看護補助者は「医療関係の業務に携わる方」ではない?


 看護補助者は「医療関係の業務に携わる方」に含まれないのだろうか。厚生労働省労働基準局の安里賀奈子企画官は7月18日、「医師、看護師等の宿日直許可基準」の対象者を「医療関係の業務に携わる方」とした上で、「電話対応や会計などのみを行う事務職の方は必ずしも通知の対象となるものではない」との解釈を示した。看護補助者については、「実態を確認しながら各監督署で対応する」とした。【新井裕充】

 厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)の医療部会(部会長=永井良三・自治医科大学長)を開き、「医師の働き方改革の推進」をテーマに挙げた。その参考資料として、7月1日付の通知「医師、看護師等の宿日直許可基準」などを添付した。

 質疑で、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)が「等」の範囲について質問したところ、安里企画官は「医療関係の業務に携わる方をイメージしている」と答えた。そこで猪口委員は、看護補助者が対象となるかを質問。安里企画官は「病院の中での働き方の実態がさまざま」とし、「各監督署で対応する話」と答えた。

 詳しくは、以下のとおり。

20190718医療部会2

[木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長)]
 本日、個別には触れられていませんけれども、この参考資料の「1-1」から「1-4」までに、行政から非常に重要な通知が出ているのを拝見いたしました。

 特に、参考資料「1-4」(院内保育等の推進について)というのは7月の1日に出されたということで、拝見しますと、非常に女性医師の立場からですね、こういった通知が出されることを高く評価して、とてもありがたいと思っております。

 この通知の文面には、職員だけではなくて地域住民も利用できる仕組みについて、きちんと行政と連携しながら進めるという、非常に重要な考え方が書いてあります。

院内保育等の推進について

 平素より厚生労働行政の推進に当たり格別の御理解を賜り、御礼申し上げます。
 さて、厚生労働省では、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)を受けて「医師の働き方改革に関する検討会」を設置し、医師に対する時間外労働規制の具体的な在り方、労働時間短縮策等について議論を重ね、本年3月に報告書をとりまとめました。
 この報告書では、「女性医師等が働きやすい環境の整備の推進」の重要性についても記載されており、その具体策の一つとして院内保育所の設置を通じた院内保育や院内病児保育等(以下「院内保育等」という。)が挙げられます。
 この院内保育所の設置を通じた院内保育等について、今後更に進めていくに当たり、院内保育等に関する現状、支援策、留意点等について下記のとおりまとめましたので、これらを参考にしながら、医療機関における院内保育等の導入を推進していただくようお願いします。
 また、院内保育等において保育の受け皿として地域の児童の受け入れを行うことが、地域貢献や事業の運営基盤の強化につながることも考えられます。管下の医療機関に対し、院内保育等の実施の検討の際に、保育行政を担う市町村(特別区を含む。以下同じ。)と連携を図ることによって、より効果的・効率的に実施できる可能性があることを、合わせて、周知いただくようお願い申し上げます。
 この通知は厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室及び保育課並びに内閣府子ども・子育て本部とも協議済みであり、別途、各都道府県を通じて市町村の保育担当部署にも情報提供されていますので、各都道府県におかれては、保育担当部署とも連携をとった対応をお願いします。

 非常に出生数が人口減少ということで不足していますけれども、こうした取組が社会全体の、自治体の人口減少を食い止めるためにも有効な施策と思われますので、ぜひこちら、緊急に取組を進めていただきたいと思います。

 ただ、保育には多くのコストがかかりますので、なかなか病院としては腰が重いと思います。何らかのインセンティブをぜひ付けていただきまして、ぜひ今後の整備状況を引き続き行政としてモニタリングしていただきながら好事例を挙げまして、ほかの施設の取組にもつなげるように強く働きかけていただきたいということで、強く要望したいと思います。

 どのくらいの医療機関で、どこでどういう保育が受けられるかということ、私たちが知りたくてもなかなかそういった情報がありませんので、ぜひそういったリストを作っていただいて、女性医師が復帰しやすいような環境づくりをより進めていただきたいと思います。以上です。
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[永井良三部会長(自治医科大学学長)]
 はい、ありがとうございました。まだ、ご意見おありかと思いますが、それでは・・・
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[猪口雄二委員(全日本病院協会会長)]
 すいません、1つだけ質問なんですが、ちょうど今、この7月の1日に出ました基準の通知についての質問なんですけど、宿直の規定についてですね、「医師、看護師等」と書いてあるんですが、「医師、看護師等」の「等」というのは一体どこまでを指すのかということを教えていただきたいと思います。

医師、看護師の宿日直許可基準について

 医師、看護師(以下「医師」という。)の宿日直勤務については、一般の宿日直の場合と同様に、それが通常の労働の継続延長である場合には宿日直として許可すべきものでないことは、昭和22年9月13日付け発基第17号通達に示されているところであるが、医師の宿日直についてはその特性に鑑み、許可基準の細目を次のとおり定める。
 なお、医療法(昭和23年法律第205号)第16条には「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」と規定されているが、その宿直中の勤務の実態が次に該当すると認められるものについてのみ労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「規則」という。)第23条の許可を与えるようにされたい。
 本通達をもって、昭和24年3月22日付け基発第352号「医師、看護婦等の宿直勤務について」は廃止するため、了知の上、取扱いに遺漏なきを期されたい。

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[永井良三部会長(自治医科大学学長)]
 事務局、お願いします。
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[厚労省医政局医療経営支援課医療勤務環境改善推進室・安里賀奈子室長]
 医療勤務環境改善推進室長の安里でございます。労働基準局の労働条件政策課の医療労働企画官も兼ねていまして、この通知の「等」の範囲について解説させていただきます。

 まず、こちらの宿日直許可基準でございますが、今回、医師の働き方改革での議論を受けまして、通知の中の表現が古いということで現代化を図って、改めて通知したものでございます。

 通知の範囲については、これまで出しておりました通知の範囲と変えているところはございませんで、こちら、「等」に入っておりますものとしては、基本的には、例えば、診療放射線技師、臨床工学技士、臨床検査技師、薬剤師、保健師、助産師など医療関係の業務に携わる方をイメージしております。

 で、一般の、一連のですね、患者対応に携わらなくて、電話対応や会計などのみを行う事務職の方、一般の事業場と同じ働きをされる事務職の方は必ずしも通知の対象となるものではないというふうに思っておりまして、

 これまでも、こうした事務職員の方は一般的な宿日直許可、こちらの基準がございますけれども、それを基に許可を得ている例が多いかと思いますが、その取扱いが今回、何か変わるものではございません。
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[猪口雄二委員(全日本病院協会会長)]
 そうしますと、「医療的な資格のある方」というふうに理解すればいいんですか? 例えば、「看護補助」という方とか、どうなんでしょうか。
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[厚労省医政局医療経営支援課医療勤務環境改善推進室・安里賀奈子室長]
 ええとですね、実際に、どのような働き方をされているか、「看護補助」と一口に言いましても、病院の中での働き方の実態がさまざまだと思いますので、実態を確認させていただきながら、各監督署のほうで対応していただく話になってくるかと思います。
.
[永井良三部会長(自治医科大学学長)]
 よろしいでしょうか。ちょっと時間、押しましたので、また後ほど、ご意見をお寄せいただければと思います。

 (後略)

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