厚生労働省は7月25日、中医協の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の2019年度第5回会合を開き、来年度の診療報酬改定に向けて地域包括ケア病棟入院料の「論点」を示した。【新井裕充】
質疑では、リハビリの実施率が約3割との調査結果について委員から「かなり問題のある状況じゃないか」との指摘があった。厚労省の担当者は「全く必要ない方が3分の1というのはどうかなという問題意識は持っている」と述べた。
厚労省担当者の説明(一部)と質疑(全文)は、以下のとおり。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
それでは、定刻より少し早いですが、皆さんお揃いですので、ただいまより、令和元年度第5回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
まず委員の出欠状況ですが、本日は山本(修一)委員(千葉大学医学部附属病院長)がご欠席となっております。
次に、厚生労働省において異動がございましたので、事務局(保険局医療課)のほうから紹介をお願いします。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。前回の分科会以降に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
岡田就将・医療課医療技術評価推進室長でございます。
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〇厚労省保険局医療課医療技術評価推進室・岡田就将室長
岡田でございます。よろしくお願いいたします。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
それでは、本日の議題であります、
・地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、および
・回復期リハビリテーション病棟入院料
につきまして、議論を行いたいと思います。
まず事務局より一括して資料の説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。
お手元に、資料「入ー1」をご用意ください。
今回、(分科会長から)今ご説明ありましたように地域包括ケアと回リハを中心にお願いしたいというふうに思っております。
まず資料のご説明でありますが、2ページにありますように、
まず、入院料別の施設の状況についてご説明したあとに、
地域包括ケア、回リハ、それぞれについて、ご説明をしてまいります。
3ページにお進みください。
ところで、(これは)7月10日の中医協総会の資料でございますが、各入院料別の届出の状況等をまずご説明したいというふうに思います。
まず3ページ目でございますが、4つ。
一般病棟と療養、さらには地域包括ケア、回リハ、4つお付けしているところでございます。
本日、ご議論いただきます地域包括ケアにつきましては、左下を見ていただくと分かるかと思いますが、入院料1の届出施設が増えているという状況でございます。
回復期リハビリテーションにつきましても、(入院料)1と2、それぞれがこのような状況というふうになっております。
さらに、4ページ目にお進みいただきますと、こちらは届出病床数の推移になっております。
地域包括ケアの病床数につきましては、左下にありますように入院料1が伸び続けているという状況でございます。回復期リハビリテーションにつきましても、入院料1が増えて、2が減っているという状況が見て取れるかというふうに思います。
5ページ目にお進みください。
それぞれの入院料別の平均在院日数の推移をお付けしております。
地域包括ケアにつきましては、入院料1はほぼ横ばい。入院料2が多少上下しているところでございますが、おおむね横ばいというふうになっております。
(中略)
続きまして22ページ目でございます。
平成28年度の改定で、包括から除外されました手術の実施状況を見ているのが22枚目でございます。
入院中の手術の実施状況としましては、約4分の1が「実施あり」ということになっておりまして、その手術の種類を見ていただきますと、
下にありますように、「骨の観血的手術」が6割を占めているという状況でございます。
続きまして23ページ以降、実際、どういうような検査等々がやられているかというスライドのご説明になります。
まず23枚目でございますが、調査日から遡って7日間の間に、ここにありますような、いずれかをやったか、やってなかったかというのを患者票から抽出したとこでございます。
それを見ますと、調査日から遡って7日間の間に、約半分の方は尿検査、血液検査等を受けられていると。
で、それ以外につきましては、X線単純撮影等が約3分の1ぐらい。超音波、もしくはCT、MRI等の検査につきましては10%の方がされているという状況でございます。
24枚目に進んでいただきますと、今度はリハビリテーションの実施状況というものを見ておりまして、
こちらにつきましても、まず一番左の円グラフを見ていただきますと、3分の1程度、リハビリを受けていないという状況が見て取れまして、
それを過去7日間の日数とリハビリの単位数で見たのが真ん中と右の円グラフになっておりますが、
まず真ん中を見ていただきますと、過去7日間に5回以上という方が4分の3ぐらいになりますが、逆に言いますと4分の1は5回以下。
で、単位数を見ていただきますと、11単位以上という方がおおむね3分の2ぐらいでございますが、10単位よりも少ないという方が3分の1程度いるという状況でございます。
(中略)
ここまでをまとめましたのが45枚目になっておりまして、「論点」を読み上げさせていただきますが、
地域包括ケア病棟に求められる機能をさらに推進する観点から、
・現状の自宅等からの患者の受入や在宅医療の提供状況、
・入退院支援の実施状況、
・入院中の患者に対するリハビリテーションの実施状況等
を踏まえ、
入院料1・3の実績評価の要件等について、どのように考えるか。
という論点を提示させていただいております。
(中略)
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
それでは、この議題につきまして、2つに分けてご議論をいただきたいと思います。
まずはじめに、
1の「入院料別の施設の状況」から、
2.地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」
までにつきまして、ご質問、ご意見等を承りたいと思います。
はい、松本委員、どうぞ。
〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
ありがとうございます。健保連の松本です。
印象と、それとちょっとこれは、事務局(保険局医療課)というよりかは実際は、現場を抱えている先生方のほうにちょっとお伺いしたということであります。
スライド12にありますように、地域包括ケア病棟というのは、事務局からご説明がありましたように、
・急性期治療を経過した患者の受け入れとか、
・在宅で療養を行っている患者さんの受け入れ、まあ、入院とか緊急です。
・あとは、在宅復帰支援ということで、
(3つの)役割を担うものと理解しておりますけれども、
スライドの8(他の入院料の届出状況)とか、18(地域包括ケア病棟を利用している理由)のデータを見ますと、依然、自院の急性期からの受入が中心となっているという印象を受けます。
地方のように、ほかに医療機関がない所については、当然のことと思いますけれども、
都市部で、そういう医療機関の多い所についてはもう少し機能分化が進まないものかなという、そういう印象を持ったところでございます。
それと、多様な患者を受け入れて在宅復帰をさせるという地域包括ケア病棟に期待される役割を考えますと、それに応じて診療報酬点数も設定されていると思います。
スライド20で、自宅等からの緊急入院の受入が示されておりますし、
またスライドの34(手術の実施状況)では、自宅、介護保険施設からの入棟患者の約2割についての手術が実施されているということで、
一定の役割を果たしているということについては評価をいたします。
ただ、他院からの、一般病棟からの入院患者に対しての手術件数が非常に少ないのは、ちょっと気になるところであります。
そういう中で、一定の評価をしておりますけれども、この中でちょっと疑念を持つところがございます。
1つは、スライドの23(検査の実施状況)で、過去7日間の検査の実施状況では、検体検査(尿・血液等)につきましては、約半数が実施されておりますけれども、
その他のものについては、実施の割合が非常に少ない、実施してないというものが多いということ。
それと、スライドの24(リハビリテーションの実施状況)で、疾患別リハビリテーションの実施状況では、「いずれも実施していない」というのが約3割も占めておるということ。
あとはスライドの39で、
「治療のために予定入院した患者」の約3割について過去7日間、「手術なし・検査なし」というふうな状況であること。
あとスライド44で、
「現時点で具体的な退院日が決まっている」患者のうち、「検査なし・リハビリなし」が10%あるということでございます。
この地域包括ケア病棟の診療報酬の点数の設計のことを考えますと、実際、臨床現場にいらっしゃる先生方の所は、これについて、どのような評価をされているかというのを、
ちょっとわれわれはよく分からないものですから、ちょっと、現場を抱えている先生方からの、ちょっと、見解をお伺いししたいと思います。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、それでは、石川委員、どうぞ。
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〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
ちょっと、下の23の所からちょっといきますとですね、
23の、この検体(検査)の7日間ということについてですけれども、病棟に入るときはですね、たいていまあ、検体の検査とか、そういうのはしているんですけれども、
この取り方ですね。「どこの時点で取ったか」ということによって、こういう統計が出てきちゃうということだと思います。
つまり、要するに、中間ぐらいの所とか、終わりぐらいの所で取ってしまえばですね、入院期間のですよ、(そうする)と、こういう検体の数になると思います。
それからですね、冒頭のあの、この、私は稼働率の所でですね、表があったと思いますけれども、最初のほうですね。6枚目の資料でございますけれども、
ここで、地域包括ケア病棟の入院料のですね、取り方の稼働率で見ますとですね、上がってるんですね。少し上がってます。で、以前やりました急性期入院の場合には少し下がってます。
で、これについてですね、私はまあ、これは本当は事務局でどういうことを分析するのかっていう、ちょっと意見を聴きたいところなんですけど、
私は、その使い方ということについてですね、非常に熟練してきていると。スキルが上がってきているんじゃないかっていうように考えております。
つまりですね、この自院の所でですね、こっちのほうに転棟するといってもですよ、病状に合わせた転棟が行われているというふうなことで考えたほうがいいと思います。
それは、例えば17の所を見ていただくとですね、
えー……、17じゃないかな……、入ってる所ですかね。入ってる所とか……、あの、ありますけれども、
経営というよりはですね、僕はやっぱり、(地域包括ケア病棟の)使い方が自院の中でも、急性期病棟から地域(地域包括ケア病棟)、リハ病棟、それから次のお話しする、回復リハですね。
こういった所への使い方が、ま、患者の病状に合わせてやってきているというふうなことが言えるんじゃないかってふうに思ってます。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、では神野委員、どうぞ。
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〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
今の(議論の)範囲というか、一番最後に、(スライド)73から75のときに、これ、(資料を)見なくても口で言いますけれども、
入棟前に比べて退棟時のADLが地域包括も回リハもすごく良くなってるんですよね。
とすると、医療から生活の場である、「生活の場につなげる役割」としては非常に大きく機能しているというのが、この、今のADLスコアの比較表で出てきたのかなというふうに思いますから、
そういう、そういった機能というのが、ここに、「在宅へ、自宅へつなげる」という機能として、大いに地域包括ケアも回復期リハも機能してるのかなというふうに思います。
そして、今のお話の39枚目ですけれども、
これは、治療のために予定入院したのに手術・検査がないじゃないかという、さっきの松本委員のお話があったわけです。
じゃ、これをどう解釈するか。これはいろんな解釈があると思いますけれども。
ただ1つ、これは診療報酬でやるべきなのか、そうじゃないという話もあるかもしれませんが、
例えば、ある程度、医療依存度の高い人が在宅で管理されてると。で、その方々は、医療依存度が高いばっかしに、介護保険のショートステイ等を利用できないんですよね。
ショートステイの場所っていうのは、24時間ドクターとかナースがいない所、いっぱいありますから、で、そういう所に持っていけないと。
で、そういった意味では、もしかしたら、この、例えば、「レスパイト的に在宅医療を支える」という意味合いで予定入院させて、そして医療依存度の高い人をきちんと病院で診て、24時間、医師も看護師もいる病院で診て、
そして、ADLを良くしてお返しするというような機能というもの、これは今まであんまり言われなかったかもしれないですけれども、
そういった機能というのは、これから在宅医療が非常に増えたときに、そこを、家族がつぶれてしまってはいけないわけですから、そこをきちんとカバーしていく機能というのを、
やっぱり、在宅医療を支える病棟としての地域包括ケア病棟の1つの機能として、もっと大きく言ってもいいんじゃないかなというふうな気がいたしました。
で、先ほどの、7日間の、「検査する、しない」の話、まさに石川委員がおっしゃったように、これは(データを取る)タイミングの問題なのかなあというように思いますんで、
これは、どうなんでしょうかねえ。あの……、もし、あれでしたら、1つひとつ事例を検討するしかないのかな、というふうな気がいたします。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、牧野委員、どうぞ。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
はい、牧野ですけれども。
まず、検査が「過去7日間」という基準でいくと、こういった格好になっているわけなんですけれども、
これに関して、実は2年前の、この会でも似たようなデータが出てきて、で、その時には、実は「入院時から最初の7日間」という格好だと思ったんですが、
そこでいきますと、実は自宅から来た人と、あと他院から来た人、これは検査やなんかが多いと。ただ、自院からは少ないというようなデータが確か、前には出ていたと思うんですね。
それによって今回の診療報酬に変わったのかなあというふうに思っているわけですけれども。
ですから今回、「検査も手術もない」というのは、「過去7日間」という格好でもって、くくっちゃったから、こうなったわけで、その切り……、
やっぱり「入院時から」というふうな切り口に変えたほうがいいのかなというふうに思って。
あともう1つ。自宅から来る人と、まあ、
「ある医療機関では、自院の急性期の病棟からばっかり来ているじゃないか」というような指摘もあったんですけども、これに関しては、先ほど神野委員もおっしゃったんですけども、石川委員もおっしゃったんですが、
自院の急性期病棟にいるよりも、やっぱり回復期という、その患者さんの状態に合った病棟に移るというのは決して悪いことではないという認識をまず持たなくちゃいけないということ。そして、自院から来る人のほうが手間もかかるし検査も多いと。
そういったことは、すでに診療報酬上、評価されて、自院から移った場合のほうが診療報酬で少なくなってますから、そういったことも考慮していいんじゃないかなというふうに思います。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、池端委員、どうぞ。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
はい、同じ点ですが、まず松本委員が最初におっしゃったこと、おそらくこのデータを見れば誰でもそう感じるのは当然だろうと思ってます。私自身もすごく、見ました。
ただ、やっぱり根本的に考えなきゃいけないことは、まずあの、この指標、いわゆる手術、検査、それから疾患別リハ、重症度というのは、少なくとも一般病床、急性期を中心とした一般病床の指標、全て指標なんですね。
じゃ、これ以外、何もしてないのかと言うと(そうではなく)、
実は、例えば、非薬物的治療ということで、栄養指導しながら栄養、あるいは薬のポリファーマシーを調整する、そういう機能。あるいは、退院支援でいっても、実際は在宅に一緒に行って評価をしたりと、
こういうことをやっているのが地域包括ケア病棟。そういう非薬物的治療というのは(指標から)全く抜けて(いる)。
リハに関しても、これ、疾患別リハの単位数だけでやってるんですけれども、もうすでに回復期リハの進んでる所は、「POC」といって、ポイント・オブ・ケアのリハ、「20分1単位」という枠にとらわれない生活リハビリを5分、5分でやっていく。そして合算したら1日20分、30分やっている。
ただし、疾患別リハとして取ってない。こういうリハを、もう積極的にやっていて、アウトカムも出してるんですよ。
だから全く私は、この評価でやることは、非常に私は、「先祖帰り」してしまっている評価。地域包括ケア病棟はそういう病棟ではないはずなんです。
そういう病棟ではない病棟で、使い勝手が良くて、アウトカムも出して、しかも一般病床だったらもう単価が7万円のところが3万円で済むような、そしてアウトカムも出すような使い勝手がいい病棟をつくろうということなのに、この評価をしていったら、また先祖帰りしてしまう。
私は非常にちょっと、事務方は何を、どういうつもりでこれを出されたのかなと思ってます。
(委員ら、笑い)
で、もう1つはただ、もう1つの視点は、亜急性期(入院医療管理料)1と2がありましたよね、昔。で、亜急性期1がポストアキュート、亜急性期2が在宅支援という。
それがどうも、亜急性期1だけで、ほとんどだったので、在宅支援も入れようということで、3つの機能を、便利に使える病棟として、この地域包括ケア病棟ができたんですけれども、
100%、ポストアキュートだけがあるということに対しては、少し何らかを考えなきゃいけないかもしれない。これは皆さん方で考えていただければいいんですけど。
私は、この評価をする限り、平均在院日数1週間の病棟の検査、手術、リハビリ、重症度と、平均在院日数が30日の所を同じ指標でやっても、当然これは出てきますよ。
じゃ、何もしてないか、してないことないですよ。実際、現場を見ていただければ、ボーっと寝てる人って、ほとんどいませんよ。だって、在宅復帰しなきゃいけないですし、帰さなきゃいけないし、回さなきゃいけないんですから。
だから、その評価ができるような評価を今度、次の調査の時には入れていかないと、いつまでたっても、ここから出てこなくって、なんだなんだって、逆に言われっぱなしになってしまうと思うんですね。
特に、リハビリに関しては、生活リハビリテーション的な短時間のリハで非常に有効な成果を挙げているという、これ、データも出てますから、ぜひ、そのへんも活用しながら、評価していただきたいなと思います。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
松本委員、いかがでしょうか。
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〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
あの、やはり、いろんな幅がある。これだけ医療機関がありますと、いろんなことをやってらっしゃって、
先ほど、冒頭申し上げましたけど、それなりの成果を挙げているということについてはまた評価をしております。
ただ、本当に、委員がご説明になったような方ばっかしなのかどうか。(委員ら、笑い)
あるいは逆に、(今回の調査で)正直に、「経営に資する」ということを正直に答えていただいているということはあります。前にも申しましたけども、非常に正直でよろしいとは思いますけれども、
逆に、そちらにシフトする医療機関があるとすれば、それはちょっと悲しいなあ、というのがあるもんですから、
多くの医療機関は真面目に取り組んでらっしゃると思います。
それともう1点。最後に、池端委員がおっしゃったリハビリのことですけれども、これは、「過去7日間に何回あったか」とありますけども、
実際、ああいう表がどうなのかというのは、私はね、よく分からないんですよ。あたかもこう、何もやってないような感じも受けるんだけども、本当にそれでいいのかどうかと。
かつてリハビリが問題になったのは、平成18年の時に、介護(維持期のリハビリ)を180日でバサッと切った時に、多田(富雄)先生だったですかね、一生懸命リハビリをして、
「リハビリをやると良くなる」というよりかは、「維持するため」の、「それ以上悪くならないため」のリハビリというのがあるんだということをおっしゃって、当時40数万人の署名が集まったことを僕は覚えてますけれども、
ああいうとこの評価をどうするかというのは、なかなか難しいなあという感じがしておりまして。
ですから今、そういう、先生がおっしゃったように、1日(の中で)少しずつやっている、ポイント・オブ・ケアというのをやってて、それが成果があるんだということについて、あるんであれば、
それも、もっとリハビリ学会あたりの所できちっと評価していただく、あるいは学会のほうで評価していただいて、世の中に知らしめていただければと思います。以上です。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
ちょっと追加でよろしいですか。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、池端委員、どうぞ。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
おっしゃるとおりだと思います。
ただ、初めてリハビリを包括的に、リハビリテーションを認めた病棟なんですね、これ、地域包括ケア病棟というのは。
今まで、じゃあ、どうやっていたかと言うと、20分やって、時計を置いて、ポッとやって、20分たったら、「はい、20分」ってやって、
もう、それはちょっと違うんじゃないかと。そういう(単位数に縛られない)リハビリをやろうということで、地域包括ケア病棟が包括的に最低2単位以上やりなさい、
あと、やるときは6単位でも8単位でも、やるとこはやって、5分でもいい人は5分を何回か繰り返してやって、その平均で2単位以上あればいいよっていうことで、非常に良くなっているということを聞いています。
これは、地域包括ケア病棟の協会の(仲井培雄)会長なんかもデータをお示ししているので、もしあれだったら、そのデータもまたここで出していただいて、と思いますけれども、
ぜひ、包括的リハビリの良さをご理解いただきたいと思ってます。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。じゃ、ほかの論点、石川委員、どうぞ。
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〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
17の所でですね、17の表でですね、
これは地域包括ケア病棟を届け出ている理由という所にですね、まあこの、私は、
最も該当するものっていうのは、これはあんまり、これは見ないほうがいいと思うんです、これ。(委員ら、笑い) あまり、リアルでないと思うんですね。複数回答のほうをよく見ていただきたいでね。
例えば、私なんかも、この病棟を届け出ているわけなんですけれども、それの一番の趣旨はですね、この真ん中の、要するに「ニーズに合った」とかですね、
それから、「他の(入院料の)病棟と組み合わせることで、患者の状態に即した医療を提供できるため」っていう、ここらへんの高い所の指標がありますよね。
この3つぐらいの所ですね。この真ん中の3つがですね、主な理由なんですよ。
それで、一番上にあるですね、「経営が安定するため」っていうのは、これは本当に、まあ、こういう目的ももちろんありますけれども、これは結果としてこういうふうになったっていうふうに、僕なんかは考えてますね。
で、そういうふうに、この地域包括(ケア)病棟はですね、自分たちの所できちんと回せばですね、こういうことはちゃんとできるというふうに私は今回、読みましたけど、そういうふうに結果を読んだということ。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、神野委員。
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〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
じゃ、別な話ですけども、
33で、前から(資料として)出ている入棟と退棟先の話が出てて、
で、この地域包括ケア病棟の特徴として、死亡退院は下から3番目にあるように3.5%と、ごくごくわずかであるというのが、ここに出てるわけですね。
で、今日、今回、事務局の最後の「論点」の所で、
○ 地域包括ケア病棟に求められる機能をさらに推進する観点から、現状の自宅等からの患者の受入や在宅医療の提供状況、入退院支援の実施状況、入院中の患者に対するリハビリテーションの実施状況等を踏まえ、入院料1・3の実績評価の要件等について、どのように考えるか。
「1・3の実績評価」をどうするのか、という話が出ておりましたけれども、
今度、14枚目に、実際の……、今回の、特に、実績部分がありますけども、
その中に、1・3に関して、看取りに対する指針を出しなさいということを挙げているわけじゃないですか。
で、一方で、わずか3.5(%)の死亡率、死亡退院が3.5(%)であるということで、これ、どっちかっていうと、皆さん、地域包括、さっき、ADLが良くなったって話をしましたけど、
みんな前向きに入っているところに、この看取りの要件っていうのが、看取りに対する指針要件というのが本当に必要だったのか。
この最後の論点からしたらね。これ、必要だったのかを検証しなきゃいけないのかなというふうな気もするんですけど、いかがでしょうか。
事務局のほうでなんか、看取りに関しては何らかのデータって、出てるんでしたっけ? 今回、なかったよね。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。
ここの「看取り」という表現がちょっとイメージがずれるような部分があろうかと思いますが、
要は、医政局のほうで取り組まれておりますACPの指針に基づいてというようなことを要件とさせていただいているところでございまして、
そのACPが必ずしも、その、要は、いわゆる従前で言う「ターミナル」だけを対象にしたものではなくて、そういうふうな治療方針等をちゃんと話し合うという要件を求めさせていただいているところでございますので、
そこで、「看取り」と書いてるところの表現のほうがどちらかと言うと、そぐわないのかなというふうに思っております。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
よろしいですか。ほかいかがでしょうか。
はい、じゃ、池端委員。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
これは全然別、質問なんですけれども、22ページにあります、当該病棟の手術の……
これ、前回(平成28年度改定で)、手術が包括から外されたということをどう評価するかということなんですけれども、
これを見ると、入院中の手術は同一医療機関内の他病棟で実施されたものを含むという、含んで、なおかつ「実施あり」が22~23%という理解になるかと思うんですけれども、
じゃ、本当に当該病棟で手術をした例って言うと、先ほど、患者票で出てきた自宅、介護施設から来た方っていうことが、当該病棟で手術したってことになるのか、それとも、ほかにそれを見る図表とか数字があるのか、ちょっとそれをお伺いしたいんですけれども。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
じゃ、事務局、お願いします。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。
今、ご指摘ありました34枚目の所で、
自宅から来た場合、もしくは他院から来た場合に関しましては、「当該地域包括ケア病棟の入院されている方の手術」という解釈でございまして、
一番上の「自院」の場合に、一般(病床)でやってるのか、地ケア(=地域包括ケア病棟)でやっているのかというのはちょっと今日、私どもで今、持っているデータではできませんけども、今後、分析等はできるというふうに思っております。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
それをやっていただかないと、当該病棟に手術を認めたことにどれだけ意義があったかということが出ないかと思うので、ぜひ、できれば次回に、お知らせいただきたいと思うんですけど。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、よろしくお願いします。ほか、いかがでしょう。
はい、松本委員、どうぞ。
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〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
ありがとうございます。健保連の松本です。
ちょっと話、戻りますけど、神野委員がおっしゃった、例の要件の所で、死亡退院が3.5%と少ないということですけども、
私も事務局が説明したように、医政局でやっているアドバンス・ケア・プラン(ニング)、(愛称)「人生会議」というところで、治療方針をいろいろ元気なうちといいますか、入院した時からということで、
何も人生の最終段階ということだけでなくてということで、やはり必要なことだと思いますし、要件は1つじゃなく、全部にかけてもいいんじゃないかと、私はね、そういう具合に感じてます。
で、特に保険者としても、人生会議というのは非常に重要なところなので、健保連としても、いろんな広報があってから人生会議ということについても、皆さん、今のうちから考えましょうよということを、これから先、どんどん進めていく必要があるだろうということで考えております。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、神野委員。
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〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
まさに1、3だけにかけた看取りの指針について、1、3だけにかけた意味があるかという、おっしゃるとおりの意味で、全部取るか全部付けるかなのかなという気もいたしたわけであります。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ほか、いかがでしょうか。はい、石川委員。
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〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
先ほど、池端委員のおっしゃったことなんですけど、11ページのスライドに、今回の診療報酬改定で、包括範囲から手術、麻酔にかかる費用を除外というところですよね。
これと関係してですね、34のことを言ってるんだとしたらですね、(この分科会の親会議である)中医協(基本問題小委員会)の議論の、先生方の議論の中で(使用する場合)はですね、この整形外科的な手術より、もう少しですね、細かな分類で出していかないと、全然議論にならないと思うんですよね。
ですから、ぜひ、
おそらくですね、自院の中の病棟で手術して、要するにオブザベーションするための一定の期間ですね。オブザベーションするための病棟利用ということもあるのかもしれないので、そこらへんは詳しくやらないと、参考にならないと思います。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、菅原委員、どうぞ。
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〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
ありがとうございます。
これは1つ、事務局に確認なんですけれども、24コマ目ですかね。
24コマ目のリハビリテーションの実施状況というところで、先ほど来、お話があったところで、要は、この最初の所の「実施している疾患別リハビリテーション」、
「(いずれも実施)していない」が33%あって。ただ、これは今までのご説明ですと、リハビリテーションの病棟の、ある程度の在院日数が長い中で、調査期間が過去7日に遡った場合だと、こういう結果になるんだと。
それはある程度理解するんですが、この3つ、円グラフが出ている中で、右2つは「過去7日間」という注意書きが入っていて、一番左はそれが入っていません。
というのは、この一番左の図っていのは、今、先ほど言った話じゃなくて、入院期間全体の中で実施している疾患別リハビリテーションが、「いずれも実施していない」が33%ということなのか、
過去7日、これについても過去7日のものなのかということだけ、しっかり、ちょっと確認をしたいんですけど、よろしくお願いします。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
事務局、お願いします。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。一番左の絵に関しましては、過去7日ではなくてトータルでございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
よろしいですか?
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〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
あ、分かりました。だとすると、やっぱりこれ、過去7日目、全体としてリハビリテーション実施状況、33%、
3分の1、リハビリやってないっていう状況は、やっぱり今までの説明の中では、ちょっと説明できない、かなり問題のある状況じゃないかなというふうに理解をします。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
池端委員。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
そう見えるかもしれませんけど、いや、地域包括ケア病棟というのは、リハビリが必要がなかったのに、平均2単位以上という基準なので、明らかに必要ない方も当然、入ってらっしゃる。
それが、おそらく全体を含めて3割がここに入ってるのではないかということも考えられるんじゃないかと思います。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、菅原委員。
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〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
ありがとうございます。
そういったことも分かりますが、事務局にもう1つ、じゃあお尋ねしたいのは、この今、問題になってる病棟ですけれども、どのぐらいの方がリハビリが必要とされてるかというデータは取ってらっしゃるんですか?
(委員ら、苦笑)
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
事務局、どうぞ。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
直接のご回答になるか分かりませんけど、最後にお付けしましたのが、入棟時にADLが低下している方の割合ということが、相当程度いらっしゃいますので、
それを踏まえて、どう考えるかかなというふうに思っておりまして、
全く必要ない方が3分の1というのはどうかなというふうな問題意識は持っております。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
よろしいですか。ほか、いかがでしょう。はい、牧野委員、どうぞ。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
牧野です。今のリハビリに関連して。
まず回リハのほうが入院時のADLは低くて、それが回リハでリハすることによって、かなり上がってるというのが今回の73枚目から75枚目のデータで出てるんですね。
そしてあと、地域包括ケア。ここは、全くリハの必要ない人もいれば、必要な人もいると。
必要な人に関して言うならば、施設によって回リハと同じレベルの、かなりたくさんのリハビリやってる施設もあるということが今回のデータで示されてるんですね。
それに対して、そういったリハをやることの効果ですね。
これが何の形で評価できないのかなと。もしそれが、そういったことを一生懸命やった人は、ADLがより上がってるというようなデータが今回の調査の中から見えてくるんであれば、そういったものは、より高く評価できるんじゃないか。
先ほど、池端先生がおっしゃったように、「全体のトータルの包括的なリハですよ」というのも確かにあると思うんですけども、やはり、やってる以上は、それを評価するようなことを考えるための調査も必要かなと思うんですが、いかがでしょうか。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
これは、そういったデータは出せるんでしょうか。
事務局、どうですか。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。
今、私どもが評価というか、使えるデータとしては、このADLしかないので、「それ以外の指標を用いて」ということは難しいところではございます。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
(発言)いいですか?
牧野です。
今の、例えば、患者票の中から、そこでやったリハの単位数と、入院時と退院時のADL、これを掛け合わせるような格好で見ることはできませんか?
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
事務局でございます。ADLとリハビリの掛け合わせの分析は可能です。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
お願いします。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、池端委員。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
それはぜひ、私もあるといいかなと思う。
ただ、一方で、回リハと地域包括ケアのリハビリを単純に比較すると、こちらは出来高なんですね、回リハは。
こちら(地域包括ケア病棟)は、(リハビリが)包括なんで、そのへんは、ある程度、加味しないと、それはちょっと不公平感が出るかなと思うので、よろしくお願いします。
(委員ら、笑い)
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
ほかは、よろしいでしょうか。はい、松本委員、どうぞ。
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〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
スライド45の論点のことについて、皆さん、発言がなかったんですけども、
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料【論点】
〇 地域包括ケア病棟に求められる機能をさらに推進する観点から、現状の自宅等からの患者の受入や在宅医療の提供状況、入退院支援の実施状況、入院中の患者に対するリハビリテーションの実施状況等を踏まえ、入院料1・3の実績評価の要件等について、どのように考えるか。
入院料1、3の実績評価の要件についてということで、論点のところ、ありましたけども。
スライドの21にありますように、在宅医療等の提供状況に関する実績部分につきましては、要件の①と④を満たしている割合が非常に高い。
一方、要件の②と③は、ほとんど算定されていないというのがスライド21に示されております。
その要因を分析する必要があるんじゃないかという感じはしております。
その要件として、今、示された要件が現実的なものかどうか、あるいは見直しも視野に入れたような格好で分析をお願いしたいと思います。
具体的にどうすればいいかというのについては、ちょっとまだ知恵が出ませんけども、やはりこのままでは、一応要件として①②③④と、②③がほとんど算定されていないというのは、これ、いかがなものかなという感じがするものですから、一応、意見です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、続きまして3の「回復期リハビリテーション病棟入院料」から4「その他」までの部分ですが、ご質問、ご意見等を承りたいと思います。
(後略)