第157回薬価専門部会(2019年10月9日)【議事録】

20191009薬価専門部会

 厚生労働省は10月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)の第157回薬価専門部会(部会長=中村洋・慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)を省内2階の講堂で開き、次期薬価制度改革に向けた具体的検討の「その3」として、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度」と「後発医薬品の薬価の在り方」の2つをテーマに挙げた。新薬創出等加算については、「品目要件」と「企業要件」の“すみ分け”が議論になった。後発品については、安定供給リスクを考慮して価格を据え置くべきかが争点となった。(新井裕充)
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 この日の中医協は、午前9時から12時過ぎまで約3時間にわたり、薬価専門部会、保険医療材料専門部会、総会がそれぞれ約1時間ずつ同じ会場で開かれた。

 最初の薬価専門部会では、9月11日の第155回会合で合意した検討スケジュールを踏まえ、今回は「新薬創出等加算」と「後発品」をセットで示したが、両者の関係については議論にならなかった。
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次期薬価制度改⾰の検討スケジュール(案)

 ▼ 9月11日は、「薬価算定方式の正確性・妥当性の向上」と「イノベーションの評価」について議論した。続く25日の第156回会合では「長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方」が議題に挙がった。そして今回は、「新薬創出等加算」と「後発医薬品」がテーマになった。検討スケジュールに挙げられた順番どおり上から下に進んでいるように見えるが、そういうわけでもない。
 今回、この2つをセットにした事務局(保険局医療課)の意図は分からないが、新薬創出等加算が試行的に導入された2010年度改定前、09年11月20日の第58回薬価専門部会では、「薬価維持特例」と「後発品の使用促進」との関係が論点に挙げられている。新薬創出等加算は当初、「薬価維持特例」という呼称で業界団体が要望していたが、最終的には「特例」ではなく「加算」という形で導入された。厚労省の議事録によると、09年12月2日の第59回薬価専門部会で、当時の薬剤管理官である磯部総一郎氏は次のように説明している。
 「そもそも薬価維持特例を導入する目的は何かということでございます。そこの『考え方』に書いてございますように、これまでいろいろ加算等を評価いたしまして種々の薬価のルールをつくってきたわけでございますけれども、現行の薬価のルールの中では市場実勢価格に基づいて、2年ごとにほぼすべての薬価が下がるということから、コスト回収に時間がかかり、ドラッグ・ラグなどの影響になるのではないかという御指摘がある。そういう中でこの薬価維持特例については、一定期間薬価の引き下げを猶予することによりまして、喫緊の問題の適応外薬の問題とか、革新的新薬の創出を促進するものとして整理してはどうかということでございます。このような趣旨から、『薬価維持特例』という名称での御提案でございましたけれども、事務局からは、この名称をここに書いてございますような『新薬創出・適応外薬解消等促進加算』ということで、市場実勢価格に基づく算定値に加算することを考えてはどうかということでございます。加算の方法につきましては、薬価の維持までの額を加えるという考え方のほかに、今後の財政影響なども考えまして、市場実勢価格に基づく算定値、これは具体的には市場実勢価格の加重平均値に調整幅2%を足した算定値にその一定率を加えるということで、考えますと、同じようなやり方をやりますと、『加重平均乖離率-2%』を加算するという考え方もあるのではないかということでございます。」
 「特例」という恩恵ではなく、あえて「加算」とした磯部氏の思いは、その後の「抜本改革」などで歪められてしまったかもしれない。

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 会議の流れは、最初に厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官が資料「薬ー1」を用いて新薬創出等加算と後発品について一括して説明。その後、①新薬創出等加算の品目要件、②企業要件・企業指標、③後発品──の3つのパートに分けて質疑が行われた。

 品目要件に関する質疑の中で、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「今回、先駆け審査指定制度が品目要件に追加されれば、企業要件でも評価されているし、品目要件でも評価されている。同じように開発公募品、これも品目要件と企業要件、両方で評価されているが、かたや希少疾病用医薬品は品目要件では評価されているが企業要件では評価されていない」と指摘した上で、「何を品目要件で評価するのか、何を企業要件で評価するのという、すみ分けを今回きっちりと整理する必要があるのではないか」と問題提起した。

 これに対し、上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)は企業要件・企業指標に関する質疑の中で「新薬創出等加算については、真に有効な医薬品を適切に見極めてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るというのがコンセプト」と確認した上で、「まずは対象とすべき品目が過不足なく選定されるような品目要件を整備した上で、企業要件といったものが必要であれば、そこは、(希少疾病用医薬品、開発公募品、加算適用品、新規作用機序医薬品など)そういった取組をしているか、していないかといったシンプルな指標で評価をしていくという方法もあるのではないか」と提案した。

 後発品については、田宮薬剤管理官が「最初の価格は安定供給あるいは原薬の製造コストといった観点も含めて検討する必要がある」との認識を示した上で、最近の製造コスト上昇やトラブル事例を紹介。さらに、「特に抗菌薬の原薬の価格の上昇が続いている。後発品に関して不採算となっているものが多く、安定生産、治療現場に対する安定供給は喫緊の課題となっている」と指摘し、「例えば、ペニシリンの原薬の場合では出発原料の6APAが中国に依存しているとか、原薬の製造工場での賃金の上昇、排水や環境など、さまざまな問題でコストが上昇している状況がある」などと説明した。

 支払側の幸野委員は「安定供給リスクがあるから価格を据え置くべきだという議論にはつながらないのではないか。長期収載品の価格が強制的に後発品に近づけるというルールもできた中で、後発品の薬価は維持するのか。価格にはやはり、ある程度、差を付けていかなければいけない」と述べた。

 田宮薬剤管理官の説明と質疑の模様は以下のとおり。なお、論点はP23(品目要件)、P36(企業要件・企業指標)、P54(後発品)──の3つが挙げられている。

 質疑の中で複数の委員が言及したスライドは、P22(新薬創出等加算における要件等の整理)、P35(加算係数と薬価の状況)、P44(新規後発医薬品の乖離率)、P45(医薬品原薬の製造コスト上昇や製造に係るトラブル発生の事例)、P46(抗菌薬原薬の上昇)など。

事務局(保険局医療課)_20191009薬価専門部会

〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 では、ただいまより第157回中央社会保険医療協議会「薬価専門部会」を開催いたします。まず、本日の委員の出欠状況についてご報告します。本日は全員がご出席です。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

 それでは、議事に入らせていただきます。本日は、次期薬価制度改革について(その3)として、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、後発医薬品の薬価の在り方について検討していきたいと思います。事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。では薬剤管理官、お願いします。

【説明1】新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度(品目要件)

〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
 はい。資料の「薬ー1」をご覧ください。本日は、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度と、それから後発医薬品の薬価の在り方についてご議論いただきたいと思っております。
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 2コマ目に、これまで議論した議題も含めて検討スケジュールを載せてございます。
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 まず、新薬創出等加算制度でございますけれども、4コマ目をご覧ください。これまでの経緯ということで少しまとめております。平成20年度の薬価制度改革においてですね、引き続き検討することとされた制度がございまして、平成22年度に試行的に導入されたものでございます。
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 考え方としては、「特許期間中の革新的新薬の適切な評価に重点を置き、特許の切れた新薬については、後発医薬品への置き換えが着実に進むような薬価制度としていく」といった基本的考え方に基づいて制定されたと、策定されたというものでございます。

 その後、平成28年12月の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で、「ゼロベースで抜本的に見直すこと等」とされたことを踏まえまして、30年度の薬価制度抜本改革において、対象品目を革新性・有用性に着目して絞り込むとともに、革新的新薬の開発等に関する企業指標の達成度に応じた加算という形で整理されたところでございます。

 5コマ目に、30年度の抜本改革以前の要件と、その見直し後の要件についてまとめたもの。
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 それから6コマ目にですね、企業指標も含めてですね、イメージということでございますけれども、「品目要件」とともに「企業指標」によって区分Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで、例えば区分Ⅲの品目ですと、改定前薬価までは加算は受けるけれども戻らないというようなイメージを示しているところでございます。
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 7コマ目でございます。平成30年度の改定時点における新薬創出等加算が適用された成分数、品目数をまとめております。合計560品目でございますけれども、ご覧いただくと分かるとおり、希少疾病用医薬品あるいは有用性加算などを受けた加算適用品の数が多くなっているという状況でございます。
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 それから8コマ目につきまして、試行的実施の時からの新薬創出等加算が適用された品目数、それから企業数、加算額、
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 それから加算制度……、試行的導入からだいぶ時間も経過しておりますので、新薬創出等加算の対象から外れてですね、その後、これまでの累積加算額を控除した品目も出ておりますので、その控除額も併せてお示ししているところでございます。

 9コマ目、それから10コマ目につきましては、現在の新薬創出等加算の品目要件についてお示ししたものでございます。
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 11コマ目でございます。関係業界からヒアリングを行ったところでございますけれども、関係業界からは革新性・有用性のある品目として先駆け審査指定制度の対象品目、それから承認審査において優先審査の対象となった品目、それから新規作用機序医薬品から2番手以降で革新性・有用性に係る基準に適合する品目などを品目要件に含めることについて意見があったという状況でございます。
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 また、下に書いてございますけれども、薬価算定組織からも要件の見直しについて意見が出ているというところでございます。

 それで12コマ目でございます。こちらは薬機法(医薬品医療機器等法)の改正について審議した厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会で提示された資料でございますけれども、
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 この中で、「医療上の必要性の高い医薬品等の分類の考え方とイメージ」というものが示されております。左側の表にですね……、

 こういったものは「優先審査対象品目」となるわけでございますけれども、現行の状況におきましても、例えば「条件付き早期承認制度」のものがございます。

 それから「希少疾病用医薬品等」、これは薬機法に基づいてですね、優先審査が明記されているものでございます。

 それ以外にですね、下に「革新的医薬品等」とございますが、これは要件などをご覧いただくと、先駆け審査指定制度の対象品目をイメージしているものですけれども、こういったものですとか、

 あるいは「未充足ニーズを満たす医薬品等」ということで具体的に書いてございますが、小児の用法・用量、あるいはAMR対策の開発等をしたものなどについてですね、新たなカテゴリーとして優先審査対象としてはどうかといった形で議論をされた時の資料でございます。

 13コマ目でございます。現行の先駆け審査指定制度の概要をお示しをしているところでございます。
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 14コマ目。先駆け審査指定制度の対象となった品目の指定の状況、それから薬価収載の状況をお示ししております。右側の備考欄をご覧いただければと思いますけれども、例えば14コマ目で言いますと、ラパリムスゲル、ゾフルーザ錠、ゾスパタ錠につきましては、既に薬価収載されておりまして、いずれも有用性加算が適用されていますので、新薬創出等加算の対象となっているという状況でございます。
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 それから15コマ目でございますけれども、こちらのビンダケルカプセルについては、効能追加の部分が先駆け審査の対象だったというものでございますけれども、この品目自体は希少疾病用医薬品ですので、新薬創出等加算の対象となっているというものでございます。
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 それから、ロズリートレクカプセルにつきましても有用性加算が適用されておりますので、新薬創出等加算の対象になっているという現状でございます。

 16コマ目でございます。こちらは参考でございますけれども、薬機法の改正法案の中でですね、先ほど申し上げた、真ん中に「改正後」という形で枠がございますけれども、「希少疾病用医薬品等」に加えてですね、「先駆的医薬品等」、それから「特定用途医薬品等」というもののカテゴリーについて優先審査等の対象となる旨を法律上明確化するということが盛り込まれているものでございます。
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 17コマ目も同様にですね、医薬品の条件付き早期承認制度、これは現行、通知によって運用されているものでございますけれども、こちらの内容につきましても優先審査の対象という形で盛り込まれているという状況でございます。
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 それから、18コマ目でございます。こちらは業界からのヒアリングで日薬連(日本製薬団体連合会)から提出された資料でございます。
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 ご覧いただくと、現行の対象品目の「希少疾病用医薬品」の矢印の所の右に書いてございますけれども、ここの部分について「先駆け審査指定制度や特定用途医薬品の対象品目なども対象とすべき」といった意見、

 それから「新規作用機序医薬品」の所に関しまして、「追加効能や2番手以降の品目についても、革新性・有用性に係る基準の該当性を判断すべき」といった意見が出されたところでございます。

 19コマ目、20コマ目につきましては、ファルマ(米国研究製薬工業協会)、エフピア(欧州製薬団体連合会)からの意見の資料でございますが、おおむね同様の出張がされている、というところでございます。
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 21コマ目でございます。こちらは厚生労働科学特別研究事業で行われた製薬企業に対するアンケート調査の結果をまとめたものでございます。
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 新薬創出等加算の対象品目を有している企業83社を対象として68社から回答があったということでございますけれども、そのうち59社、86.8%がですね、「30年度抜本改革が影響を与える」といったような回答をしているということ。

 それから2つ目の丸でございますけれども、新薬研究開発への影響が大きいと考えられる薬価算定ルールの変更事項について聞いたところ、1位の回答、総回答とともに「新薬創出等加算の見直し」とした件数が多かったなどの結果が出ているところでございます。
 次いで22コマ目でございます。こちらにつきまして、現在の品目要件と、それから今まで紹介してきた関係業界から提案のあったもののうち、主なもの、医薬品のカテゴリーについてまとめたものでございます。
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 ご覧いただくと分かるとおり、「新規作用機序医薬品の収載から2番手以降で、革新性・有用性の基準を満たす品目」ですとか、あるいは「先駆け審査指定制度の対象医薬品」、それから「未充足のニーズを満たす医薬品」等について業界等から要望がされている、主張がされているという状況でございます。

 併せてですけれども、右側に「企業指標で考慮」とありますとおり、例えば「厚労省が開発を公募した医薬品」ですとか、「先駆け審査指定制度の対象医薬品」につきましては、「企業指標」の中でポイントとして考慮しているということも併せてお示しさせていただいております。

 以上を踏まえまして、23コマ目でございますけれども、
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 この革新的新薬の創出を加速することを目的とする本制度の趣旨を踏まえて、新薬創出等加算の対象となる革新性・有用性のある品目の範囲についてどう考えるか、という論点を挙げさせていただきました。

【説明2】新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度(企業要件・企業指標)

 続きまして、24コマ目からは「企業要件・企業指標について」でございます。新薬創出等加算の企業要件・企業指標につきましては、革新的新薬の創出、それからドラッグラグ対策、それから世界に先駆けた新薬開発に関する指標を設定し、その達成度・充足度に応じて加算にメリハリを付けるとされているところでございます。

 また、ベンチャー企業等への配慮といたしましては、中小企業であること等の要件を満たす場合には区分Ⅲに分類された場合であっても区分Ⅱとみなすというルールを設定しているところでございます。

 ただ、これまで適用された事例はないというところでございます。

 下に表がございますけれども、区分Ⅰ・区分Ⅱ・区分Ⅲ、それぞれ23社、54社、6社という状況。30年度改定時点においては、こういう状況であったということでございます。

 25コマ目に具体的な企業指標、それから、その分類方法について現行のルールを記載させていただいております。
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 26コマ目は、平成30年度抜本改革の時に「今後検討する事項」としてですね、この企業指標について引き続き検討するとされているということでございます。
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 27コマ目でございます。企業指標の区分Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのそれぞれの区分ごとにですね、各企業指標の平均ポイントというものを調べてみたものでございます。
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 ご覧いただきますと、区分Ⅰの企業におきましては「A-1」それから「A-2」と、「国内試験実施数」あるいは「新薬収載実績」といったところでですね、高いポイントが出ているということが伺えるかというふうに思います。

 それから、28コマ目をご覧いただければと思いますけれども、今度は、その企業指標とは別の観点でございますけれども、30年度改定以降にですね、区分Ⅰあるいは区分Ⅱ、区分Ⅲの企業がですね、どれだけ新薬の収載をしたかというものを示ししたものでございます。
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 ご覧いただくと、区分Ⅰは23社で50品目。区分Ⅱは55社で24品目という収載がございましたけれども、そういう意味では区分Ⅰの企業のほうが1社あたりの収載数は多いということになります。

 ただ、その下に書いてございますけれども、新薬創出等加算対象品の新規収載ですとか、あるいは新規収載時に有用性系加算を受けた品目につきましてはですね、区分Ⅱの企業においてもそれなりに加算等の適用を受けているということがお分かりいただけると思います。

 また、開発公募品の承認数につきましては合計5品目と少ないんですけれども、区分Ⅱの企業でも2品目ということでございますので、それなりに開発公募の取組なども、区分Ⅱの企業でもされているといったことが伺えるかと思います。

 29コマ目でございますけれども、これは日薬連からの提出資料でございますけれども、数が評価されるので……、
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 いずれにしても数が評価されるので、企業規模による影響を強く受ける点で公平性に欠けるのではないかといったようなご指摘、あるいは相対評価ですので予見性に乏しいといったような意見があったところでございます。

 30コマ目をご覧いただければと思いますけれども、例えば「開発公募品への対応」ということを見てみますと、ご覧いただくと分かるとおり、大企業も多数ございますけれども、そうでない、必ずしも大きくない企業もそれなりに開発公募品の開発に着手しているということが伺えるかと思っております。
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 それから32コマ目、33コマ目、再掲でございますけれども、先ほどの先駆け審査指定制度の対象品目、掲載してございますけれども、こちらについても規模の大きい企業ももちろんございますけれども、それ以外の企業も指定を受けている状況は伺えるかというふうに思っております。
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 34コマ目は先ほどの再掲でございますけれども、企業指標という面も含めて、こういった品目について一覧として議論のために出させていただいているものでございます。
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 35コマ目をご覧ください。「加算係数と薬価の状況」についてまとめたものでございます。
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 加算額……、区分Ⅰとですね、区分Ⅱ、区分Ⅲ、それぞれ係数が「1.0」「0.9」「0.8」となっているわけでございますけれども、このうち、改定前薬価が維持されたものについて調べてみました。

 そうすると、区分Ⅰにつきましては82%の品目が薬価が維持されている。

 しかし一方、区分Ⅱについては27%、区分Ⅲについては薬価が維持されているものはないということでございます。

 ただ、その下に青字で書いてございますけれども、乖離率が2%以下のものを内数で示しております。これはどういうことかと言うと、要は、通常の実勢価改定でですね、この新薬創出等加算を受けなくても元の薬価まで戻っているというものがどれくらいあるかということでございますけども、

 区分Ⅰですと15%、区分Ⅱですと47品目中46品目がほぼ全てがですね、実際には加算で戻っているのではなくて実勢価改定で戻っているという状況が窺い知れるかと思います。

 この理由でございますけれども、下に「参考」ということで新薬創出等加算の加算額を記載してございます。こちらの中括弧の中でございますけれども、「改定前薬価」から「市場実勢価改定後の価格」を引いたもの、あるいは、下の計算式のいずれで求められ……、

 算出される額のいずれか低いほうとなっております。

 この「改定前薬価」から「市場実勢価改定後の価格」の差というものはですね、まさにこう、市場実勢価から、改定前から戻るという……、

 改定前薬価に戻る分の加算額を上限になっているということでございますので、ここでいったん下の計算式だけですとですね、乖離率が低い場合には、この改定前薬価を超えるような額の加算というものも計算上は出てくるんですけれども、

 この中括弧にございますとおり、「改定前薬価までしか戻らない」というのをいったん計算した上で、そこに区分係数「0.9」とか「0.8」を掛けておりますので、基本的には区分Ⅱとか区分Ⅲは改定前薬価には戻らないという試算式になっているということでございます。

 そういう意味では、区分Ⅰ、区分Ⅱ、区分Ⅲの間の差と言いますか、メリハリの付いた形にはなっているとも言えるのではないかと考えているところでございます。

 以上を踏まえまして、36コマ目に論点として記載してございますけれども、
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 企業指標、それから企業区分ⅠおよびⅢの範囲、それから区分ごとの加算係数について、革新的新薬開発やドラッグ・ラグ解消の取組・実績を評価する観点、それから製薬企業がさらなる革新的新薬開発等に取り組むインセンティブとする観点から、どう考えるか。というのが1つ目の論点でございます。

 それから、2つ目の論点といたしまして、これは企業指標について、ということになりますけれども、革新的新薬等の開発実績、あるいは開発品目数の少ない小規模企業による革新的新薬の創出というものについては、現行の企業指標で十分考慮されているといえるかどうか、ということ。こうした状況について、現行の企業指標とのバランスも踏まえつつ、どう考えるか。ということを2つ目の論点として挙げさせていただきました。

【説明3】後発医薬品の薬価の在り方

 続きまして 後発医薬品の薬価の在り方についてでございます。38コマ目に現状を記載してございますけれども、現行のルールは新規後発品については、先発品の薬価に0.5掛けの額、内用薬で銘柄数が10を超える場合は0.4掛けとされているところでございます。
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 また、下の右側にございますけれども、実際の薬価改定時にはですね、この3つの価格帯に集約して改定を行うというふうにされているところでございます。

 30年度の抜本改革におきましてはですね、この後発品の薬価算定ルールにつきましては、使用割合の80%達成時期目標の設定、あるいは毎年薬価調査、毎年薬価改定の導入、あるいは長期収載品の薬価の見直しなど、環境が大きく変化するといったことを踏まえてですね、現状維持とされまして、次回以降の改定で検討を行うとされたところでございます。

 39コマ目は、そういったことを30年度改定時に説明した時の資料ということでございまして、
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 40コマ目でございますが、前回の改定の答申書附帯意見でも「引き続き検討すること」とされているところでございます。
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 41コマ目には、後発品の使用割合の推移を掲載してございます。昨年、消費税改定のために薬価調査を行いましたので、直近では72.6%というところでございます。
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 42コマ目はですね、後発品の欧米諸国との価格水準を比較したものでございます。29年に一度お出ししているものでございますが、 ご覧いただくと、特にアメリカがですね、後発品の価格も突出しているということがお分かりいただけるかと思います。
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 そこで、欧州の国ともっと比較を分かりやすくするために新たに作成したのが、29年8月に提出したのが43コマ目の資料でございますが、
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 これをご覧いただくとですね、日本の後発品の価格水準というのはフランスと同程度で、イギリスが日本よりも低い。ドイツが若干日本よりも高いといったような傾向があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 44コマ目でございます。新規後発品のですね、収載後の乖離率を示したものでございます。
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 表にございますけれども、平成28年6月から平成29年6月に収載された新規後発品につきまして、真ん中の例えば、0.5掛けで算定された内用薬につきましては、括弧書きにあるとおり19成分あるわけでございますけれども、これの平均乖離率は19.5%だったということでございます。

 これがどういう水準かと申しますと、下に「参考」として記載がございますけれども、先発品の価格が100円であったとすると後発品の収載時の薬価は0.5掛けの50円ということになります。

 その後、収載後の最初の薬価調査時において乖離率が19.5%だったとしますと、これは薬価改定時に41.3円に改定されるという水準と。すなわち、改定前の先発品の価格の0.41倍という水準になるということでございます。

 ただまあ、これをもって「0.4掛けとしていいのか」というところの議論につきましては、なかなか議論があるところだと思っておりまして、これはあくまで平均の価格水準ということでございますので、

 例えば、下の表をご覧いただきますと、同時に収載される品目数によってですね、乖離率というのが分かれております。例えば、収載品目数が「1~5品目」ですと、一番上の表(=行)でございますが、20%以下の成分数が24成分のうち半分の12成分といったような状況が伺えるということでございます。

 一方、6品目以上収載された場合には、20%超の品目……、成分数になっているという状況が伺えるというところでございます。

 それから、併せて後発品の、この最初の価格につきましてはですね、安定供給あるいは原薬の製造コストといった観点も含めて検討する必要があると思っておりまして、45コマ目に最近の製造コストの上昇や製造に係るトラブル発生の事例ということで事例を5つほど紹介させていただいております。
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 また、あわせて46コマ目でございますけれども、特に抗菌薬の原薬の価格の上昇が続いているということでございまして、特に後発品に関して言うと不採算となっているものが多く、安定生産、治療現場に対する安定供給は喫緊の課題となっているといったような資料も提出されているというところでございます。
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 例えば、このペニシリンの原薬の場合ですと、出発原料の6APAが中国に依存しているとか、その原薬の製造にあたってのですね、その工場での賃金の上昇とか排水の問題とか環境対応とか、さまざまな問題でコストが上昇しているというような状況があるというふうに聞いているところでございます。

 また、参考までに47コマ目には「最近の主な供給不安事案」についてもまとめております。
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 それから48コマ目につきましては、前回提出していただいた新規後発品の収載あるいは供給停止品目数の推移の状況、
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 それから49コマ目も前回出させていただきました安定供給のための厚労省の取組。3番目にありますように、原薬のダブルソース化といったようなところも進めているというところでございます。
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 50コマ目でございます。後発品の価格帯についてでございます。3価格帯……、最大3価格帯ということになってございますけれども、調べてみますとですね、成分規格数で1価格帯になっているものが1,440と一番多いということでございますけれども、2価格帯、あるいは3価格帯になっている後発品もあるということでございます。
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 51コマ目に、現行の後発医薬品の価格帯集約のルールを記載してございます。真ん中の表のですね、左側がですね、市場実勢価格に基づいて算出される薬価ということと、ご理解いただければと思います。
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 こういった価格帯品目ごとに実勢価格に基づく薬価が算出される場合にですね、そのうち最高価格の50%、あるいは最高価格の30%の所に線を引いて、その間に入るものについて、3つのカテゴリーで加重平均をするというのが現行のルールということでございます。

 併せて、下にポツが書いてございますけれども、G1・G2品目、30年度改定で導入いたしましたが、この「G1・G2品目に係る後発品については1価格帯に集約する」ということが前回の抜本改革で決まっております。

 ただ、実施するのはですね、「次回改定から実施」ということで、まだこのG1、G2に係る後発品を1価格帯に集約するというルールは現時点ではまだ適用されていない。次回から適用することになっているということでございます。

 それから52コマ目はですね、中間年改定が行われた場合のイメージということで、価格帯の大きな品目を改定対象とするということになるので、後発品の中でも「改定対象外」と「改定対象」のものが分かれる可能性があります。
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 そういった場合には、この中間年改定におきましては、いったん、この点線で囲んでありますように「改定対象外」と「改定対象」のものが分かれて加重平均するので、いったん5価格帯になる。それを診療報酬改定年度に3価格帯に集約するというようなイメージまで、30年度の抜本改革においてはお示ししているところでございます。

 53コマ目でございます。こちらは日薬連から提出された資料でございますけれども、
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 初収載の薬価につきましては、数量シェア80%となる後発品の安定供給の必要性を踏まえると、初収載薬価は見直すべきではないといったような意見。

 それから、価格帯につきましては、市場での評価が適切に反映される制度とすべきであるといったような意見が出されているところでございます。

 これを踏まえまして54コマ目に論点でございますが、
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 後発医薬品の乖離率や安定供給の状況等を踏まえて、新規後発品の薬価の在り方、それから価格帯の集約についてどう考えるか。ということを挙げさせていただきました。説明は以上です。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、ありがとうございました。ただいまの説明を踏まえて、これから3つのパートに分けて協議を行いたいと思います。

 まずは4ページから23ページまでの新薬創出等加算の品目要件に関して、ご質問、ご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。では松本委員、お願いいたします。

【質疑1】新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度(品目要件)

〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 では、23ページ目の論点に沿って発言させていただきます。
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 新薬創出等加算につきましては、前回改定以前は革新性の低い新薬も対象になり得ることが問題となり、前回改定で真に革新性・有用性のある医薬品に限定して適用するルールに是正いたしました。

 22コマ目に、革新的新薬、ドラッグラグ解消に係る品目と新薬創出等加算の関係が示された表がありますが、
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 品目要件で丸がついていない項目を真に革新性・有用性のある医薬品という観点で見ると、下から4番目の「先駆け審査指定制度の対象医薬品」であれば、まあ、該当するのかなあ、とも思われますけれども、

 それ以外の項目については、もう少し具体的な事例が示されない限りは判断が難しいというふうに考えます。以上です。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかは、よろしいでしょうか。はい、では吉森委員、お願いします。
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〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 はい、ありがとうございます。23ページに関してですけれども、
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 まず、薬価専門部会(=薬価算定組織)からの提言もありましたけれども、市販後に革新性・有効性の高い効能を追加した医薬品、また有用性が新薬創出等加算の品目と同程度と考えられる新規作用機序医薬品、これを新薬創出等加算の対象にするということについては、

 まあ、現行制度の新規作用機序医薬品の革新性およぶ有用性に関わる基準という考え方からしても、一定、合理性があるのかなあと思いますんで、品目要件への追加検討というのは妥当性があるんじゃないかというふうには考えます。

 一方で、業界団体が2番手以降の、その、開発を停滞させない観点で、3年以内、3番手以内という要件の見直しをしてくれという、まあ、意見がございますけれども、

 この新規作用機序医薬品の収載から3年以内、3番手という、この要件はまさに革新的新薬の創出を効率的・効果的に促進するために設定されたものだというふうに理解しておりますし、

 革新性・有用性の観点で絞り込むというような一定の合理的な理由に基づいて設定されているんだというふうに理解しましたんですが、

 一方で、ファルマの意見の中に、米国での3年以内の2番手承認品目は2割以下だというような意見がございます。

 ここでちょっと、再度改めて事務局にお願いですけれども、「3年以内」という期間設定の考え方の趣旨等をもう一度確認したいんですが、教えていただけますでしょうか。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、これは……、では薬剤管理官、お願いします。
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
 はい。3年以内の考え方につきましてはですね、実際に業界の意見などもございましたけれども、1番手と同時期に収載される、その、2番手、3番手というのはですね、まあ、1番手とある意味、開発の競争しているというような状況で……、開発競争をしているということでございまして、

 そうすると、例えば、こちらからお示ししましたのは、ある品目について公開された特許情報とかですね、あるいは治験の成績などが分かれてからですね、別の企業と開発を着手しても、通常3年以内に上市にまでこぎ着ける、承認までこぎ着けるというのはまず困難であるということからすると、

 まあ、非常に開発にしのぎを削っている中でですね、3年以内のものであれば、ほぼ同様の開発リスク、開発研究リスクの中で、各企業が開発をしているといったようなことからですね、同様の革新性・有用性があるとみなせるんではないかといったような考え方だと理解しております。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、では吉森委員、お願いします。
.
〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 現実問題として、米国に限るのか、2割以下だというようなデータがあるんだろうとは思うんですけれども、

 今のお考えに「日本として」というか、わが国の薬価制度として、きちんと一定の革新性・有用性の観点で絞り込むには合理的な妥当性があるということであるならばですね、

 やはり、ここのところは2番手以降で、革新性・有用性に係る基準を満たす品目を期間制限を撤廃しろという意見については、賛成しかねるのかなあというふうにも思いますし、

 まあ、この、期間の、3年なのか、例えば5年がいいのかという、期間の長さの検討の余地はあるとは思いますけれども、今のこの期間を要件としている仕組みっていうのは維持してもいいのかなあというふうには思っております。

 まあ、いずれにしましても、医療保険の財源というのは限られているわけでございますから、それを念頭に、この加算拡充による開発の促進効果、医薬品価格の上昇に見合うものであるかということを踏まえて検討するということが大事な要点だろうというふうにも思います。

 そういう意味では、この22ページの品目要件のマトリックス表がありますけれども、
.

 このバーが付いている、特に関係業界からの提案があったもののうち主なもの、これについては先ほど松本委員からもございましたけれども、どの程度の品目があって、どの程度の医療費に影響を与えるのかっていうようなデータをお示しいただくことが、まあ、議論する上で大事なことなんだろうというふうには思っております。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 では有澤委員、お願いいたします。
.
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 ありがとうございます。新薬創出加算、この品目要件の検討対象として、いくつかカテゴリーが示されています。13コマにありますようにですね、品目の革新性という観点から言えば、先駆け審査の指定制度ですね、こちらに、特に1ポツの所に、「治験(=治療)薬の画期性」ということで、「原則として、既承認薬と異なる作用機序であること」というふうに示されておりまして。
.

 こういうことからですね、革新性について一定の要件を満たしているということも考えられますので、新薬創出加算の対象品目としてよいのではないかと思います。

 もう1点。新薬創出加算の品目要件の対象となる、たぶん12コマ目ぐらいに書いてありますけど、未充足ニーズの医薬品等という所でですね、薬剤耐性菌等による感染の治療薬が挙げられています。
.

 このような医薬品の開発というのは大変に重要であると考えますが、一方ではですね、医療現場でそう簡単に、まあ、頻回に用いるものでもないということからですね、結果として市場規模が小さい。

 そういうことから、企業がなかなか着手しないということも考えられますので、次の論点になるのかもしれませんが、そのため開発を促進する上ではですね、個別品目の評価よりも、むしろ企業指標のほうに組み入れる、こういうことで強いインセンティブが働くのではないかと考えます。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、では幸野委員、お願いします。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 22ページが対象になってますんで、それぞれについてどう考えるかということで述べさせていただきますと、
.

 まず「先駆け審査指定制度の対象医薬品」、まあ、これは松本先生もおっしゃいましたが、新薬創出加算の趣旨を踏まえれば、世界に先駆けた新薬ということで革新性も持っているということで、これは対象にしてもいいと、検討の余地があるのではないかというふうに思います。

 それから、その下の「未充足のニーズ」、これ、薬機法の改正によって優先審査の対象となるものということなんですが、12ページを見ると、医療上の必要性は高いんだけど革新性が求められていないというとこからすると、これは「品目要件」というよりも、どちらかというと「企業要件」として設定すべきじゃないかというふうに思います。
.

 それから、先ほど話題になりました、これは今、収載になっている「3年以内、3番手」の品目なんですが、これは30年の薬価制度抜本改革を振り返ると、当初案では新規作用機序医薬品の収載から「1年以内かつ3番手」というのが当初示されたと記憶してます。

 その後、業界のヒアリング等々を経て、この1年が3年になったというふうに修正されたと記憶してますが、これがスライド7によりますと、加算要件を満たした成分数、品目数を見ると、新規作用機序の収載から3年以内かつ3番手のうち、1番手が加算適用品の基準該当品は38品目という、7%を占めているということなんですが。
.

 これが果たして、革新性・有用性のある品目の範囲として妥当であるのかというふうなところを検証して、本当にこの3年というのが妥当なのかということについては、今回改めて見直す必要があるんじゃないかというふうに思います。

 それと、「品目要件」と「企業要件」のどういうすみ分けをするかっていうことについても、今回、はっきりさせたほうがいいんじゃないかというふうに思います。

 例えば、今回、先駆け審査指定制度が品目要件に追加されれば、企業要件でも評価されているし、品目要件でも評価されていると。同じように開発公募品、これも品目要件と企業要件、両方で評価されてるんですが、かたや希少疾病用医薬品は品目要件では評価されてるけど企業要件では評価されてないということになってて、何を品目要件で評価するのか、何を企業要件で評価するのかっていう、すみ分けを今回きっちりと整理する必要があるんじゃないかなあというふうに思います。以上です。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、ほかはいかがでしょうか。では、ありがとうございました。では次に、24ページから36ページまでの新薬創出等加算の企業要件・企業指標についてのご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。では松本委員、お願いします。

【質疑2】新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度(企業要件・企業指標)

〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 36ページ目の論点でございますけど。
.

 7月の業界ヒアリングの際に「企業指標は公平性に欠ける」との主張がありました。それに対して、私は「革新的な新薬開発へのインセンティブという観点からすれば、数で評価することは極めて自然ではないか」と述べ、業界に対して公平性を担保できる具体案を求めましたが、まあ、ゼロ回答でございました。

 従って、企業指標については、不公平感を改善しうる具体的な提案がされない限り、原則、このまま維持されてよいのではないかと思います。以上です。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかはいかがでしょうか。はい、では吉森委員、お願いします。
.
〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 はい。今の松本委員の意見にもかぶるところがありますけれども、この7月の24日の業界団体ヒアリングにおいて、数が評価される、企業規模の影響を強く受ける大企業に有利で公平性に欠けるという主張がございました。

 この主張には一定の合理性があるとは思っておりますけれども、小規模企業であっても革新的な医薬品の開発に取り組むんいらっしゃる企業については、当然、正当に評価できるような仕組みとすることは検討に値すると考えますけれども、

 じゃあ、数に代わる具体的な指標はどういうものがあるのか。これは今の松本委員と同等の意見でございまして、業界からの具体的な案の提示、これを頂いて、事務局で整理して、それを踏まえて議論してはどうかというふうには考えております。

 また、35ページ企業区分Ⅱ・Ⅲの品目。
.

 これは乖離率2%以下でない限りは加算を受けても改定前価格が維持されない仕組みということになってますんで、この企業区分や加算係数の在り方については、今の企業要件の見直しの議論と一体的に検討し、それを整理、検討を踏まえて議論をするという工程がよろしいのかなあというふうにも思いますし、

 品目要件・企業要件、先ほどの幸野委員の意見と同等でございます。その辺、きちっと区分をして議論を進めるというふうにしていただきたいというふうに思います。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかはいかがでしょうか。はい、では幸野委員、お願いします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。企業要件については制度設計をもう一度見直すべきだというふうに思います。

 まず、企業要件は創薬にかかる企業間競争を促すためにつくられたというふうに認識しておりますが、それは必要なことで、開発の実績によって差を付けるということは継続していくべきだというふうに思います。

 業界からの意見で、「相対評価が予見性を損ねる」というふうなこともありますが、この相対評価が予見性に乏しいということであれば、これ、相対評価をやめて絶対評価にするというふうなことも検討の余地があるんじゃないかというふうに思います。

 現行の企業区分は相対評価となっているため、最下位タイ、これ、最下位は何もしてない会社なので、最下位タイ以外、6社しかないんですけど、1つでも開発すれば、区分Ⅱ以上になるということで、区分Ⅰ・Ⅱの割合が93%を占めている。

 こういうのはちょっと指標としてはちょっと違うんじゃないかなあというふうに思いますんで、この相対評価の在り方自体はちょっと見直すべきじゃないかというふうに思います。

 28ページを見ても、区分Ⅰは確かに新規収載の数は多いんですけど、
.

 新規収載に占める新薬創出加算の対象品、要は、革新的なものを作っている割合というのは、実は区分Ⅰより区分Ⅱのほうが多くて、有用性加算の対象品も区分Ⅱのほうが多いという結果が出ているのを見ると、

 真に革新的なもの、有用性なものを出している企業は区分Ⅰなのか、というふうなところを見ると、ちょっと、この数値を見ると、疑いたくなるというふうなところで、

 まあ、この制度設計については見直したほうがいいんじゃないかというふうに思います。

 それから、論点にある加算係数「1.0」「0.9」「0.8」が妥当なのかというふうなところで、35ページで、どれだけのものが改定薬価が維持されたかという資料が出てるんですが、
.

 確かに、区分Ⅰについては8割が維持されてるんですけど、区分Ⅱについては3割弱しか改定前の薬価が維持されてないというデータが示されてます。

 区分Ⅲについてはもう、100%維持されてないということなんですが、ここで「1.0」「0.9」「0.8」の妥当性を見極める中で、「1.0」「0.8」というのはあまり差がないように見えるんですけど、

 こういったデータを見ると、かなり改定が維持されていないというのを見ると、この0.2以上の差が付いているということはまあ、理解できるんですが、

 データとして、もし提出していただけるんであれば、「改定前薬価が維持されてなかったもの」が、区分Ⅰ・区分Ⅱ・区分Ⅲで「どれぐらいの水準で薬価が落ちているのか」というふうなところを見て、その水準を見て、「1.0」「0.9」「0.8」というのが妥当なのかどうかというふうなことも議論していく必要があるんじゃないかというふうに思いますんで、

 可能であれば、そういうデータをもとに「1.0」「0.9」「0.8」の妥当性を議論していきたいというふうに思います。以上です。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 どうもありがとうございました。ほかはご意見いかがでしょうか。あ、では、まず薬剤管理官、お願いします。
.
〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
 はい。幸野委員から最後、ご指摘があった点についてちょっと見てみたいとは思うんですけども、

 おそらく区分……、「どれくらいの水準になるか」っていうのがですね、「個々の品目の乖離率がどれくらいか」というところは見れるところがございます。

 例えば、区分Ⅰですと係数1.0なので、計算式で出た加算額をそのまま適用されることになるんですけれども、もし乖離率がですね、非常に大きくて、例えば平均乖離率よりも大きいようなものですと、下に、35コマ目の計算式ございますけれども、
.

 平均乖離率を超えてしまった場合ですと、加算の計算式がですね、もともと0.5掛けになったりとかもしますので、品目の加算……、乖離率がどれくらいになるかによってですね、だいぶばらつきが出る可能性がありますので、ちょっと調べさせていただきたいと思いますけども、

 もしかすると区分Ⅰ・Ⅱ・Ⅲでそういった傾向とかが出ない可能性もあるかなという気はしているところでございます。いずれにしても、ちょっと確認させていただきたいと思います。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい。では上出委員、お願いします。
.
〇上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)
 ありがとうございます。専門委員としてコメントをさせていただきたいと思います。この企業要件につきまして今いろいろ、ご議論 ございましたけれども、本日の論点の2点目でございます。
.

 革新的新薬等の開発実績、開発品目数の少ない小規模企業による革新的新薬の創出、こういったものの評価という観点で、現行の企業指標を見てみますと、スライド27にございますとおり、どうしても「A-1」「A-2」といった所が、このポイントの大きな部分を占めております。
.

 この「A-1」「A-2」、国内試験の数、それから新薬収載実績の数ということで、どうしてもこの数を評価してまいりますと、企業の規模に引っ張られるところが出てまいります。

 そういった意味で、規模の小さな企業の新薬開発インセンティブということを考えますと、例えば、この「A-1」というところにつきましては、数ではなくて、「こういった開発をしているか、していないか」という観点で、企業をいったん区分して、

 そして、やってる企業については、本日の資料の34コマ目にございます、こういった個別の指標、
.

 「希少疾病用医薬品」ですとか「開発公募品」「加算適用品」「新規作用機序医薬品」、また先ほどご議論もございましたけれども「先駆け審査指定制度の対象品」、

 こういったものをやっているかいないかということで評価していけば、そういった小さな企業のイノベーションといったことの促進も達成できるんではないかというふうに考えております。

 また、先ほど品目要件と企業要件、これ、どう整理していくのかといった問題提起もあったかと思います。

 この新薬創出等加算につきましては、真に有効な医薬品を適切に見極めてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るというのがコンセプトというふうに記載されております。

 そういった観点で、抜本改革で品目要件というものが新たに設定されたわけですけれども、まずは対象とすべき品目が過不足なく選定されるような「品目要件」を整備した上で、

 その上で「企業要件」といったものが必要であれば、そこは「そういった取組をしているか、していないか」といったシンプルな指標で評価をしていくという方法もあるのではないかというふうに考えます。以上でございます。
.

〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい、よろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございました。では最後になりますけれども、38ページから54ページまでの後発医薬品の薬価の在り方に関して、ご質問、ご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。では松本委員、お願いします。

【質疑3】後発医薬品の薬価の在り方

〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
  54コマ目の論点の所でございますけれども。
.

 日本医師会は従来から後発品メーカーの統合・再編が不可欠と主張しております。

 1つの先発品に対して後発品を発売するメーカーが20社も超えるということも珍しくない中で、品目数が多いことによる分かりにくさが医療現場での使用促進の妨げになっているとも言えます。

 厚生労働省が公表した「医薬品産業強化総合戦略」においても、使用割合が80%になるということは、その後の国内における市場拡大の余地はこれまでよりも小さくなるということでもあり、今の段階から将来を見越して各メーカーは集約化、大型化も含めて、その在り方について検討することが必要ではないかと指摘しています。

 日本ジェネリック製薬協会も「ジェネリック医薬品産業ビジョン」において、

 「ジェネリック医薬品を扱う全てのメーカーが、各社の『役割を明確化』することにより、産業としての透明性を高め、全ての人々に『信頼』される産業を目指す。結果として、ジェネリック医薬品メーカーの集約化や大型化に繋がる可能性がありうる。」

 と言及されておられます。

 その上で、新規後発品の薬価の在り方についてですが、45から47ページには安定供給が懸念される資料が提出されております。
.


 先ほどのとおり、今後は後発品メーカーの再編・統合を進めることが望まれます。

 その一方で、2020年度までに後発品の使用割合を80%以上とする国を挙げての目標に進んでいる現在、全ての新規後発品の価格を現行の0.5掛けから、例えば0.4掛けにするべきか否かにつきましては、安定供給という側面からも考慮すると、慎重な検討が必要ではないかと考えます。

 また 51ページにありますが、価格帯集約ルールでは安売りをしている後発品の薬価が引き上げられるという問題が生じております。
.

 この点につきましては、7月の業界ヒアリングの際に澤井会長が発言されたように、「価格帯集約により改定後の薬価が改定前の薬価を大幅に超える品目は別の価格帯にするなど、市場での評価が適切に反映される制度に改めるべき」との発言がありましたけれども、やはり価格帯を少し増やすような方向での検討もあってもいいんではないかなあというふうに思います。以上です。
.

〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかはいかがでしょうか。では吉森委員、お願いします。
〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 44ページを見ますと、0.5掛けの内用薬の乖離率が19.5%。その隣の0.4掛けたと37.7%と。
.

 これだけ見ると、やはり乖離率がこんなにあるんなら下げるべきなんだろうというふうに思ってしまいますけれども、

 ここの注釈もありますけれども、仮に先発品と同じ引下げの値幅と言いますか、絶対額であれば、率としては間違いなく後発品の乖離率が高く出てしまう。こういうことに留意する必要があるんだろうというふうに思いますので、

 この表だけを見て、一概にどうだという議論は非常に慎重にやらないといけないんだろうというふうに思いますし、

 当然、品目数が多くなれば値下げ競争、値引き競争も大きくなって、乖離率は当然のことながら高くなると。そういう価格競争の原理が働く。こういうこともございますので、ここは慎重に見ていく。

 併せて、45、46、47で、近年、最近、この医薬品原薬の製造コスト、並びに中国を中心とした環境問題対応、こういうことから原薬の価格の上昇が続いているというのは、もう、ここにあるとおりだと思いますので、
.


 こういうところを踏まえますと、当然ながら80%になってきた後発医薬品の安定供給、安定生産、この辺をきちっと見ながら、さらには、この値段が下がって不採算のものがあるというふうに……、

 これはちょっと、この発表どおりなんで、本当にそうかっていう検証も必要なのかも分かりませんが、不採算であるのも間違いないことであるならば、

 やはり新規後発医薬品の薬価についての考え方は慎重にやっていくべきだろうというふうに思っております。

 一方で、53ページの価格帯集約の件でございますけれども、業界資料提出にございますように、市場実勢価格と改定薬価の乖離が生じている中で、市場実勢の安いものの薬価が、この集約により引き上げられる。先ほど松本委員もおっしゃってました。

 ここが、やはりきちっと見ていく必要があるんだろうと思いますので、当然ながら、こういうことを、この集約の価格帯にしていく、今の3価格帯でやるということであるならば、この問題をどういうふうに解決するのか。

 業界の皆さんの研究がもしおありにあるならば、きちっとご提案をいただいて、事務局で整理をして、この専門部会で議論をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかはいかが……、では今村委員、お願いします。
.
〇今村聡委員(日本医師会副会長)
 はい。今の松本委員、それから吉森委員のご発言にも共通のお話だと思いますけど、

 後発医薬品のこの使用割合っていうのは、目標値80%にかなり近づいてきていると。財政的な視点が非常に大きいと思うんですけれども、

 われわれ、実際に患者さんに薬を処方する医師としてみると、やはり安定供給ももちろんありますし、安全性っていうことも非常に重要視されていると思います。

 これまで以上に医師が安心してこの後発医薬品を患者さんに投薬できるっていう大前提として、やはり、ここに45ページ、46ページにもありますように、
.

 いろんな問題がやっぱり、原薬を海外に依存していること、依存しすぎていることですかね。

 それから、あとはやっぱりトレーサビリティの問題。どこの患者さんが、日本でおられるお薬……、

 信頼できる日本の企業の薬を飲んでいると思ったら、中に入っている原薬は全て海外から入っているものなのだと。そういった安全性について実際に、こういういろんな問題が起こっているということを見ますとですね、

 やはり、その辺の、これは価格の話とは直接は違うのかもしれませんけれども、こういったトレーサビリティとか、

 あるいは原薬をどうしていくのかっていうことを国としてやっぱりもう少し考えていただきたいという問題があると同時に、

 結局その、経済原理として安い海外の原薬を使っている企業が安い価格で、もし売っているということがあるとすればですね、先ほどの3価格帯の話もそうですけれども、価格を引き上げると。

 まあ、要するに、そういった本来であれば、松本委員がおっしゃるように企業をこれからある程度集約していかなければいけない中で、

 そういった、その、企業を、ある意味、応援するような価格設定になってしまうっていうのは、非常に私は問題だと思っているので、

 ぜひ、その辺もですね、ご検討を、改めていただければというふうに思います。以上です。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 はい。では有澤委員、お願いします。
.
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 はい。私も先ほどから松本委員、吉森委員、あるいは今村委員からお話があったようにですね、現行の3価格帯でやっていることについて、やはりどうしても逆に値上がりをしてしまう。あるいは極端に値段が下げられてしまうということは53コマ目にあるように問題だと思っています。
.

 それと同時にですね、セファゾリンに代表されるように安定供給が崩されてしまう。こういった問題はもう、ここ1年に数回必ず起きている。

 現場で私も立っていますけれども、こういった安定供給がされないというケースがかなりありますので、まずそういった点からもしっかりと国が安定供給の確保、あるいは原料の何カ所からの仕入れをしていくということも必要ですし、

 価格帯……、3価格帯あるいは最終的に1価格帯にしっかり統一するという中でですね、やはり矛盾が生じている部分についてはですね、ある程度の価格帯は「3」にこだわらず増やしても構わないのではないかと思いますが、

 ただいたずらにですね、価格帯にたくさん増えるということについても、これはちょっと問題があると思いますので、この辺はどういうふうにしたらいいのかっていうのはまた別途、議論も必要だと考えています。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほかは……、では幸野委員、お願いします。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。今までの委員の方と重複した意見になりますが、述べさせていただきます。まず、新規収載の価格は平成28年以降、4年間、据え置かれているということで、今回またこれをさらに据え置くのか、見直すのかということになろうかと思いますが、

 支払側から見ると、44ページにある乖離率を見れば、「これで据え置いていい」というふうには、ちょっと言い難いかなというふうに思います。
.

 まあ、これで赤字垂れ流しで、ジェネリックメーカーが販売しているかというと、やはりそうではないんで、ある程度、この中で利益を出しているんであれば、それに見合った、実勢価格に見合った改定を行うべきというふうに思うんですが、

 資料にいろいろ出ています。安定供給リスクが最近、発生しているというふうなところについて、まあ、どう考えるか、というとこなんですけど、

 スライド48の後発品の供給停止品目数を見てみると、
.

 30年の吸収合併を除いた239品目は0.6掛けに改定した26年度の281品目、それから0.5に落とした28年度の195品目とあんまり変わってないという事実もあるということも押さえておく必要があると思います。

 あと、スライド49の安定供給で、厚労省の方がいろいろ努力されて原薬の調達経路を一本化するんでなくて複数化していくっていうのも進んでおり、25年度の28.6%から29年度は42.7%に上昇しているというふうなところを見ると、

 この安定供給リスクに対する対応もやりながら価格を設定しているということで、これが直ちに、「安定供給リスクがあるから価格を据え置くべきだ」という議論にはつながらないんじゃないかなというふうに思っています。

 それから、もう1つの要素としては、30年度の改定で長期収載品のG1、G2ルールができたということで、長期収載品の価格が強制的に後発品に近づけるというルールもできてきた中で、後発品の薬価は維持するのかというふうなところ。

 価格にはやはり、ある程度、差を付けていかなきゃいけないというところもあるんで、そういうところも考慮していかなきゃいけないというふうに思います。

 それから、44ページの、乖離率はそれぞれ出てるんですが、
.

 もう1つの要素として、平成30年の4月に流通改善ガイドラインが策定されて、価格交渉につまづいた場合は厚労省の中に窓口も設置されたということも聞いております。

 そういったこともあって、30年以降、流通に関する変化も起こっているということであれば、今年の9月の薬価調査でどれぐらいの乖離率になってるのかっていうところも見て、その上で議論する必要があるんじゃないかなあというところで、

 時期的にはちょっとギリギリのところになるかと思うんですけど、この30年の流通改善ガイドラインが出たあとに、どんな流通になったかっていうのも加味して新規収載品の価格をどうするかということを議論する必要があるんじゃないかというふうに思うんで、ちょっと結論を先送りしてはというふうに思います。

 それから価格帯の話なんですが、これは各委員の方がおっしゃっているとおりだと思います。将来的には1価格帯に収斂させていくということは大前提になると思いますが、

 その過渡期の間で、薬価が低いものが大きく引き上がるというのはやっぱり妥当じゃないと思われますんで、これは日薬連も提案されているとおり、薬価が引き上がるものについては、さらに加重平均をして、改定価格よりも引き上がるような状態が生じないというふうなことを過渡的な措置としてつくっていくということもやっていくべきじゃないかというふうに思います。以上です。
っすぺ
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ありがとうございました。では村井委員、お願いします。
.
〇村井泰介専門委員(バイタルケーエスケー・ホールディングス代表取締役社長)
 ありがとうございます。安定供給のことで1つ申し上げたいことがあるんですけれども、先ほどのセファゾリンナトリウム等の経験で、われわれが感じましたのは当該品目だけじゃなくてですね、その直後から同効品に一斉に需要が上がるもんですから、その同効品も含めて出荷調整がかかる。

 これは、そういう後発品メーカーが需要の変動、急激な変動があった時の対応の柔軟性というのが乏しいという、やはり現実があるということでですね、

 原価構造が……、たぶん後発品ではそれぞれ全然違うと思うんですけども、特に注射用の抗生物質とか原価が高い品目については、ちょっとそういうこともご配慮いただけないと、思わぬ供給不安が発生しがちだということもご理解いただきたいというふうに思います。
.
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 ほか、専門委員の方は何かありますか。よろしいですか。はい。

 ありがとうございました。ほかにご質問等もないようでしたら、本件に関わる質疑はこのあたりにしたいと思います。本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
.
〇厚労省の担当者
 事務局でございます。材料部会につきましては、会場設定後、引き続き開催をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 (後略)

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第224回中医協・薬価専門部会(2024年3月22日)【速記録】

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