中医協・薬価専門部会は9月25日、次期薬価制度改革に向けて「長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方」について議論した。【新井裕充】
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- 説明 ── 厚労省・田宮憲一薬剤管理官
- 質疑 ── 松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
- 質疑 ── 吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
- 質疑 ── 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
- 質疑 ── 厚労省・田宮憲一薬剤管理官
- 質疑 ── 上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)
- 質疑 ── 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
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厚労省担当者の説明と質疑の模様は以下のとおり。
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説明 ── 厚労省・田宮憲一薬剤管理官
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
では、全員お揃いのようですので、ただいまより第156回中央社会保険医療協議会「薬価専門部会」を開催いたします。まずは本日の委員の出欠状況についてご報告します。本日は、平川(則男)委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)がご欠席になります。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、議事のほうに入らせていただきます。本日は「次期薬価制度改革に向けて(その2)」として、「長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方」について検討していきたいと思います。事務局より資料のほうが提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。では、田宮薬剤管理官、お願いいたします
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
はい、資料の「薬─1」をご覧ください。本日は、「長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方」ということで資料を用意させていただいております。
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3コマ目……、4コマ目をご覧ください。まず平成30年度薬価制度抜本改革におきまして、長期収載品の薬価等の見直しに関して、その概要について何枚かのスライドをお示ししております。
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長期収載品につきましては、長期収載品依存から、より高い創薬力を持つ産業構造に転換を進めるといった観点から、後発品上市後10年間までの期間を後発品の置換え時期、それから後発品上市後10年を経過した期間を長期収載品の後発品価格への引下げ時期というふうに位置付けまして、それぞれの時期に応じた薬価の見直しを行うこととされたところでございます。
併せまして、後発品の置換え時期に実施しております「Z2」という、いわゆる後発品への置換えが進んでいないものに対する追加的引下げについても基準を見直したほか、一番下に書いてございますとおり、後発品への置換えが進んでいるもの、80%以上のものを「G1」、それから後発品への置換えが困難なもの、置き換え率80%未満のものを「G2」というふうに定義いたしまして、それぞれに応じて薬価の引下げ制度を導入したところでございます。
具体的には、5コマ目をご覧いただきたいと思いますけれども。
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G1品目につきましては、後発品への置換えが進んでいるということで、最終的には6年かけて薬価を後発品価格と揃えるということでございます。
従いまして、併せてですけれども、後発品と長期収載品の価格が同価格になるということでございますので、長期収載品企業自らが市場からの撤退を、後発品企業による増産を前提として判断できるというルールも導入したところでございます。
G2につきましては、後発品への置換えが困難な長期収載品ということでございますので、市場からの退場が困難ということで後発品との一定の価格差を許容するという考え方に基づきまして、10年かけて長期収載品の価格を後発品の1.5倍の価格まで引き下げるというルールを導入したところでございます。
そのほか、後発品価格の2.5倍以下の長期収載品に対する補完的な対応をし、ですとか、G2からG1への移行、それから早期撤退に関するルール等について定めるというところでございます。
今、申し上げたのが「現状」の1つ目のポツに記載している事項でございまして、2つ目のポツでございます。この長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方につきましては、先般の薬価制度抜本改革における「今後の検討事項」といたしまして、以下の3点についての対応状況を踏まえて検討するとされております。
具体的には、後発医薬品への置換率の状況、それから後発医薬品の上市状況、それから安定供給への対応状況等とされているところでございます。
下の所に、表としてですね、30年度改定におけるG1、G2、Cに該当した成分および品目を記載してございます。
8コマ目をご覧ください。こちらがG1、G2、Cに関するルールの全体を説明したスキーム図でございます。
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後発品が上市されますと、下に「置換え時期」と書いてございますとおり、最初の5年間は後発品への置換えを進めていく。その後の5年間につきましては、後発品への置換えが進んでいないものについては追加的引下げ、Z2も適用しているということでございます。
そして、この後発品への置換え時期が終了した時点でですね、G1、G2に相当するものにつきましては後発品の価格の2.5倍というところまで一気に価格を引き下げて、その後、G1、G2、Cに応じた対応をしているということでございます。
こちらに「引下げの下限と円滑実施係数」と書いてございますとおり、この長期収載品の薬価の見直しによりまして、一定の品目企業については大きな影響を受けることが想定されるために、そういった激変緩和措置的な対応も導入させていただいているところでございます。
10コマ目は、G1に関する撤退スキームをまとめたものでございます。
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11コマ目、こちらにつきましては薬価制度抜本改革において「今後の検討事項」とされている部分について枠囲みで示しております。
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12コマ目は、参考までに長期収載品の考え方について、以前、薬価部会にお示しした資料をお付けしているところでございます。
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そして、13コマ目でございます。こちらに、後発医薬品への置換え率の推移についてお示ししたものでございます。
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今般導入しましたG1対象品目、それからG2対象品目のうち、剤形区分ごとに市場規模の大きな品目につきまして、いくつか後発品への置換え率の推移がどうなっているか、というものをお示ししたものでございます。
全体として後発品への置換えというのがどんどん進んでいく状況でございますけれども、一部ご覧いただきたいのは、G1対象品目における青のグラフで示されている「注射薬C]につきましてはですね、平成29年の薬価調査の時点から平成30年の薬価調査の時点で置換え率が減少しているということが伺えるところでございます。
下の表に、全体としての傾向をまとめてございますけれども、全体としてはですね、平成29年の薬価調査から平成30年の薬価調査に向けて、G1、G2いずれもですね、後発品への置換え率としては、それぞれ進捗しているという状況ではございます。
ただ、一番右の下段に書いてございますとおり、G1、G2適用後、置換え率が2%ポイント以上下がった品目というのがG1では5品目、それからG2では16品目あったということでございます。
続きまして、14コマ目でございます。いわゆるオーソライズド・ジェネリック(AG)が上市された場合の後発医薬品への置換え率の状況ということでございます。
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こちらは、後ほどご紹介しますけれども、先般、薬価算定組織のほうから、いわゆるオーソライズド・ジェネリックが上市された品目などについては、この長期収載品の引下げ時期について検討の余地があるんではないか、といったご指摘がありましたので、今回資料を用意したものでございます。
表をご覧いただければと思います。これはいずれも平成26年に初めて後発医薬品が収載された医薬品10品目の、その後の後発品への置換え率の状況がどうなっているのかというのを示したものでございます。
一番右の平成30年の薬価調査時点からご覧いただきたいと思いますけれども、この時点でですね、後発品収載4年後に後発品への置換え率が80%以上になったものが1品目がございまして、そのうち括弧書きで示しているとおり、この1品目についてはいわゆるオーソライズド・ジェネリック、AGが上市された品目でございました。
、また、60%以上80%未満になったのは4品目ございますけれども、そのうち3品目がですね、AGが上市された品目であったということでございまして、AGが上市されている品目については、数は少ない中での分析ではございますけれども、後発品への置換えが進みやすい傾向にあるということがうかがわれる状況になってございます。
15コマ目でございます。15コマ目は以前、AGについて、いわゆるオーソライズド・ジェネリックについて説明した時の資料でございます。参考としてお付けしてございます。
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次、16コマ目でございます。「後発医薬品の新規収載、流通状況等」ということでございますけれども、まず後発品の新規収載品目数をグラフとして示しております。
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G1、G2ルールを適用後、後発品の新規収載というのは平成30年6月、12月、それから令和元年6月、3回あったわけでございますけれども、これらの傾向からですね、品目数がどうなっているかというような一定の傾向というのは、なかなか導き出すのは難しいかなと思っているところでございます。
また、後発品の供給停止品目数についてでございますけれども、平成30年度、330品目ということで、ほかの年度よりも一見多いようにも見受けられますけれども、実際にはこのうち91品目は製造販売業者の吸収合併に伴うものということでございますので、それに伴う整理ということでございますので、こちらについても傾向としてはあまり何か一定のことが言える状況ではないというふうに考えております。
ちなみに、一番下に書いてございますとおり、2018年末頃にですね、汎用される抗生物質であるセファゾリンにつきまして、国内企業が原薬を輸入している海外企業における異物混入等が重なりまして、生産に支障が発生して供給低下が生じたという事態が発生しているということを付記しております。
17コマ目でございます。こうした後発品の安定供給を図るための厚労省の取組ということでまとめております。
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まず、後発品の安定供給につきましては、少なくとも5年間は継続して製造販売すること等の安定供給の要件を規定して、製造販売業者に遵守を要請しているところでございます。
また、薬価収載に先立ちまして、経済課においてですね、過去に供給不安事例を起こした企業などを中心に安定供給に支障を生じさせるおそれがないか事前にヒアリングなどで確認をするということもしております。
また、原薬の調達経路を複数化することを推奨しておりまして、下に表がございますけれども、平成25年度の28.6%から29年度42.7%まで原薬の調達経路の複数化ができている後発品の割合は上がっている状況でございます。
18コマ目でございます。後発品への置換えが進まない先発品の薬価の追加引下げルールである「Z2」についてでございます。
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こちらにつきましては、後発品の使用割合に関する政府目標の推移など、変更などを踏まえてですね、左に表がございますけれども、平成26年、28年、30年度改定いずれにおいても、その都度、置換え率の基準、水準等を変更してきているという状況でございます。
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薬価算定組織からの意見を紹介しておりますけれども、薬価算定組織からは、後発品への置換えが進んでいる事例などにおいては、先発メーカーの撤退の意向も踏まえ、段階的引下げまでの期間を短縮できることとしてはどうか、というご意見。
それから、長期収載品と有効成分、原薬、添加物および製法が同一の後発品、長期収載品と同一の製造所に製造委託をしている後発品を想定しているということでございますけれども、こうしたものが収載された場合には、Z2およびG1、G2の適用までの期間を短縮してはどうか、というご意見を頂いているところでございます。
従いまして、論点といたしまして、
まず、我が国の製薬産業の構造を長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへと転換する観点、後発品置換え率の状況等を踏まえて長期収載品の段階的引き下げまでの期間についてどう考えるか、というのが1点目。
それから、後発品置換え時期に実施しているZ2およびCの置換え率の水準につきまして、最近の後発医薬品への置換え率を踏まえてどう考えるか、ということを2点目として用意させていただいております。よろしく、ご審議のほどをお願いいたします。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、ありがとうございました。ただいまの説明を踏まえ協議を行いたいと思います。ご質問、ご意見等ありましたらお願いします。では松本委員、お願いします。
質疑 ── 松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
はい、ありがとうございます。では、20ページ目の論点に沿って発言させていただきます。
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1つ目の論点についてですが、長期収載品と後発品の薬価差がどの程度まで縮まると置換えが進まなくなるのかといったことや、置換えが進まない品目の特徴などを詳しく見る必要がありますけれども、G1、G2が導入されてから間もないこともあって、現時点では知見が少ないので、全ての長期収載品についてはZ2やG1、G2の適用開始時期を現行よりも早めるのがよいかどうかは、ここは慎重に見極める必要があると思います。事務局には引き続き検討するようお願いいたしますが、
他方、薬価算定組織の意見どおり、後発品への置換えが進んでいる品目や、オーソライズド・ジェネリックに相当する後発品が上市されている場合は、Z2が適用されるまでの期間を短縮することなどを検討すべきと考えます。
2つ目の論点であるZ2における後発品置換え率の基準につきましては、これまでも後発品の使用割合の状況に応じて改定の都度、適切な水準に設定してきていると理解しております。従って、今回の改定においても薬価調査における直近の後発品の使用割合を踏まえて、より適切な基準を定める必要があると考えます。
後発品を製造・販売する会社が1社しかないという場合もありますので、後発品への置換えではなく、長期収載品と後発品が共に安定供給に寄与する場合があります。置換え率の水準そのものは丁寧な検討が必要と考えます。
とりあえず以上です。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
ほかはよろしいでしょうか。では吉森委員、お願いします。
質疑 ── 吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
はい、ありがとうございます。同じく20ページの論点ですけれど、
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まず1つ目ですけれども、後発品への置換え率が80%以上と高い品目のG1ルールの収載品は、一般的には製品の有効性、安全性などの有意差が同等であれば、価格競争力の差においてメーカーの経営的戦略判断が働くのが自然な考えでございますし、価格がもし同等になれば市場撤退もあるというのも自然だと思います。
そういう意味では、長期収載品の薬価が引き下げられて後発品に近づけば、この13ページにお示ししていただいているように、
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注射薬のように置換え率が低下する現象というのは、長期収載品の先発品が価格競争力よりは製品信頼性が優位になり、置換え率が上げ止まる、まあ、下がるというのは当然、考えることだというふうに思っております。
しかし、G1ルールにおいての段階的引下げ期間の設置そのものの趣旨というのは、後発品メーカーの増産準備に必要な準備期間として設定されたと理解しておりますので、近年の後発品メーカーの製造体制、製品競争力強化、こういう現状を踏まえますと、置換え率が80%以上の高い品目については段階的引下げまでの期間は当然短縮してもいいのではないかというふうに考えます。薬価専門部会(=薬価算定組織)の提言どおりかなあというふうに思ってます。
また、AGについては、これは、AGメーカーというのは一般的な後発品より早く販売できるわけですし、その有効成分のみならず原薬、添加製法など先発品と同等であるということ、それに、かつ、先発品メーカーの価格を受けて製造販売すると。こういうようなことから考えれば、先発品メーカーへの経営的配慮、AGメーカーへの製造準備への配慮、これは特段の必要性はないのかなあというふうに思います。
従って、Z2およびG1、G2の適用までの期間、これはもう当然、短縮していいのではないかというふうに考えております。
一方で、置換えの進んでいないG2ルールの品目、これについては先ほど松本委員からもございましたが、長期収載品に依存しないビジネスモデルへの転換を目指し見直しをした28年度の制度改定、これを踏まえますと先発品および後発品の各企業の動向、影響をしっかりと分析した上で慎重に検討すべきではないかというふうに考えます。
ただし、後発品収載後10年という、この置換え期間、薬価収載後5年としているZ2の在り方、こういう考え方は長期収載品に依存しない、より高い創薬力を持つビジネスモデルへの転換という観点、また現在スピード感が求められている世界水準で競争しなければならない環境にある先発品企業および後発品企業の動向、
こういうものを踏まえますと、この10年、5年という在り方を、そのものを見直す議論をしてもよいのではないかというふうにも思っております。以上、意見です。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、ほかはいかがでしょう。はい幸野委員、お願いします。
質疑 ── 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
はい。まあ、似たような意見もあるんですが、ちょっと違った部分もありますので、まずお聞きしたいのは、Z2になるまで5年、それからZ2を始めてから5年。この「5年」という根拠をちょっと、過去の経緯から教えていただきたいんですが。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
では…………
では、薬剤管理官、お願いします。
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
前回の薬価制度抜本改革の議論の中で、まず最初、後発品上市後10年までの期間というのをですね、後発品の置換え時期という形で位置付ける。その後の後発品10年を長期収載品の後発品価格への引下げ時期に位置づけるという形で議論をされたと承知しております。
その以前の、Z2ルールの導入の時にはですね、やはり考え方としては基本的には後発品が上市されたら後発品への切り替え、置換えの促進策というのをですね、診療報酬上の対応も含めてどんどん推進してきたという中でですね、
ただ、なかなか一定のところまで進む品目もあれば、なかなか進まない品目もあるという中でですね、後発品への置換えが進んでいないものについて追加で引下げぎをするという形で最初5年間の状況を見た上でですね、Z2のルールを適用するということに、平成26年度改定の時に導入されたというふうに理解しておりますので、
それを踏まえて前回、Z2までの5年間、それからZ2を5年間やったあと、10年経過した後に長期収載品を後発品の価格に近づけていくという期間というふうに位置づけたものというふうに理解しております。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、では幸野委員、お願いします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
はい、私も昨日ちょっと、Z2ができた時の資料を見てみたんですけど、25年にこれ議論されてまして、当時、目標にしてたのは平成30年3月までに旧指標で60%にするというのを25年に議論してまして、たぶん、その時に、あと5年で60%に持っていくということで、5年たっても置き換わらないものはZ2に移行するというふうなことがたぶん議論されたというふうな資料があったんで、まあ、そうだと思うんですが。
今、見てみるともう、80%目標時代になってるんで、もうこの5年という昔の根拠はもう意味をなしてないというふうに思ってますので、この5年というのは、もうこの5年ありきで考えるんじゃなくて、まあ、早期に置換え率が高まったものについてはG1、G2の強制的引下げということに入っていくべきだというふうに思います
ということで、14ページにありますように、後発品収載後3年に80%になっているものについては、もう待つことなく、即、G1、G2に入っていくということを検討していくべきだというふうに思います。
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それで、早期になっているのを見てみると、AGが多いということなんですが、このAGについては、薬価算定組織は、AGで置換え率が高まっているものについては早期にG1、G2に移行するべきだというふうな提案がなされているんですが、
AGについてはこういうことじゃなくて、もうAGというのは権利を譲り渡すと。特許を売ったり、あと子会社に完全移管させるというふうに放棄してるわけなんで、このAGが上市された時点で猶予なく、もう薬価を例えば同じにするとか、そういったことを考えていくべきじゃないかというふうに思います。
AGが出てるのに先発品が異なった価格でまだ何年も存在してるっていうのは理屈上、もうおかしくて、まあ、安定供給っていうのがありますので、例えば15ページにありますように、
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別の会社に、その契約関係を売って製造者が異なる場合にはたぶん安定供給までに時間がかかるので、その間は異なった価格で先発品が存在してもいいと思うんですが、例えば完全子会社の同じラインでAGを作るという場合には、もう先発品の役目はその時点で終わってるので、この価格に差があっちゃいけないと思うんで、期間を短縮するどころか、AGが出た段階で、もう先発品の価格を同一にするということも考えてくべきじゃないかというふうに思います。
ということで、薬価算定組織の意見はあるんですけど、まあ、これよりももっとスピード感をもって、AGが出た時点で、もう先発品の価格を揃えると、あるいは撤退していただくということを考えていくべきじゃないかというふうに思います。それが1つと、
もう1つは、2点目の論点のCなんですが、7ページを見てみますと、Cの項目、品目が圧倒的に多いというデータが出てて、しかもC中でも、40%未満が特に多いという現状がある。これが我が国の、まあ、長期収載品が多く残っているということを表していると思うんですが。
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じゃあ、Cについてどういう取り扱いがなされているかと言うと、G2は結構8%から9%で2年ごとに落としていってるんですが、CについてはZ2を適用するということで、1.5%から2%ぐらいで落ちていくということなんですが、
G2とCの違いが何かと言うと、価格が2.5倍以上か未満か、というだけだと思うんですが、その違いでCを、Cの価格の下げ幅をZ2のように緩やかにするのが果たして妥当なのかというところについては検討する余地があると思ってまして、
G2とCの違いは価格の違いだけであるにもかかわらず、価格の落とし幅がかなり違うということで、CもできればG2と同じようなスピード感で対応していくべきじゃないかというふうに思います。
まあ、極端な話を言うと、もうCもG2と同じような対応でいいんじゃないかというふうに思いますが、この辺についていかがでしょうか。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、では薬剤管理官、お願いします。
質疑 ── 厚労省・田宮憲一薬剤管理官
〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
はい。今、ご質問いただいた件でございますけれども、CというのはG1、G2がですね、G2につきましては後発品の価格の2.5倍まで下げるというところから始まるのがG2ということでございます。
そして、Cにつきましては、もともとこのG1、G2ルールというのは長期収載品の価格を後発品の価格に近づけていくということでございますので、そういう趣旨からすると、2.5倍以下の範囲で収まっているものがCということになります。
ただ、そうは言ってもCについてもZ2を適用して引き下げていくということでございまして、かつ、もしCの……、そういう意味ではG2のルール……、10年かけて1.5倍まで段階的に引き下げていくわけでございますけれども、Cに該当するものについてはZ2を適用していく中ででですね、仮にZ2の水準を後発品が例えば……、5コマ目をご覧いただければと思いますけれども、
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5コマ目の、4年目の所が「先発後発価格比」の2.1倍というのがございます。この2.1倍を、仮にCの品目が引き下げが緩やかで超えたということになると、そこはもうG2の2.1倍というのがキャップとしてかかりますので、そういう意味では、ルールとしてはですね、ちゃんとG2を、ルールよりもCのほうが甘いということではなくて、たまたまCの最初の価格がG2の2.5倍とかよりも、もっと低いところにあるのでCを……、Z2のルールを適用しているということでございますので、あくまでG2ルールの補完という意味で、このCというルールは適用しているということでございます。
ですから、Cの該当するものがですね、非常にG2に比べて引下げ率が甘いとかそういうことではないというふうに考えているところでございます。
あわせて、先ほど幸野委員からいくつかご指摘ありましたので、補足説明させていただければと思います。
まずZ2ルールについてですね、平成26年度改定の時に60%の目標ということを念頭にですね、5年間、60%というのが目標ということで、5年間ということでやったのではないかというご指摘でございました。
ご指摘のとおり、もしZ2の置換え率の水準がですね、60%ということを基準にして、ずっとその基準を維持しているのであれば、ご指摘のとおりですね、5年間という猶予を持つと、待つ必要はないと思いますけれども、
実際にはですね、28年度改定、それから30年度改定とともに後発品の使用割合の政府目標とともにですね、Z2の基準の後発品の置換え率の水準というのを引き上げてきておりますので、そういう意味では幸野委員の指摘どおりのように5年を待たずにですね、すぐ適用をするということではなくて、逆に基準を引き上げることでですね、5年間は5年間でございますけれども、その基準を引き上げることで、これまで対応してきたというふうに理解しているところでございます。
それからもう1点でございますけれども、オーソライズド・ジェネリックが上市された際にですね、長期収載品の価格をオーソライズド・ジェネリックの価格まで引き下げてはどうかというご指摘がございましたけれども、
この点について、おそらく検討する必要があると思いますのは、オーソライズド・ジェネリックの価格まで長期収載品が引き下がるというルールができた場合にですね、逆に今度はオーソライズド・ジェネリックを先発品企業がですね、許諾して上市することを……、ような行動を取るのかどうかということが懸念されるところでございます。
逆にそういうふうになりますと、むしろオーソライズド・ジェネリック、許諾して、後発品の開発販売承認を認めるということが生まれなくなるということも考えられますので、その辺も含めて議論が必要かなというふうには考えております。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。では上出専門委員、お願いいたします。
質疑 ── 上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)
〇上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)
はい、ありがとうございます。今回、長期収載品の段階的引下げまでの期間につきまして、いろいろご意見がございましたけれども、先ほど松本先生からのご指摘もございましたように、この制度を導入してまだ1年半ということで、その影響を評価するための知見というのはまだ少ない状況というふうに理解をしております。
その中で、今回の資料でいくつかの状況を示すデータをお示しいただきましたけれども、この13コマ目のスライドにもございますように、
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トータルで見ますと、このG1、G2の導入後も置換え率は順調に上がっていると。ただ一方で、この置換え率が下がった品目もあるということでございます。
置換え率が下がった理由というのは今後、精査が必要かと思いますけれども、先発品と後発品の価格差が縮まったというようなことも影響している可能性もございます。
そのような中で、この段階でですね、この引下げまでの期間を検討するにあたりましては、今回これも議論ございましたけれども、Z2そしてCといったもののですね基準も含めて、今後、後発品への置換えのですね、妨げにならないようなルール変更にしていくという視点での検討が非常に重要かというふうに考えております。
またAGにつきましても、いろいろご議論がございましたけれども、このAGによって後発品への置換えが促進されたという側面もあろうかと思います。このAG、薬価制度上は明確な定義がないものでございますので、このAGという切り口で何か制度を変えていくということについて、本当に適切かどうかというところにつきましても、ぜひ慎重なご議論をいただければというふうに考えております。
また本日、ご議論はございませんでしたけれども、このG1、G2、一部の企業もしくは品目については非常に大きなこれ、影響が発生するわけでございまして本日のスライド9コマ目にもございます「円滑実施措置」というものが、この30年度改定では入れられております。
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私どもの分析ではですね、この円滑実施措置の対象となった品目はおそらく40品目ぐらいあっただろうというふうに見ております。そして、そのうちの10品目程度はですね、この措置がなければ薬価が70%ぐらい下がってしまっているという状況でございますので、今後もこういったこと、発生する可能性がございますので、この円滑実施措置につきましては次回の改定でもですね、取り入れていただきたいというふうに考えております。以上でございます。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
ほかはよろしいでしょうか。では幸野委員、お願いいたします。
質疑 ── 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
すいません、AGについてちょっとこだわるんですが、14ページの所で、この表で、
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平成29年度、後発医薬品収載3年後にAGが80%以上を占めてるんですが、じゃあ、この先発品をどうしていくのかっていうとこなんですけど、これ、期間を早めるにしても、例えばG1、G2を適用するにしても、この80%以上のAGが出ててる先発品を、あとこれ、G1、G2の適用を早めるにしても6年間ぐらいは長期収載品として残るという理解でよろしいんですか。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、では薬剤管理官、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
長期収載品が市場から撤退するかどうかというところは、こういった後発品への置換え状況を踏まえてですね、その長期収載品の企業が判断するところかとは思いますけれども、
例えば……、ですからそういう意味では、この途中の段階でですね、長期収載品のメーカーが撤退するということもありうると思いますし、あるいは実際のG1ルールが適用されてからですね、その段階で後発品の供給体制なども踏まえてですね、撤退するということもあろうかと思いますので、一概にどういう形になるかというのは申し上げることは難しいかなというふうには思います。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、では幸野委員、お願いします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
例えば、完全子会社なんかにラインを移した場合に、もう先発品が役目を終えてると思うんですが、それでも価格に差を付けて……、まあ、撤退するのが一番いいとは思うんですけど、価格を差を付けて残すというルールというのは、果たしてあっていいのかなというふうに思うんですが、いかがですか。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、薬剤管理官、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
そこのところはもちろん、医療現場の現場サイドからのニーズとかですね、そういったこととの関係も出てくると思いますので、一律に薬価制度上のルールだけでですね、こうする、ああするということは議論できないところもあろうかと思いますけれども、
ただ、実際の、幸野委員ご指摘のところで言うと、例えば薬剤費、当該医薬成分のですね、薬剤費という観点でいくと、置換えが進んでいればですね、その分、薬剤費全体としての、当該医薬品としての薬剤費は抑制されているということは言えると思いますので、その中で、あとは医療現場のニーズとの中でですね、そういう品目をどういうふうに扱うのかという、ま、長期収載の企業自身もですね、どういうふうに考えるかというふことになろうかとは思っております。
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〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、ほかはいかがでしょうか。
はい、ありがとうございました。ほかにご質問等もないようでしたら、本件に関わる質疑はこのあたりにしたいと思います。本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
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〇厚労省担当者
事務局でございます。総会は、準備が整い次第開催とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(後略)