マイナンバーカードの保険証利用に暗雲、関係者は後ろ向き


事務局入場_20190612医療保険部会

責任の所在は、われわれ保険者ではなくて国にある

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)_20190612医療保険部会 マイナンバーカードにつきまして、ちょっとお話しさせていただきたいんですが、まず「保険者毎の被保険者のカード取得促進策を本年8月を目途に公表する」こととされていますが、

 その中で、まず1点確認と、2点意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず最初、1点目の確認なんですが、オンライン資格確認等の円滑な実施に向けて、保険者としても、もちろん加入者のマイナンバーカードの取得に協力していきたいとは思っておりますが、

 ま、これ、そもそも、国民のマイナンバーカードの取得促進についての責任の所在は、われわれ保険者ではなくて、国にあるというふうに考えております。

 この点について、事務局のほうの認識も相違ないのかどうか。念のために、まずは確認させてください。

遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 事務局、お願いいたします。

厚労省医療介護連携政策課・宮崎敦文課長(医政局、老健局併任)

 あの・・・ 保険者に先駆的に負わすということではなくてですね、政府全体として、マイナンバーカードの取得促進を図っていくということでございまして、この閣僚会議そのものがまさにそうでありますので、

 またこの内容も、保険証の機能を利用するというのは1つのコンテンツではありますけれども、それが全てではなくて、種々のコンテンツが入ってカードを普及させていくというのが、政府として取り組んでいくところでございます。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)

 はい、ありがとうございます。
 
 その上で、まず意見の1点目なんですけれども、私ども協会けんぽ、加入者に225万の事業所があります。その225万の事業所に郵便を1通送るだけでも2億円近いお金が掛かる。ということも、まあ、一応考慮に入れていただきたいということもあるんですけれども、

 このマイナンバー取得促進策というものも、やはりわれわれ保険者の意見を十分に聴いた上で、ぜひ策定していただけたらいいなというふうに思っております。

 そして2点目なんですけれども、マイナンバーカードの取得を促すためには、取得をすることで得られる国民のメリットを十分に説明して、そして理解をしていただくことが必要ですので、

 ここの部分につきましては、やはり国が率先してですね、PRを行っていただきたいなというふうに思います。

 メリット、そして利便性、いろいろあるとは思うんですが、まだ、いま現在、なかなか、皆さんが納得する、できるようなものが伝えられてないかなあというふうに感じておりますので、

 その点、ぜひ、よろしくお願いしたいなと思います。以上です。

遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 ありがとうございました。では、お待たせしました。森委員、どうぞ。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)

 はい。ありがとうございます。

 資料「1-2」の所の、マイナンバーカードの所なんです。

 1点目の質問は、先ほど遠藤委員と同じでですね、令和4年度中に全ての医療機関、薬局、はどういうふうに考えているのか、これはお答えいただきましたので大丈夫。

 ただ、導入している所、それから、まだできていない、していない所というのができるとですね、国民が非常に混乱をすると思いますので、(資料1ページの)下のほうでも、十分な「支援を実施」すると書いてありますけれども、ぜひ、国のほうでも支援をお願いしたいと思います。

 それから、あとは、そうは言ってもですね、全てできるかというと非常に難しいところもあると思いますので、そうなったときの国民への周知と言いますか、全てではできないことも含めてですね、何かそういう対応を取らないと国民が困ってしまうのではないかというふうに思いますので、お願いしたいと思います。
 
 で、もう1点はちょっとお願いでですね、
 資料「1-1」(改正健保法の概要)のほうなんですけども、これあの、前回、資料「1-1」の、えっとですね・・・

 3ページ目(オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設)です。3ページ目の「医療情報化支援基金(平成31年度)の対象事業」の所で、

03_20190612_医療保険部会資料「1-1」

 前回、この2番ですね。「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援」の所で、薬局も対象になっているかということで、「この事業に関しては対象になっていない」ということで、

 薬局における調剤情報を医療機関と共有することも非常に重要なんで、ぜひ、ご検討願いたいというお話をさせていただいたんですけども、

 そのあと、少し、帰って調べてみました。まず、そうしたこと、薬局間、それから薬局と医療機関間で連携できるようにするためにはですね、標準化形式という開発が必要なようです。

 その上で、標準化形式に対応したシステムの開発が必要になり、薬局では標準化形式に対応した、要はそういうシステムの導入が必要になってくるということでした。

 あの、いろんな所でいろいろ動いているんですけれども、ぜひ全体の負担がないということも考えて、一度ですね、ちょっと全体を整理をしていただいて、どういうことが必要なのか。

 それで、きちっと連携が取れるような体制への支援をぜひお願いしたいというふうに思います。これは要望です。以上です。

(中略)

医療等のIDカードは保持すべき

松原謙二委員(日本医師会副会長)

 2つほど。

 1つは、私どもが健康保険証の存続にこだわっているのは、前から申しましたように、今回、健康保険証自体がその人の医療を代表する、医療においてのIDカードになり得るという、つまり、個人番号でやれるということでございます。

 何度も言いますけれども、どの先進国も、ID番号で、1つで、その方のデータを集めている所はありません。

 エストニアやアイスランドはそのようにしてますけど、前にも言いましたけど、アイスランドは遺伝子データも吹き飛ばした国であります。

 どう思っても、私ども、最近、がんの遺伝子パネル検査やいろんなものが実現化すると、個人の遺伝子の情報というのは、かなり、この30年の間にほとんどが分析されて、データ蓄積される日が来ます。

 その時に、マイナンバーカードでそれをやるっていうような国はありません。あくまでも、その医療等IDカードを使って、そことマイナンバーを、国が持って、責任を持つのでは、いろいろなやり方があるとは思いますけれども、

 どこかに流れてしまったら、自分の遺伝子データが出て、どの胃がんになる、肝臓がんになる、精神疾患、うつ病をはじめ、そういったものも全てがどのようになるということが明らかになる時代がもはや目の前に来ています。

 そういったものに使うことと、経済的な利便性で使うことは、やはり切り離して行うべきであり、医療等のIDカードというものは、先進国と同じように保持すべきだと思いますし、その代表が健康保険の番号だと私どもは思っています。

 (後略)

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