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妊産婦に対する診療の評価、「更なる検討を進めることを期待」
事務局 厚労省保険局医療課・森光敬子課長
ご説明をさせていただきます。資料「3-1」、「妊産婦(に対する保健・医療体制の在り方に関する)検討会」議論の取りまとめ概要というのをご覧いただきたいというふうに思います。
「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」の議論の取りまとめについてご報告をさせていただきます。この「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」につきましては、平成30年度の改定の際に、妊産婦に対する慎重な対応、それから胎児や乳児への配慮した診察を評価するという形で妊婦加算というのができました。
これが年末に「妊婦加算の凍結」という形で決着をしたわけなんでございますけれども、これについては、やはり妊産婦に対する保健・医療全般に関して、しっかりその背景等をですね、課題、現状を踏まえた形で進めていかなければいけないということで、この検討会が立ち上がったという状況でございます。
まず、(議論の取りまとめ)の概要の(資料の)ですね、最初の(ページの)所にありますように、2つ目でございますが、
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「出産年齢が上昇傾向にあり、一般に、高齢出産の場合には、特に健康管理に留意が必要とされるなど、妊産婦のニーズに応じた細やかな支援が重要」というような認識のもとに、まず、この妊産婦に対する保健・医療体制の在り方について検討会が行われました。
構成員は、そこに書いてあるとおりでございます。「検討のスケジュール」というふうに書いてありますように、5回の検討をさせていただいてございます。
「検討事項」として、先ほど申し上げましたように、保健・医療体制のニーズに対する把握、それから安心できる医療体制の充実について、それから健康管理の推進、そして保健・医療体制に関する連携等について議論をしていただいた、というところでございます。
また、「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」としまして、実際の妊婦さんに対してアンケート調査を行いまして、約2,000名の方からアンケートの回答があったということで、それをもとに議論をしていただいたものでございます。
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4つのグループに分けて取りまとめ
議論の取りまとめ、次(2ページ)を見ていただきますと、
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議論の取りまとめにつきましては、まずそこにありますように、妊産婦が安心できる医療体制の充実、健康管理の推進を含めた妊産婦に対する保健・医療体制の在り方について検討を行っていただきました。
で、中央社会保険医療協議会においては、この妊産婦に対する診療の評価の在り方について、「更なる検討を進めることを期待する」というまとめになっております。
また、「国においては、妊産婦に対する保健・医療体制を構築するため、関係機関と協力・連携の上、引き続き取り組んでいくべきである」というまとめを頂いております。
まとめにつきましては、そこにありますように、「相談・支援」「医療提供」、そしてその「連携体制の構築」、「健診や診療の評価」という4つのグループに分けて、取りまとめをさせていただいております。
左側が現状と課題、そして右側がそれに対する意見と方向性ということでございます。
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妊産婦の不安や負担は時期によって異なる
「相談・支援」につきましては、「妊産婦の不安」ということで、これは例えば、栄養や食事に関すること、それから、授乳に関するようなこと、ということで、その不安や負担というのは時期によって異なる。
また、そこにありますように「産婦の不安解消には産後ケアが有効」というようなご意見があり、それに対して、右手に書いてありますとおり、「不安を感じる妊産婦が相談できる仕組み」、これをしっかり構築していこう。
また、「(妊産婦メンタルヘルスケア)マニュアル」の作成等、産後ケア事業の推進といったことを進めてはどうか、ということで意見がまとまっておるところでございます。
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コモンディジーズにも対応するのは苦しい
「医療提供」につきましてでございますけれども、「妊産婦の診療の現状」というところでございますけれども、これは妊婦加算の前提となりました「産婦人科以外の診療科から診療を断られることがある」というようなことがございましたけれども、
これもアンケート調査から、やはり、そういう、診療を断られるようなことがある、というようなことが、実態が分かってきています。
また、妊婦が産婦人科以外の診療科を受診する際に求める気配りとして、「診療・薬の内容について文書を用いて説明してほしい」、それから「経験が十分にある医師が診療していただきたい」、それから「母子健康手帳の確認をして指導をしていただきたい」というような意見が挙がっております。
また、産婦人科の現状として、「コモンディジーズ(風邪や花粉症等) について、他科からの診療情報の提供が少ない」、それから産婦人科の問題として、特に働き方改革の中でも産婦人科は非常に労働時間が長いというようなことがあり、そういう分娩取扱施設も減少しているというような中で、コモンディジーズについても対応するというのはなかなか苦しいという現状が出ております。
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産婦人科以外の診療科との連携が重要
また、産婦人科以外の診療科の現状ということで、「診療の際に様々な配慮が必要であり、診療を敬遠しがち」、「妊産婦の診療に関する研修機会が少ないので不安がある」、「妊産婦に処方できる薬剤かどうか情報が非常に少ない」といったような現状、課題が出されておりました。
それに対してはやはり、右側でございますけれども、産婦人科以外の診療科と産婦人科の医療機関の連携、これが重要であり、特に、妊産婦の診療に積極的な医療機関の把握・周知、これを都道府県が主体的に地域の医療機関間の連携体制を検討し構築していくということが必要であろう。
また、母子健康手帳等を活用した診療科間の情報連携というのも進めてはどうか。それから、診療の質の向上に向けた取組として、医師に対する妊産婦の診療に対する研修を推進したり、診療や薬に対する説明文書の例を作成する。それから、妊娠と薬に関する情報を医師へ提供する体制の整備・周知をしていくといった取組を推進してはどうか、というご意見が出されておるところでございます。
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「子育て世代包括支援センター」の設置を推進
次をめくっていただきまして、「連携体制の構築」ということで、特に妊産婦の中でも支援を必要とする妊産婦への対応というのが重要である。
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特に、妊娠期から子育て期まで一貫してつながる支援が必要だろう。利用できる施設や制度について十分に知られていないということもあり、それもあわせて知らせてはどうか。
それから、周産期のうつ病。これは平成30年度の改定の際にも特に課題となったことでございますけれども、周産期のうつ病を抱える妊産婦について、これは医療機関と行政機関の連携が重要である、というようなご意見が出されておりました。
また、母子健康手帳についても広く活用していきたい、必要がある。特に、これは自治体のほうからありましたけれども、今、妊産婦のうちの10数%、多い所ではもっとでございますけれども、外国人の妊産婦がそれだけを占めているというようなことがあり、そういう方への周知、それから説明というのが非常に重要になってくる、というようなことが課題となっておりました。
これにつきまして右側でございますけれども、「妊娠期から子育て期までつながる支援」ということで、「子育て世代包括支援センター」の質の向上と設置の推進を進めてはどうか。
それから、「母子健康手帳の活用」ということで、多言語化を進めてほしいというようなこと、意見がございました。
4県で、費用の一部を助成する制度がある
それから、「健診や診療の評価」ということでございますが、「妊婦健診、産婦健康診査」では全ての市区町村で14回以上の公費負担制度を実施しているということでございますが、健診内容によっては公費助成を超えるため一部自己負担が生じるということがございます。
また、「妊婦健診以外の診療」という意味での評価につきましては、妊婦健診以外に偶発合併症等の診療の費用も生じる4県ある状況でありまして、全国のうち4県において所得に応じて妊産婦の診療に係る費用の一部を助成しているという制度があるという状況でございます。
これにつきまして、「議論の取りまとめ」として、妊婦健診、産婦健康診査については、公費補助額を超える自己負担が発生しないような工夫をしよう。それから、妊婦の同意に基づく自己負担が可能となる取組をしようと。
また、「産婦健康診査を拡充してはどうか」というご意見があり、これについては「引き続き検討してはどうか」というご意見を頂いております。
また、診療に対する評価ということでございます。これは平成30年度の改定の際に・・・、改定につくられました妊婦加算について、「単に妊婦を診療したのみで加算されるといった、前回と同様の妊婦加算がそのままの形で再開されることは適当でない」、
また、「妊産婦の診療において質の高い診療やこれまで十分に行われてこなかった取組を評価・推進することは重要で、具体的な要件や名称については、中央社会保険医療協議会で議論してほしい」、
また、「妊産婦が受診する際の負担が、これから子どもを欲しいと思う人にとって、ディスインセンティブとならないようにすることが必要であり、他の受診者との均衡や政策効果といった点を勘案し、引き続き検討すべき」というご意見を頂いたところでございます。
これをさらに、検討会の報告にもありますように、中医協等で議論していくということでございます。
以上、報告をさせていただきました。
座 長 遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はい、ありがとうございました。
さて、ご意見、ご質問・・・
松原委員、どうぞ。