、長崎県波佐見町長)、菊池委員(早稲田大学大学院法学研究科長)、藤原委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長)より、ご欠席のご連絡をいただいております。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。それでは、以降の議事運営は遠藤部会長にお願いいたします。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい。皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。それでは、議事に先立ちまして、まず欠席委員の代わりに出席をされる方についてお諮りをいたします。

 本日は、藤原委員の代理としまして、酒向参考人(経団連・経済政策本部長)の出席につき、ご承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。ありがとうございます。

 それでは議事に移ります。本日は、「医療保険制度改革について」を議題といたします。

 具体的には、「全世代型社会保障検討会議」で検討事項とされました「後期高齢者の自己負担割合の在り方等について」、これを議題としたいと思います。

 それでは、事務局から説明をいただいた上、ご議論をいただければと思いますので、説明をお願いします。

全世代型社会保障検討会議中間報告等について(P2~8)

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〇厚生労働省保険局高齢者医療課・込山愛郎課長
 おはようございます。高齢者医療課長でございます。早速でございますが、タブレットの資料4。4ですね。4の資料をお開きいただきたいと思います。

 後期高齢者の自己負担割合に関連する現状や現行制度の資料をまとめさせていただいてございます。

 ただいま部会長からお話ございましたように、中間報告で指摘されました方向性に沿って検討するにあたりまして、その視点などについて、さらにご検討いただければありがたいと存じます。
 
 
 
 では早速でございますけれども、目次以降をお開きいただきたいと思います。
 

 
 まずページでございますが、繰り返しで恐縮ですが、この「全世代型社会保障検討会議」の中間報告について、もう一度おさらいをさせていただきたいと思います。


 
 ページですと……、失礼しました。3ページからになります。
 
 3ページには、中間報告におきます「今後の改革の視点」などが掲げられております。
 具体的には(4)でございますが、「今後の改革の視点」といたしまして、「現役世代の負担上昇の抑制」といった視点。その上で、「全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する必要がある」といったご指摘がございます。

 4ページでございますが、「各分野の具体的な方向性」でございます。

 本日の議題でございますが、「後期高齢者の自己負担割合の在り方」ということでございまして、下の下線部を引いている所でございますが、具体的な方向性というのが提示されてございます。
 
 本年の夏までに成案を得るというスケジューリングの中で、後期高齢者の方であっても、「一定所得」以上の方につきましては、この窓口負担割合は2割とするといった旨が記載されてございます。
 
 その検討にあたりましては、「高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて」、丁寧な検討を行う。
 
 また、「長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の生活に与える影響を見極め適切な配慮について、検討を行う」といったことも記載されているとこでございます。


 
 こういったことを踏まえまして、さらにどういった視点で検討していくかといったようなことにつきまして、議論を頂戴したいと思います。

 6ページでございます。

 こうした「全世代型社会保障検討会議 中間報告」を受けまして、改革工程表上のスケジューリングもこうした形にリバイスされてございます。内容的には同じ内容になってございます。
 

 7ページ、8ページでございますが、
 当医療保険部会におきまして頂いたご意見をまとめてございます。
 
 具体的には昨年末、12月25日と前回1月31日に開催された部会でのご意見を掲げてございます。
 
 簡単に概略をご紹介申し上げますと、まず12月25日、123回のほうでございますが、「医療(費)の負担が2倍になる」といったことから「慎重な議論が必要」といったようなご意見であったり、
 また、対象者をどの程度絞るかによって持続性に関わってくるといったようなことであったり、
 また一方で、各被保険者さんの保険料負担率が高いといったような問題にもきちんと目を向けるべきではないかといったようなこと。
 また、その所得基準の在り方につきましては、生活への影響などをシミュレーションも行いながら丁寧な検討が必要。次の意見も同様の内容だと思います。
 また、下から2番目でございますが、負担能力のある方に負担していただいて全体の社会保障制度を支えるというのが大事であろうといったこと。
 一番最後ですが、そういった見直しについて「国民に丁寧に説明をする必要がある」といったご意見がございました。
  

 8ページですが、前回の部会でのご意見です。若干、重なるようなご意見もございますけれども、ご紹介申し上げますと、
 まず最初に、「現役世代の負担軽減が目に見えるような形」での設定が必要ではないかと、そういったことで複数のパターン等を示す必要があるといったようなこと。

 また、金融資産への着目といったご意見もございました。

 また、窓口負担とはちょっと離れますが、現役世代と高齢者の方の保険料の伸びといったもの、伸びの違いといったことについても着目すべきといったご意見がございました。

 4点目でございますけれども、現役並み所得者の問題です。現状、3割負担をお願いしておりますが、そういった現役並み所得者の給付において公費で投入されてない部分についての問題提起といったこともございました。

 ただ、少なくとも今回、所得の基準を、現役並みの所得の基準を見直す場合においても現役世代の負担増とならないようにし、現役世代に対する財政支援を行うことも検討する必要があるといったご意見でございました。

 5点目以降は窓口負担、2割負担等に戻るお話ですが、「負担能力に応じた応分の負担」といったようなこと。

 それを検討するにあたっては、繰り返しですが、シミュレーション等が必要になってくるんではないかといったようなご意見がございました。

 下から4つ目でございますけれども、そういった見直しの中で、受診抑制等をできる限り招かないようにするといった観点も必要だといったご意見でございました。

 下から3つ目ですが、こちらも先ほどございましたけれども、保険料負担の問題、そういったところへの着目も必要ではないかといったお話がございました。
 
 一番下でございますけれども、現状のその実行給付率の各世代ごとの違いがある中で、これをどういうふうに考えるかというのがま国民の皆さま方の選択ではないかといったお話がございました。
 

人口の動向等について(P9~11)

 次からはデータ編でございます。まず最初に、人口の動向についてご紹介を申し上げます。

 10ページでございますが、何度も申し上げているご案内のことで恐縮でございますが、
 2022年から団塊の世代が後期高齢者にお入りになってきます。
 そして2025年には団塊の世代全員の方が後期高齢者になるということでございます。

 改めてで恐縮でございますが、2022年の段階で後期高齢者の方の人口が2千万の直前に達するような形になります。

 2025年には2200万人程度という形になりまして、また人口のウエイトで見ますと、2025年には18.1%。その先の2029、30年手前になりますと、ほぼほぼ20パーに近づいてくるといったようなウエイトになります。

 11ページでございますが、一方、人口の増加率という観点でまとめたグラフでございます。
 
 これまたご案内のとおりでございますが、2022年から2024年にかけて、75歳以上の方の増加率というのが顕著に高くなっているということが示されてございます。
 

窓口負担の現状と医療費の動向等について(P12~19)

 

 12ページでございます。(12ページ)以降でございます。窓口負担の現状等についての資料でございます。


 
 中間報告にもございましたように、一定所得以上の方には2割負担をお願いできないかという方向性が示されてますが、そういった見直しの内容をこの13ページの自己負担区分表でございますが、ここにどう当てはめていくのかというような問題だと思います。
 
 現状の自己負担割合の内容につきましては、こちらに掲げさせていただいてるとおりです。
 
 ご案内のことで恐縮ですが、ご紹介申し上げますが、後期高齢者の方の自己負担につきましては、1割負担をお願いしている方と3割負担をお願いしている方がございます。
 
 3割負担の方は、先ほども申し上げました「現役並み所得」ということでございまして、判定基準が、まず「課税所得145万円以上」の方でございます。
 
 加えて、収入要件も併せて設定されておりまして、単身の方で言えばこちらに書いてございます(年収)約383万円以上の方。この基準をクリアされた、上回る方につきまして3割負担をお願いしているという状況です。
 
 一方、その基準以下の方ですが、それぞれ「一般」の区分、「低所得」の区分でございます。
 
 「一般」と「低所得」につきましては、窓口負担は1割と同じでございますが、高額療養費の自己負担限度額に違いがございます。
 
 その線引きの部分でございますけれども、「一般」の方は、いわゆる課税所得のある方。
 
 「低所得」の方は、住民税非課税の方という形になってまして、「非課税」「課税」でのラインが引かれてるとこでございます。
 
 それぞれの上限額については、この表に掲げてあるとおりでございます。
 

 14ページでございますが、窓口負担のこれまでの制度の変遷、経緯、推移でございます。
 
 昭和58年、老人保健法に基づきまして、この窓口負担、導入され、こちらに書いてあるような「定額負担」という形で導入されました。
 
 (平成)13年から「定率1割負担」を導入させていただきまして、14年からはその1割負担を強化したということ形で、その中で「現役並み所得」の方に2割負担をお願いするということが14年10月から導入されました。
 
 加えて、平成18年10月から、その現役並み「2割」の部分を現役並みの方に「3割」のご負担をお願いするという形で制度改正されたとこでございます。
 
 さらに後期高齢者医療制度が発足いたしまして、平成20年からは1割負担、同様に現役並み所得の方は3割負担。

 さらに70~74(歳)の方につきましては、実際、ご案内のとおり、26年4月以降の方ですが、こういった方について2割負担をお願いするという変遷でございました。
 

 続きまして15ページ以降でございます。

 中間報告の中でも、その高齢者の方の「疾病」であったり「生活状況」を踏まえて、といったご指摘がございました。それに関連する資料でございます。
 
 15ページ。まず窓口負担額の世代別の状況でございます。これはリード文にも書いてございますけれども、後期高齢者の方は窓口負担は1割ではございますけれども、そもそも医療費がどうしても高くなるということから窓口負担額も高くなるという状況でございます。
 
 具体的に申し上げますと、後期高齢者にお入りになられた75歳から79歳にかけての、この年代層につきましては、窓口負担が6.4万円。1人当たり6.4万円でございますけれども、80代を超えるにあたって、むしろ70歳、74歳だったり、そういった世代の方よりもむしろ窓口負担が高くなるという状況がございます。

 16ページですが、その背景でございます。繰り返しですが、高齢になるにつれて1人当たりの医療費が高くなるという状況がございます。
 
 その裏返しとしての、先ほど申し上げた窓口負担の状況がございます。
  

 
 続きまして17ページです。これもいつもご覧いただく医療費分析でございますが、改めてのご紹介でございます。

 高齢者の方の医療費がどうしても高くなるという状況がございますが、その大きな要因は1つは受診率が現役世代、若人の方に比べて高いというところがございます。
 
 逆に言えば、その1件当たりの日数であったり、1日当たりの診療費といった部分につきましては、それほど大きな違いはないんですが、受診率の違いが全体としての医療費の大きさを伸ばしてるというところがございます。
 

 18ページです。そういったことで、お年寄りになられますと、どうしてもそういった受診の機会が増えるといったようなことがございますので、18ページにありますように、例えば「年間外来受診回数」っていうのは世代の状況で見ますと、こういった形になっていて、80代の方が回数が多くなっているということでございます。 
  

 19ページでございますけれども、こちら、東京都の広域連合さんや、東京都の健康長寿医療センターのほうで分析していただいたデータでございます。
 
 27年度に報告書が出てるものですので、若干、ちょっと古いんでございますが、ご紹介申し上げます。
 
 まず1つは、疾患別の患者さんの割合ということでございまして、慢性疾患等の代表例をピックアップいたしまして、その疾患の治療中である方がどのぐらいいるかといったことが左の上のグラフでございます。
 
 それぞれの疾患において、対象になる方の割合でございいます。
 
 こちらにございますように、例えば「高血圧症」ですと、こういった、かなりの方が疾患を持たれてるといったことが分かります。
 
 その左の下も同様でございますが、これを年代別に見たものでございます。有病率を年代別に見たもの。
 
 右側ですけれども、受診回数とかにも関連するお話でございますが、やはり高齢者の方は慢性疾患を複数抱える方というのが非常に多くなってきます。
 
 特に80歳代の方ですね、といった方が、こういった複数疾患を抱えるというケースが多くなっています。
 
 ちなみに、この報告書の中でピックアップした対象は、一番下の注にもございますように、レセプトの中でレセプトの病名が付いていて、かつ医薬品の処方がある方をこういった形でピックアップしてございますので。
 
 説明文によりますと、90代以降はむしろ処方が少なくなるという傾向もあって、その反映で80歳代が、この複数疾患の割合が高いという結果が出ているというようなご紹介もございました。
 
 この表の一番右の下でございますが、これはその複数疾患における、それぞれの疾病の併存関係の割合の違いといったようなものを示したものです。
 
 赤い丸が大きいのはその疾患率が高いものと、線が太いものは関連性が強いというか、複数持たれているコンビが多いといったものを表しているものでございます。失礼いたしました。

所得の状況等について(P20~22)

 次に、21ページからでございますが、所得等の状況でございます。
 

 
 21ページ。「年齢階級別の平均収入」を示したものです。こちら、「国民生活基礎調査」に基づくものでございます。
 
 50歳代の方の1人当たり平均収入というのがやはり一番多くて、高齢になられますと、当然でございますが、収入がこう少なくなってくるという状況が見て取れます。
 

 22ページでございます。
 一方、その医療費と、それに対する自己負担、保険料の状況をまとめたものがこの22ページでございます。
 
 先ほど来、申し上げているとおり、青い部分の医療費は当然、世代が上がるごとにつれて多くなってくる、高くなってくるということでございます。
 
 一方で、下の負担の部分ですけれども、緑色の保険料負担につきましては、例えば後期高齢者の支援金といった制度を通じて、世代を超えて財政負担していただいておりますので、現役世代層に保険料といった形でのご負担をお願いしている部分がございます。
 
 斜め線の赤いものは、これは先ほど来、紹介している自己負担の部分でございますので、お年を召すに従って自己負担額も増えているというところが見て取れるものでございます。

高齢者医療制度の財政状況について(P23~27)

 そういった中で、そういった保険料等を通じての、この制度を支えていただいているわけですが、その財政状況、財政の構造について改めてご紹介します。
  

 
 24ページでございますが、こちらは令和2年度の予算案ベースでの数字でございます。
 
 対象となる加入者、被保険者の方が1,800万人でございます。左側の数字です。
 
 そのうち医療費で18.1兆円。うち患者負担を除いた給付費が16.6兆円ということになってございます。
 
 右側の図に目を移していただきたいんですが、そういった後期高齢者の給付費のうち、約5割が公費で賄われてございます。
 
 残り5割を支援金と保険料で、それぞれ保険料1、支援金4という形で負担していただいている。それぞれの数字はこういったとおりでございます。
 

 25ページでございますが、支援金という形でご負担いただいているわけでございますが、その支援金の推移が掲げられてございます。
 
 29年度までの数字がいわゆる確定賦課ベース。30年、令和元年度の数字が概算の数字でございますが、そういった違いはございますけども、全体的な推移としてはここに掲げられているとおりでございます。
 

 26ページ、27ページでございます。
 今、申し上げた支援金をはじめといたしまして、前期高齢者の納付金も含め、いろいろご負担いただいてるわけですが、義務的経費に占める、それらの拠出金負担割合というものが26ページ。健保組合さんの場合は47%になっているといったようなこと。


 
 また27ページ、協会けんぽさんで言いますと、4割弱になってるといったことがこちらで示されております。

現役並み所得判定について(P28~33)

 28ページ以降でございます。
 こちらは窓口負担のうち、冒頭申し上げました3割負担をお願いしている現役並み所得の方についてのお話でございます。
 
 その「現役並み所得」とされる判定基準について、ご紹介申し上げます。
 

 29ページ。この点につきましては、改革工程表でご指摘をいただいております。
 
 現役世代との均衡の視点から、何が「現役並み」になるのかといった、この判定基準についても検討すべきではないかといった宿題でございます。

 30ページです。同じ資料の繰り返しで恐縮でございますが、もう一度申し上げますと、この3割に該当するか否かの基準につきましては、課税所得が145万円以上かどうかがまず1つの要件。
 
 加えて、その世帯での年収ですね。生収入と言うんですか、その年収が単身の世帯でいらっしゃいますと、約383万円以上という、この両者の要件を満たすことによって3割負担をお願いするという形になっています。
 
 ちなみに年収要件につきましては、複数世帯の場合、ご夫婦でいらっしゃる場合につきましては、下のほうに注の3が付いてますが、520万円未満という要件が付いてございます。


 
 同じ話で恐縮です。31ページに、そういった基準を改めてまとめてございます。
 
 この「現役並み所得」の方に、1割負担に加えてご負担をお願いするというのが平成14年から導入されています。この時は2割負担をお願いしてございます。
 
 その時の基準の設定の仕方を現在も踏襲しているわけでございますが、その点につきまして、若干ご説明申し上げます。
 
 まず、何をもってこう、「現役並み」なのかということを見るということに尽きるわけでございますが、
 
 まず平成18年から8月の所を見ていただきますと、現役世代の平均的な収入がどのくらいかというのをまず調べます。
 
 こちらは当時の政管健保、今の協会けんぽさんですが、その加入者の中で、いわゆる平均給与、平均報酬を把握させていただきました。
 
 そのデータが18年の数字で言いますと、386万円ということになります。
 
 この368万円の給与収入を得られている方の課税所得がどうなるかというのを計算します。
 
 もろもろの「給与所得控除」であったり、「配偶者控除」、そういったものを引いた上で、こういった収入の方であれば課税所得が145万円ということが計算されます。
 
 この145万円を共通のものさしとして、この145万円を高齢者の方でも超えている方につきましては、現役並み相当として3割負担をお願いすると、こういうことになってございます。
 
 ただ、加えて、何度も申し上げてますが、この「課税所得要件」に加えて「収入要件」というのも設定してございます。それが下の欄でございます。
 
 繰り返しですが、単身の場合は383万。夫婦お二人の場合には520万円となってございますが、この計算の仕方でございます。
 
 先ほど申し上げたように、共通のものさしとして課税所得145万円を設定させていただいておりますが、では、この145万円が逆にですね、逆に、高齢者の方の場合には生収入に換算するとどうなるのかというのを計算してます。
 
 下から上がっていく形になりますが、課税所得145万に加えて、高齢者の方であれば受けるであろう、一種のモデルケースを前提にしてますが、その控除、税金上の控除額を足し上げていきます。
 
 そうしますと、単身の方の場合には諸控除が237万円ということになりますので、いわゆる収入ベースで言うと、繰り返しですが、単身の方は383万円というようなことになるわけでございます。
 
 ただ、その前提といたしまして、年金、こういった現役並みの方は、(現役並み)の高齢者の方は、年金所得、年金収入と加えて給与収入があるということが前提になってございますので、そういったことを踏まえたモデルを設定して、こういった足し上げの計算で収入要件が出てきてるということでございます。
 

 32ページでございますが、ちょっとくどい話で恐縮ですが、先ほどの改革工程表でのご指摘もあったわけなんですが、この課税所得要件と、かつ年収要件を、この両者の要件を用いているわけですが、この年収要件というものを、なんでわざわざつくっているんだろうかという背景についてのご説明でございます。
 
 32ページの下の図の左側のほうを見ていただきたいわけでございますが、課税所得要件だけをものさしにした場合には、所得の稼得形態の違いによって、人それぞれ控除が違うということが起きます。
 
 具体的に申し上げますと、例えば同じ収入だとしても、人によってその控除が違うことによって出てくるその課税所得が違ってくるということ、そこへの配慮が必要ではないかっていうのが問題意識でございます。
 
 具体的に申し上げます。現行の3割負担の基準が383万円でございますので、その手前の方で382万円という方を設定します。同じ収入、382万円です。
 
 ただ、①のケースの方というのは比較的年金収入が多い。このケースで言いますと、モデル年金を設定しておりますが、モデル年金、当時のモデル年金201万円。
 
 残りを給与収入という当てはめで見てみますと、もろもろの控除の結果、この方は課税所得が144万円になります。144万円ですから1割負担ということになります。
 
 一方で、年金収入が少なくて給与収入が多いという②のケースですが、この方の控除額を合わせて試算をしますと、この方は課税所得が150万円になります。
 
 同一の収入ですが、かたや144、かたや150。さらに申し上げれば、かたや1割、かたや3割ということになりますので、こういった公平感というか、そういったものを是正するために、配慮するために、右側にございますように、年収要件も加えて同一年収であればですね、同じ1割、例えば1割にするといったような形で設定させていただいてございます。
 
 要するに、前提とするモデルケースの結果、出てくる収入。その収入も要件として設定をしているというものでございます。
 
 今の現状の制度の仕組みについてのご紹介でございました。 

 33ページでございますけれども、こちら、繰り返しですが、後期高齢者医療制度の財政の概要でございます。
 
 先ほども申し上げましたが、公費5割ということで入っているわけでございますが、今、ちょっと長々とご説明しました現役世代の方についてですが、こちら、健保連さんなどもご指摘いただいてますけれども、現役並み所得を有する方の医療費につきましては、この箱の右側の公費が入ってないと。
 
 こちらは支援金でご負担をお願いするという構造になってますので、このページの一番下にございますけれども、こういった現役並みの方については公費負担がなく、支援金負担となっているので、厳密に言いますと公費負担割合は47%になっているというものでございます。
 
 窓口負担に関連する資料をご紹介いたしました。こういったことを含めまして、今後の、とりわけ所得基準の在り方等につきまして、その視点について、ご意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい、ありがとうございました。それではご意見、ご質問等いただければと思います。
 それでは平井委員、お願いいたします。

 (後略)

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