政府の社会保障検討会議、「まだよく分からない」と厚労省課長 ── 9月27日の医療保険部会

20190927医療保険部会

 高齢者医療の切り捨てや年金支給制限などの痛みを伴う社会保障制度改革に向けて政府の「全世代型社会保障検討会議」が発足した1週間後、厚生労働省でも「全世代型社会保障」の実現に向けた審議がスタートした。会合で厚労省の課長は、政府会議との関係や今後の動向などについて問われ、「年内に中間報告をして来年夏に取りまとめというスケジュールまでは示されているが、それ以上はまだよく分からない」と言葉を濁した。(新井裕充)
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 9月27日、政府会議のメンバーである遠藤久夫氏(国立社会保障・人口問題研究所所長)が座長を務める社会保障審議会(社保審)の医療保険部会が都内のホテルで開かれた。会合では、保険者や経済界の代表者、大学教授らが「給付と負担の見直し」を大合唱。医療・介護費などの抑制に向けて本格的に取り組む構えを見せた。
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遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)[20190927医療保険部会]

 保険者の代表は「全世代型社会保障検討会議の構成員でもある遠藤部会長から、医療保険部会における議論の状況を説明していただくなど、しかるべき方法で検討会議の議論に反映していただくことが医療保険部会としての役割である」と念を押した。

 この日の会合では、最初に次期診療報酬改定の基本方針が審議され、保険者代表や大学教授などから「効率化・適正化」を求める声が相次いだ。続く議題は「医療保険制度をめぐる状況」で、政府会議への報告を視野に入れた審議がスタートした。厚労省の担当者は資料説明の中で「医療費は40兆円を超えて43兆円程度。後期高齢者の医療費は16兆円を超える規模になっている」などと現状を伝えた。
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20190927医療保険部会2

 質疑では、医療関係者から「過度な窓口負担による受診抑制につながらないよう慎重に検討していただきたい」との声も出たが、保険者らが多く参加する同部会では少数意見にとどまった。

 資料は105ページ。医療保険制度の総まとめと言えるような内容で、厚労省担当者の説明は約25分、その後の質疑も約25分だった。

 資料のタイトルは「医療保険制度をめぐる状況」で、1.人口と医療費の動向等(P2~9)、2.保険制度の状況(P11~54)、3.医療保険制度の見直しの状況(P55~105)──の3項目で構成。このうち、2の内容は「国民健康保険」「被用者保険」「後期高齢者医療制度」「予防・健康づくり」となっている。

 3では、「社会保障と税の一体改革」の経緯に触れた上で、「社会保障改革プログラム法」「改革工程表等に基づき平成29年度以降実施した事項」「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部の取りまとめ」「骨太方針2019」などを挙げているが、「全世代型社会保障検討会議」に関する資料はない。

 厚労省担当者の説明と質疑の模様は、以下のとおり。

遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長_20190927医療保険部会

〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 (前略) はい、どうもありがとうございます。ほかに、何かございますか。だいたい、よろしゅうございますか。この(診療報酬改定の基本方針の)議論は引き続き、またされることになりますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして2つ目の議題になりますが、「医療保険制度をめぐる状況」について、事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。

【説明】1.人口と医療費の動向等

〇厚労省保険局総務課・宮崎敦文課長
 ありがとうございます。それでは、私のほうから「資料2」についてご説明をさせていただきます。資料2、「医療保険制度をめぐる状況」ということで資料を用意させていただいておりますが、こちらにつきましては本日を含めまして、今後のこの医療保険部会での次の議論の素材ということで提出をさせていただいております。
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 今後、医療保険部会におきましては、給付と負担の在り方を含めまして医療保険制度の在り方、今後取り組むべき政策についての議論を行っていくことになるかと思いますけれども、こうした点を含めましても「議論の素材」ということで、現在の保険制度を取り巻く状況に関しての基本的な資料を取りまとめたところでございます。
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 大変、大部な資料をお配りして恐縮ですけれども、各委員の皆さまには事前に資料を送付をさせていただきまして、必要に応じてご説明をさせていただいておりますので、全く新しい資料というよりは、これまでにいろんな形で見ていただいている資料だと思いますので私からの説明は簡単にポイントだけ絞って説明させていただければと思います。

 まず3ページ目。2ページ目からですけれども、「人口と医療費の動向等」ということで資料が入っております。3ページ目に、日本の人口の推移。ご案内のとおり、高齢化が進み、また人口減少局面を迎えているということでございます。
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 2025年あるいは2040年というところを念頭に置きながらの社会保障の議論というのを今、進めているところでございます。

 4ページ目、「医療費の動向」ということで、先ほどのご意見の中にもございましたけれども、現在、医療費につきましては40兆円を超えて43兆円程度のところになっているということでございます。
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 国民所得比については11%弱、GDPは8%弱で近年、推移をしているところでございますけれども、額としては年々増加をしており、後期高齢者の医療費についても16兆円を超える規模になっているということでございます。

 5ページは、その医療費の伸びの要因分解したものでございますので、これも従来から出しているものでございますので、ご説明は省略させていただきます。
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 6ページは医療費の財源別の内訳ということで、公費、保険料そして患者負担等についての比率を平成18年度から平成29年度までの推移という形で比較をしたものでございます。公費負担あるいは保険料につきましては若干、当初より増えてきているところがございます。そういう状況を示しております。
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 7ページでございますけれども、「実効給付率の推移」ということで、医療保険からの給付の率の平成12年度からの推移を掲げております。真ん中、緑で示しておりますのが医療保険制度全体の実効給付率でございますけれども、29年度で84.98%ということでございます。
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 実効給付率の裏側で見ますと、患者さんが窓口のほうで負担する比率はその100%からこれを引いた比率というものになっているところでございますけれども、近年は、ちょっとご説明しますけれども、給付率の高い高齢者層の増加等々、あるいは制度として定額プラス高額療養費という形で上限を設けて配慮しているということもございまして、実効給付率というのは若干、実は上がってきているという状況でございます。

 8ページ、9ページは国際比較として、医療費の動向あるいは国民所得比での国民負担率というものの比較を掲載をしております。
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【説明】2.保険制度の状況

 続きまして、10ページ以降、保険制度の状況というものをまとめております。

 11ページ、これはご案内のとおりでございますけれども、日本の医療保険制度につきましては75歳以上の方につきまして独立した後期高齢者医療制度を設け、75歳未満の方につきましては、各それぞれの働き方等に応じての保険者がそれぞれ分離をしている形になっております。その中で、前期高齢者につきましては財政調整制度を設けているところでございます。
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 12ページに、各保険者の比較がございます。市町村国保から協会けんぽ、主だったところを掲げておりますけれども、協会けんぽ、組合健保、共済組合という形で保険者が分かれているところでございます。それぞれの加入者のプロフィール、平均年齢や平均所得等はそれぞれの保険者の性格を反映して差異があるというところでございます。
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 13ページには、各保険者の被保険者数の推移を記載をしております。協会けんぽ、健康保険組合、船員保険、共済組合につきましては横ばい、ないしは増加をしている一方で、国民健康保険につきましては近年は少し減少傾向にあるということでございます。ただ、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度につきましては増加をしているということでございます。合計は1番下の欄にあるとおりでございます。
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 14ページ以降は、医療保険制度の中で各保険制度の状況を示しております。
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 15ページ、国民健康保険の財政状況を示したものでございます。公費負担、また都道府県それぞれのご負担、保険料として頂いて支えている部分、各種保険者の支援制度などの仕組みを図示したものでございます。令和2年度の概算要求ベースでは各記載にありますような予算を想定をして今、要求をしているということでございます。
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 16ページに、平成30年度の国保制度改革の概要を記載をしております。30年度は大変大きな、国保制度につきましては改革を行いまして、都道府県が財政運営の責任主体として関わるというような形で大きな変更を行っております。
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 そのほか、都道府県と市町村との役割分担などにつきましては、この16ページの記載にあるとおりで、このような変更を行いまして、現在、都道府県と市町村と、それぞれご苦労をおかけしておりますけれども、現場で新しい制度の下でお取り組みいただいているというところでございます。

 また、この改革にあわせまして17ページにつきましては、国保改革による財政支援として現在、毎年3,400億円の財政支援、国民健康保険に対する支援をしているということでございます。
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 18ページは「保険料水準の統一」という課題についての状況を整理したもの。
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 19ページは、法定外繰入の都道府県別の状況について関係の資料を載せております。
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 20ページは、国保保険料の賦課限度額につきましての資料を載せております。これも毎年度、必要に応じてこの医療保険部会でご議論いただいた上で変更を行っておりますけれども、31年度の状況につきまして20ページとして掲げておりますので、ご参考までにご参照いただければと思います。
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 21ページ以降は、被用者保険の関係を入れております。
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 まず、22ページからは協会けんぽの財政構造について記載をしております。
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 協会けんぽ全体につきましては、収支は約10兆円ございますけれども、それに対して国庫補助は30年度決算ベースでは1.2兆円、11.5%の補助を行っております。支出に目を転じますと、そのうち医療給付として出しているものは55.8%、高齢者医療への拠出金が35.9%、約3.5兆円となっているという状況でございます。

 23ページは、協会けんぽの財政状況につきまして平成4年度以降の推移を記載したものでございます。
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 23ページの下のほうにございますように保険料率につきましては平成4年度以降、年々上げてきていただいておりまして、現在では10%という保険料率を設定をしているという状況でございます。

 24ページは「協会の財政構造と財政力格差」ということで資料を入れておりますけれども、協会けんぽの財政につきましては、医療費が賃金の伸び率を上回って伸びているという状況にあり、またその報酬水準につきましては大企業等を中心とする健康保険組合と比べまして1.4倍の格差があるということがございます。
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 25ページは、先ほど申し上げました高齢者医療への拠出金の状況でございますけれども、これを平成元年度から令和元年の予算ベースまで比較をしたものでございます。
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 26ページからは、被用者保険のうち健保組合に関する資料をまとめております。
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 健康保険組合の財政構造につきましては、経常収入の約8.4兆円、経常支出は約8.1兆円でございます。支出のほうを見ていただきますと、そのうちの約4.1兆円が、約5割が保険給付費に充てられておりまして、高齢者医療への拠出金につきましては3.5兆円、42.7%となっているということでございます。

 27ページは、健保組合の財政状況を示しております。
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 健康保険組合につきましては、30年度の決算分としては単年度の黒字を達成しているということでございますけれども、保険料率に関してはやや引き上がっているところでございますし、これは健康保険組合によりまして、さまざまであるということもございます。保険料収入に占める拠出金等の割合は41.75%、先ほど申し上げたとおりでございます。

 健康保険組合の保険料負担につきましては28ページでございます。
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 保険者間について差がございまして、最高では12%の保険料率を設定しているという健康保険組合があるということでございます。協会けんぽの平均保険料率は10%と申し上げましたけれども、10%を超える健康保険組合は302組合あるということでございます。

 29ページは、その保険料率の推移を示したところでございます。近年では、徐々に平均での保険料率も上がってきているといったところでございます。
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 また30ページ、高齢者医療への拠出負担の推移について記載がございます。
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 健康保険組合の高齢者医療への拠出金負担割合でございますけれども、義務的経費に限ってみますと拠出金負担割合は46.9%、令和元年度予算ベースで達しているという状況でございます。

 健康保険組合の保険料率に見られますように、かなり保険者ごとに財政状況についても相違がございますけれども、こうした中で
例えば、被用者保険への、保険者への支援ということで31ページにございますような、表にございますような支援を行っておりまして、
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 拠出金負担が非常に過大な保険者を対象とした交付金ですとか、あるいは高齢者医療の運営の円滑化に向けた補助金という形での支援等も行なっているところでございます。

 32ページは「健康保険組合に係る保険者機能強化支援事業」ということで、特に保険料率が既に9.5%以上、財源率も9%超、保有資産が200%未満、経常赤字が過去3か年度連続している組合を対象といたしまして、保険者機能の強化の観点から経費を助成する、必要な財政検証事業や適正化対策事業等の実施に係る経費を助成するというような予算事業も行なっているということでございます。
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 制度別の3点目が後期高齢者医療制度でございまして、33ページ以降でございます。
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 高齢者医療制度につきましては、高齢者医療を社会全体で支えるという観点に立って75歳以上についての独立の仕組みを設けまして、現役世代からの支援金と公費、そして高齢者ご自身の保険料で賄う保険制度をつくっております。
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 34ページがその仕組みの概要、35ページは被保険者数の推移を示しております。
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 36ページ、37ページは被保険者数のうち後期高齢者数の推移や、今後、後期高齢者となる前期高齢者数の推移などを掲げているところでございます。
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 38ページは、財政の仕組みについてやや詳細になりますけれども、令和元年度予算ペースで記載をしております。
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 39ページにつきましては、後期高齢者広域連合会への公費支出の推移を示しておりまして、被保険者数の拡大等に伴いまして公費支出につきましても年々増加をしているという状況がございます。
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 また、現役世代からの支援であります後期高齢者支援金につきましても40ページにございますように年々増加をしているということでございます。
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 また、関連して後期高齢者医療制度の保険料につきましては41ページに、平均の保険料率あるいは現役世代1人当たりの支援金や現役世代1人当たり支援金保険料相当額についての比較をしております。
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 42ページは国保と同様に、保険料賦課限度額の見直しの資料をお示しをしております。
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 43ページ以降につきましては前期高齢者の財政調整に関しての資料を載せております。
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 医療保険制度(の状況について)4番目、「予防・健康づくり」の関係につきまして45ページ以降に資料をまとめております。
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 これも、これまでにいろいろ機会をとらえましてご説明させていただいておりますけれども、46ページ、「健康寿命延伸プラン」という形で今、健康づくりを進めております。
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 「次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣」の形成や、「疾病予防・重症化予防」「介護予防・フレイル対策、認知症予防」といった3つの柱を立てまして、2040年までに健康寿命を3年以上延伸して75歳以上とすることを目指しまして、ここに掲げられておりますような政策に今、取り組んでいるところでございます。

 関連して47ページは「医療費適正化計画」の概要を入れておりますけれども、医療費適正化計画の中でも特定健診・保健指導の実施率の向上などに取り組んでいただいております。
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 48ページは、その特定健診・特定保健指導の概要でございます。
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 49ページから54ページまでにつきましては、こうした健康づくりに取り組む保険者を応援するということで、インセンティブの仕組みを設けて、それぞれの仕組みの中で応援しているところでございます。
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 こうした中で、各保険者の取組を支援して健康づくりへの取組の普及・推進を図っているということでございます。詳細は、説明は省略させていただきます。
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厚労省保険局医療課_20190927医療保険部会

【説明】3.医療保険制度の見直しの状況

 55ページ以降ですけれども、55ページ以降につきましては、これまでの医療保険制度の見直しの状況についての資料をまとめております。

 56ページはちょっと詳細な資料になって恐縮ですけれども、これまでの診療報酬の改定、保険料、患者負担の制度的な見直しにつきまして、26年度以降の取組を記載をしております。
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 57ページからは、そうした見直しの背景となっております「社会保障と税の一体改革」につきましての経緯、あるいは中身についての記載をしております。
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 少し飛んで恐縮ですが、59ページにございますように「社会保障制度改革国民会議」の報告書を踏まえまして、社会保障の機能の充実と財源確保、給付の重点化・効率化、あるいは安定化を図り持続可能な社会保障の構築をしていく等の方向性を定めまして、各種の改革に取り組んできたところでございまして、
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 60ページには医療・介護の方向性というものが、「社会保障・税一体改革」の中で示されていた方向性について記載がございまして、こうした方向について今、各種の取組をしてきたところでございます。
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 61ページは、その関連のプログラム法の内容を書いてございますが、医療制度につきましては少し字が小さくて恐縮ですが、「講ずべき社会保障制度改革の措置等」ということで、国保の保険者・運営等の在り方の改革、後期高齢者支援金の全面総報酬割、70~74歳の患者負担・高額療養費の見直し──等々の措置を、このプログラム法の中に盛り込みまして、順次取り組んできたところでございます。
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 62ページにおきましては、そのうちのいくつかの事例を書いておりますが、
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 例えば62ページでは、70~74歳の自己負担につきまして法則では2割、法定では2割負担となっておりましたところを特例として1割負担とされておりましたが、これを見直しをしまして、本則に戻すということで、26年以降、70歳に到達する方から段階的に2割負担という形でお願いをして、30年度までに2割負担、70歳から74歳の方につきましては法定の負担割合のとおり、お願いをするというような見直しも行ってまいりました。

 また63ページには、関連する国保の改正の中での改正項目がございまして、64ページ以降もその関連の資料でございますが、説明は省略をさせていただきます。
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 こうした取組を行ってきたのが68ページまでございます。
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 また関連して「改革工程表」、政府全体としてのさまざまな取組の中で「改革工程表」等に基づきまして、あるいは「社会保障・税一体改革」でご指摘をされた事項の中の取組を含めましてですね、29年度以降実施した事項をまとめております。
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 70ページには、「高額療養費制度の見直し」ということで、高額療養費制度につきましても限度額の引上げ等につきましても記載がございます。段階的に引き上げてきた一方で、(一般区分の限度額 <世帯> については)「多数回該当」を設定するような形で家計負担を考慮しながら見直しを行ってまいりました。
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 また、71ページには入院の居住費の見直し等も記載がございます。
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 あといくつか事例がございますけれども、説明については省略をさせていただければと思います。
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 79ページでございます。
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 こうしたこれまでの取組を行ってきた中で、厚生労働省におきましては現在、「2040年を見据えた社会保障制度改革」ということで議論を行っているところでございます。
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 先ほど、(日本慢性期医療協会会長の武久洋三参考人の)ご意見の中で取り上げていただきました81ページの資料でございますけれども、2040年ごろを展望いたしますと高齢者の急増から現役世代の急減という形で曲面が変化をしてまいります。
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 こうした中で、社会保障制度につきましても、この新しい局面における課題への対応というものを考えていかなければならないということで、右側にございますように現役世代の人口が急減する中での社会の活力維持向上を図っていく、労働力の制約が強まる中での医療・介護サービスの確保にも取り組んでいくということを掲げて現在、検討を進め、必要な取組を進めているところでございます。

 82ページは昨年5月に、その関連で実施いたしました(平成30年第6回経済財政諮問会議での)議論の素材として提出いたしました社会保障の給付費の見通しの資料でございます。
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 2ページ、3ページ、4ページと関連の資料がございます。
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 少し飛んでいただいて、86ページをお開きいただければと思います。
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 こうした2040年を展望した改革につきまして、厚生労働省におきましては厚生労働大臣を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」というものを設けまして、横断的課題に関するプロジェクトチーム、右側にありますような8つのチームを設けまして検討を進めてまいりました。

 87ページにありますようなプランというものをまとめております。
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 これにおきましては、87ページの上の段の文章に書いておりますけれども、2040年を念頭に置きまして「多様な就労・社会参加」の環境整備、「健康寿命の延伸」、「医療・福祉サービス改革」による生産性の向上、あわせて「給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保」という取組を進めていくということで、現在、その取組を進めてきているところでございます。

 それぞれの内容につきましては90ページまでの間に記載がございますので、ご参考いただければと思います。
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 また、こうした医療保険制度を含む社会保障制度に関しましては「改革工程表」、あるいは「骨太の方針」、あわせて「成長戦略実行計画」などでも今後の検討課題について指示されているところでございまして、91ページ以降についてはそうした内容を記載してございます。
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 92ページからは、昨年12月20日の諮問会議の決定でございますが、「改革工程表2018」という形で、「給付と負担の見直し」に関して、いくつか項目が掲げられてございます。これについては、この当医療保険部会におきましても既にご報告をさせていただいているところでございますので内容については省略をさせていただきます。
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 94ページからは、「骨太の方針」の関係する抜粋がございます。
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 95ページをお開きいただければと思います。この「骨太の方針2019」の「主要分野ごとの改革の取組」 → 「社会保障」 → 「基本的な考え方」の中ではですね、1段落目で最後のほうでございますけれども、
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 医療等のその他の分野についても、基盤強化期間内から改革を順次実行に移せるよう、2020年度の骨太の方針において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる、という方針を固めているところでございます。

 こうした2020年の骨太の方針に向けて議論を進めていく必要があるということでございます。以降は、成長戦略等の関連する記述でございますので、説明は省略をさせていただきます。

 また、先ほど(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長の横尾俊彦)委員のご質問、意見の中で触れられたかもしれませんけれども、官邸におきましては、この9月の20日に「全世代型社会保障検討会議」というものが一方で立ち上がっております。

 こちらにつきましては、人生100年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけではなく子どもたち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくために、年金・医療・労働・介護など社会保障全般にわたる持続可能な改革をさらに検討をするということで、当医療保険部会の遠藤部会長をはじめといたしまして、関係する審議会等の有識者の方、また総理大臣をはじめ担当の関係大臣の参画を得た検討会議の議論がスタートをしたところでございます。

 こうした議論もしているところでございまして、こうした場との連携をしながら、今後、引き続き検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 すみません、説明が長くなって恐縮ですけれども、以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい、ありがとうございました。それでは、非常に幅広の議論になりますけれども、ご意見、ご質問等を頂きたいと思います。それでは藤井委員、それから横尾委員。では藤井委員、どうぞ。

【質疑】藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)

20190927医療保険部会2

〇藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)
 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。まず1点目でございますが、現状でも社会保険料の増大によってですね、中小企業や現役世代の負担は限界に達しておりまして、2022年にも団塊の世代が後期高齢者になり始め、医療費がさらに増大すれば、この負担は極めて大きなものになることが予想されております。

 こうした状況を踏まえ、少なくとも昨年末に決定された「新経済・財政再生計画」に盛り込まれた給付と負担の見直しに関する改革項目は確実に実施、実現していただきたいと思っております。

 特に、後期高齢者の自己負担の割合を2割に引き上げることや、あるいは外来受診した際に患者から一定程度の金額を負担してもらう受診時定額負担の導入について早急に、かつ確実に実施していただきたいと思います。

 2点目ですが、これは国民の医療に対する意識改革についてですが、国民の医療ニーズが高度化・多様化する中、限られた医療資源を有効活用するという考えは極めて重要でございまして、そのため医療を受ける側、提供する側も共に「小さなリスクには自助で対応していく」といった意識改革を促す啓発活動ですね、積極的に取り組んでいただきたいと思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございます。横尾委員、どうぞ。

【質疑】横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、多久市長)

〇横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、多久市長)
 ありがとうございます。今、説明いただいた資料は我が国の、特に健康寿命に関する非常に重要なことを俯瞰してですね、分かりやすくまとめていただいたものと思っています。

 今後、いろんな分野でこのことが活用されるんじゃないかと思うんですが、そういった意味で、ぜひもう少し触れていただくといいかなあと思ったのは、

 この1年ほど議論がずっと重ねられてきた健康を保つ保健事業と介護予防に関する一体的な推進というのがあるんですが、これは広域連合に計画を作ることを義務付け、それに基づいて各自治体にもそれに連携してやりなさいという計画作りまで義務付け、また実務者の研究班のレポートによりますと、総合計画にもそれは記述すべきだというぐらいのことを書き込んでありますので、

 できればその俯瞰する全体の中に、ぜひこの一体的なですね、推進に関することもぜひスライドを加えていただくか何かして、今後の啓発とか、多くの方々、特に広域連合の方々は非常に注目しておりますので、ぜひ加えていただきたいというふうに思うところです。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。佐野委員、お願いいたします。

【質疑】佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)

〇佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)
 ありがとうございます。まず全体的な部分についてコメントをさせていただきます。議論にも出ました高齢者医療に対する拠出金の負担についてはですね、これまでも何度も申し上げておるんですけれども、多くの健保組合がですね、非常に過重な負担に苦しんでおります。

 今の制度のままではですね、団塊世代が後期高齢者になり始めます2022年、ここが大きなポイントになってですね、まさに「2022年危機」が起こるというふうに危惧をしております。

 健保連の試算ではですね、2022年度には拠出金の割合が5割以上になる健保組合が全体の50%を超えると。また、医療・介護・年金を合わせてですね、いわゆる保険の料率がですね、30%を超えるということで、いずれにしても限界を完全に迎えているんじゃないかと。これがさらに2025年になればですね、さらに負担増が見込まれるというところでございますので、そういった点も踏まえてですね、この2022年に向けて健保連が最近、提案を発表いたしました。

 少なくとも最重点項目を3つを一応、述べさせていただきます。1点目は、後期高齢者の窓口負担の原則2割という点。それから2点目は、後期高齢者の中の現役並み所得者、これについてはですね、現状、公費が入っていないためにですね、その分、現役世代が負担をしているということになってます。この現役並み所得者のですね、給付のほうにも公費を投入していただきたい。

 それから3点目は、やはり昨今の状況の中で保険の適用の範囲、これについてはですね、もう給付範囲の見直しに踏み込まざるを得ないと思いますので、ぜひこの議論をお願いしたいと思っています。この3点が全体的な部分でございます。

 それから、今日の資料についてはですね、ちょっと2点ほどコメントをさせていただきます。資料のスライドの41ページですけれども……。
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 すみません、なかなか出てこなくて……。

 ここに「後期高齢者医療制度の保険料の推移」というグラフが出ておるんですけれども、これを拝見するとですね、平成20年度を100とした数値なんですが、一番上のブルーの(平均)保険料(額)についてですね、直近では令和元年度の見込みで110、約10年間で110なんですけれども、

 一番下のですね、「現役世代1人当たり支援金保険料相当額(月額)」を見ますと、これは191という数字になっております。大変、この伸びの、10と9の位置がですね、やはりあまりに、なんかバランスを欠いているんじゃないかという感じで、まさに、ここに世代間の負担のですね、アンバランスがこう、顕著に出ているんじゃないかというふうに思っております。

 なぜこんな差がですね、生じているのかですね、そういう面での、これは今日じゃなくても結構なんですけれども、要因分析をですね、行っていただいた上で、こうなっている理由等もですね、教えていただきたいなというふうに思います。

 それからもう1点はですね、43ページの所なんですけれども。
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 この中にですね、上の枠囲みに入っております「②前期高齢者に係る後期高齢者支援金」、この財政調整についてはですね、われわれとしては廃止を主張してきた部分でございます。まさにこの水増し的な部分があってですね、結果、前期高齢者の人数が減ってもですね、負担があまり減らないというですね、構造が想定されますので、ぜひ、ここはですね、現役世代の負担につながらないようにですね、財政調整そのものの在り方についても見直しをお願いしたいというふうに思います。

 それから、最後に1点なんですけれども、今般、健康保険法の法改正を含めてですね、衆議院・参議院ともに委員会の附帯決議を含めてですね、やはり医療・介護等の、そうしたものに伴う負担増を踏まえてですね、財政状況が厳しい健保組合に対する財政支援、これをですね、やるということも決議されておりますので、ぜひともですね、この部分、拠出金負担の高い、重いですね、健保組合に対する支援をですね、来年度についてもお願いしたいと思います。以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい、ありがとうございます。では南部委員、どうぞ。

【質疑】南部美智代委員(日本労働組合総連合会副事務局長)

〇南部美智代委員(日本労働組合総連合会副事務局長)
 ありがとうございます。先ほどの説明の中で、最後に口頭でお伝えになりました官邸における「全世代型社会保障検討会議」についてでございますが、その会議と連携して今後、議論を進めていくということでしたが、具体的に「骨太2020」に向けた議論を進めていく上で、どのような連携、そして今後の進め方をお考えになっているのかということをお聞きいたしたいと思います。以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 では事務局、お願いいたします。
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〇厚労省保険局総務課・宮崎敦文課長
 「全世代型社会保障検討会議」につきましては、先週会議が発足したばかりでございまして、その中で、私ども聞いておりますのは、今後のスケジュールを含めまして、どういう形で議論していくのか、20日の議論を踏まえて、今後よく整理していきたいというふうな話をされてきておりますので、そうした今後の動向を、現時点で「こういう形で」ということをお答え申し上げることはできませんけれども、そうしたものが整理されていく中で、どういう形で連携していくかということを具体的にまとめていきたいと思います。

 スケジュールに関しては「全世代型社会保障検討会議」のほうのスケジュールとしては年内に中間報告をして、来年夏に取りまとめというスケジュールまでは示されておりますけれども、それ以上はまだよく分からない、「今後整理」ということで聞いているということでございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい、ありがとうございます。では、お待たせしました家保参考人、どうぞ。

【質疑】家保参考人(高知県知事・尾﨑正直委員の代理出席)

〇家保参考人(高知県知事・尾﨑正直委員の代理出席)
 昨年度から都道府県、国保の保険者となりましたので、それにつきまして若干、要望というか意見を述べさせていただきたいと思います。

 15ページにございますように、令和2年度の国保の概算要求ベース、いろいろご協議いただきまして、ありがとうございます。引き続き、令和3年度以降も特に、普通調整交付金というのは実際には所得調整を行う非常に重要なものですので、ぜひともこの枠組みは維持していただくことをお願いするとともに、

 もう一方で、保険者努力制度、インセンティブを強化する際には既存の財源の振り替えではなく、新規をぜひ確保していただくようにお願いしたいと思います。

 2点目ですが、国保の中で、子育て支援というのは都道府県、地方のほうでは非常に重要視しておりますが、その際、国保の子どもにかかる均等割の保険料の軽減というのが制度改正をしないとできないような話になっておりますので、国のほうの責任と負担によって見直しを早急に結論いただくように、これも従来から、地方のほうからお願いしておりますので、ぜひ、そのあたりも考えていただければと思います。以上でございます。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。はい、安藤委員どうぞ。

【質疑】安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)

〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 はい、ありがとうございます。団塊の世代全てが75歳以上となるのは2025年なんですけれども、75歳に到達した2022年から高齢者医療費が急増するなど問題が顕在化し始めるということを考えますと、医療保険制度改革のために残された時間はほとんどないと私どもは認識しております。

 本日の資料の23ページに、協会けんぽの単年度収支差と準備金残高等の推移の資料を載せていただいておるんですが、おかげさまで平成24年度からずっと保険料率10%を維持させていただいております。
.

 そして、財政状況も準備金の残高が積み上がっております。ただし、私どもとしましては、これで安全だとは思っておりません。今後の状況を鑑みますと、将来の収支差を考えましたら2023年度から単年度収支が赤字に陥るというふうになっております。私どものほうも、その管理ですね、打てる手をできるだけ打って、われわれも加入者の健康を守るという形をやっていくんですけれども、

 私どもだけの働きだけではなくて、全ての関係者全員で国民の健康を守るために力を合わせるというふうにやっていくべきであるというふうに考えています。

 そうした状況の中、先ほどお話がありました20日に「全世代型社会保障検討会議」が開催されまして、医療保険については年明け以降に本格的な議論が行われる見込みであるとの報道がありました。

 政府に本腰を入れて取り組んでいただけることは期待いたしますが、保険者としましては医療保険関係者や医療保険の有識者が集まるこの医療保険部会での議論が検討会議の議論に反映されるべきであろうと考えます。そのような段取りで進められることを強く希望いたします。

 この点につきまして、加藤厚生労働大臣も記者会見において「医療保険部会を含む社会保障審議会とも整合性を持って進めるべき」とのお考えを示されております。

 従いまして、検討会議において本格的な議論が開始されるまでの間も含めまして、医療保険部会としてしっかりと議論した上で「全世代型社会保障検討会議」の構成員でもあります遠藤部会長から、医療保険部会における議論の状況を説明していただくなど、しかるべき方法で検討会議の議論に反映していただくことが医療保険部会としての役割であるのかなと感じております。

 その上で、具体的な検討項目として特に、先ほど来、お話が出ておりますけれども、後期高齢者の自己負担2割への引き上げを確実に実現していただくことを要望いたしますし、それと同時にですね、薬剤の自己負担の見直しをはじめとしました医療費の適正化を図っていくことも一方で必要であると考えております。

 「改革工程表」に掲げられた項目だけでなく、年金給付全般の見直しなども検討する事項であるというふうに考えてます。
 
 来年6月ごろの骨太の方針に向けて、「給付と負担の在り方の見直し」について結論を出すことになると思いますが、2025年や高齢者人口がピークとなります2040年ごろを見据え、医療保険制度が持続可能となるような将来を見据えた医療保険制度のあるべき姿について、あらゆる角度から議論をしていただくよう、お願いいたします。以上です。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。はい、それでは樋口委員、どうぞ。

【質疑】樋口恵子委員(高齢社会をよくする女性の会理事長)

樋口恵子委員(高齢社会をよくする女性の会理事長)_20190927医療保険部会

〇樋口恵子委員(高齢社会をよくする女性の会理事長)
 ありがとうございます。今ちょうど資料が「健康寿命の延伸」という所に来ておりますので、ちょっと一言、申し上げさせていただきます。

 これはおそらく、これからの高齢者の医療保険のキーワードとなる言葉だと思いますし、厚労省のさまざまな白書を拝見しておりますと10年ぐらい前から「平均寿命」と並んで「健康寿命」というものをお出しになっているようですけれど、しかし、この健康寿命というものの定義がなかなか世の人にとって分からないです。

 例えば、女性の平均寿命に対して女性の健康寿命は確か12年くらい格差がございますから、女性は74ぐらいだと思います。それから男性は確か9年の格差だと思いますから、やっぱり70ちょっとで。男性と女性とでは健康寿命の差が平均では女のほうが長いんですけれど、健康寿命は相対的に男性のほうが長いわけですね、

 その辺などは、特に高齢女性というのは、亡くなる100歳の中の88%が女性だというぐらいに女性の数が多いのですから、女性の健康こそ、本当に社会の資源の1つだと思うんですけれど、どうして女のほうが健康寿命が相対的に短いのか。こういうことはご研究くださって、特に女性に供給してくださると健康度も上がるんじゃないかと思います。

 それでいったい、それにしても健康寿命というのはどこを言うんですかって、いろんな方に、お医者さんたちにも伺っておりますけれど、あまり確たるお声がなくて、「要介護認定を受けて自立にならない人じゃないですか」とおっしゃる方もあるんですけれど、それで見るとちょっと年齢もズレがあるようでございますし。

 健康寿命の延伸を目標とすることには大賛成なんですけれども、それにしても、だとすると、健康寿命ということの一定の定義とか概念がないと努力のしようもないというような気がしております。

 私は後期高齢者もいいところでございまして、80代後半になっております。私は今、健康寿命の中にいるのでございましょうか?

 (会場、笑い)

 あるいは、もう健康寿命は尽きているのでございましょうか?

 (会場、笑い)

 以上でございます。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございます。国が出している健康寿命はきちんとした定義と言いますか、推計の方法については公開されているわけですが、簡潔に言えますか? あの……、なければまた……。
.
〇厚労省保険局総務課・宮崎敦文課長
 資料は後ほど用意します。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 じゃあ、先ほど手を挙げられておられた方、はい、堀委員、どうぞ。

【質疑】堀真奈美委員(東海大健康学部長)

〇堀真奈美委員(東海大健康学部長)
 医療保険制度の全般の状況についてのご報告ありがとうございました。昨年度来、このような資料がたびたび出てきて、そのたびにも指摘していることもあるんですが、指摘していないことから先にお話しできればと思っております。

 まず、保険給付と負担の見直しの所で、従来ですと保険は一度収載が決まったものはほとんど自動的に全国的に収載されるということになっているかと思うんですが、必要なもの、かつ適切な医療は保険収載されるというのは当然のことだと思いますし、重大な疾病リスク、個人や世帯の家計に破滅的な影響を与えるようなものに関しては・・・の保険収載であるのは当然だと思っております。

 ただ、医療技術の進歩は非常に早いですし、有効性の面、あるいは有効性・安全性があったとしても技術的な側面であるとか、あるいはエビデンスのところ、あるいは費用対効果のところで、ある程度の濃淡があるのではないかと思います。新しい技術を収載したら何か適応外にするというわけでは……、全てを適応外にしろとは言いませんが、これまではあんまり議論されていなかったとは思うんですけれども、給付範囲の見直し。

 ただ、混合診療の原則禁止、これは原則維持して、保険外併用療養費制度を整理することで、ある程度の柔軟な対応ができるかと思いますし、これまでは議論できなかったことだと思いますが、全世代型社会保障というものを考えたときには、保険給付範囲の在り方を一度、国民的な議論も必要なのではないかなというふうに思います。

 それから、従来も指摘させていただいた、ほかの委員の方も指摘していることだと思いますが、2022年から後期高齢者が75歳になることと思いますが、後期高齢者医療の窓口負担を「引き上げる」という表現をされる、マスコミ等でされることがあるので、引き上げるのではなく同じ2割のまま維持していただいて、現役世代と共に社会保障制度を支えていただくという表現をすることによって多少なりとも納得性が高まるのではないかなというふうに思っております。

 1点目はちょっと大きな議論ですが、2点目は既存の議論の中かなと思います。以上です。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。はい、それでは武久参考人、お願いいたします。

【質疑】武久洋三参考人(日本慢性期医療協会会長)

武久洋三参考人(日本慢性期医療協会会長)_20190927医療保険部会

〇武久洋三参考人(日本慢性期医療協会会長)
 はい、ありがとうございます。議題が「医療保険制度をめぐる状況」でございますけれども、皆さんご存知のように2006年に7対1という急性期の、非常に看護師さんが多い病棟ができまして、その後、前後から見ておりますとですね、急性期病院の入院患者さんの高齢者の割合は実は倍増しておりまして、今、既に4分3が高齢者になっています。

 それとともにですね、いわゆる急性期病院から慢性期病院に入院してくる患者さん、非常に重症化して、また要介護度が非常に大きい。動けなくなっているということが多いということで、介護保険の需要も非常に高まっているわけでございます。

 こういう時代にですね、2006年から7対1で、そのまんま看護基準は今、15年たちましたけど変わってないと。しかるに、介護の必要な認知症とか、高齢者、それから、歩行不安定な方、いっぱい急性期病院に入ってきます。そこにおける基準が変わっていないということもありまして、まあ、動き回られたら困るということもあって、やっぱり抑制が起こったり膀胱に管を入れたり、いろいろケアで非常に苦労されているのは分かるんですけども、結果として、トータルとしてですね、その結果、医療保険も介護保険も非常に必要性が高まっているということもあります。

 今回リハビリテーションが医療保険から介護保険のほうにかなりシフトしていきました。やっぱり医療制度と介護保険制度が一体となっておりまして、患者さんはそこの制度の間を行ったり来たりしてるっていうのが現状でありまして、ここは医療保険部会ですので介護保険のことを言っても仕方がありませんが、現場にいる者にとっては、その通過点の中で動いている現状をお話ししておりますけれども、やっぱりこういうことになりますと、急性期病院での介護の必要性が非常に高まっているということを再認識させていただきたいと思います。

 従って、急性期病院にも「基準看護」だけではなしに、私は「基準介護」というものも入れて、介護力を強化した急性期病院等をつくらないと、なかなか介護保険のお世話になるような人が急増していると。その現場にいる者の立場として、切実な思いを訴えたいと思います。以上です。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 どうもありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。はい、それでは、林委員どうぞ。

【質疑】林正純委員(日本歯科医師会常務理事)

〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 ありがとうございます。先ほど後期高齢者の窓口負担の割合の検討ということがございましたが、歯科医療等、軽度の医療に関しましてはニーズのディマンド化が示されておりまして、窓口負担によります、それの割合によりましては受診率が低下するというようなところもございます。

 この議論に関しましては過度な窓口負担による受診抑制につながらないよう、ひいては国民の健康に配慮した不利益にならないよう、慎重に検討していただきたいと思っております。以上でございます。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい、ありがとうございます。だいたいよろしゅうございますか。はい、それでは、時間も押しておりますので、この議論につきましてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。

 次の議題でございますが、「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について」が議題になっております。事務局から資料の説明をお願いします。

 (後略)

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