地域包括ケア病棟めぐり議論、「いかがなものか」「医療経営だ」── 中医協分科会


松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)

 (前略) スライドの34(地域包括ケア病棟・病室を届出ている理由)と35(地域包括ケア病棟・病室の利用に係る趣旨)をちょっと見ていただきたいんですけども、
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34_2018年度調査結果(速報)

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 地域包括ケア病棟で、どうしてそれをやってるか、というところで、正直に「経営が安定するから」と回答をいただいた所に、大変、敬意を表しています。

 それで、この地域包括ケア病棟がなぜできたかというのは、スライドの35にありますけども、
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35_2018年度調査結果(速報)

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 在宅医療の後方支援として、急変時の入院先として利用するという、そういうところで私はできたんじゃないかと思いますけども、

 実際のところ、一番多いのは、自分のところ、「自院の(急性期)病棟からの転棟先として利用している」っていうのは、本来、この地域包括ケア病棟を置いた趣旨からすると、いかがなものかという気がいたしまして、

 この点についてもひとつ、要件の見直しとか、そういうことも一度考えてはいいのではないかという感じがいたしました。ありがとうございます。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 ありがとうございます。牧野委員、どうぞ。

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牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)

 今の意見に対してですけども、地域包括ケア病棟が自院の急性期病棟からの転院先としての利用、これが本当に悪いのかということ。

 要は、急性期の例えば7対1という、大変お金のかかる、コストのかかる病棟から、そうでない所に移すと。

 それは、ほかの病院であっても自分の病院であっても、やっぱりそういったところに転換すると、患者さんを移すということは、やっぱり意義があることじゃないかというふうに私は思っております。

 特に今、いろんな地域があって、その同じ地域の中で、そういった回復期の病棟のある所、ない地域、いろいろとあるわけですから、そういったいろんな地域のことを考慮したときに、やっぱり自分の、自院の中でですね、そういった対応を取るということを決して非難されるべきでは僕はないというふうに思います。

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石川広己委員(日本医師会常任理事)

 よろしいですか。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 はい、石川委員どうぞ。

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石川広己委員(日本医師会常任理事)

 全く同じでですね、保険の制度の中で、患者さんの重症度と、それから保険の点数と、そういったところで院内の中であろうと、それから地域連携であろうと、そういう患者さんが適切な医療、看護ができるところに回るっていうことは、これは保険制度の中で当たり前のことで、これは医療経営なんですよ。

 だから、これは私の所もそうですけれども、自院の中で、こうやって、患者さんの重症度に合わせて回していくというやり方は、これは妥当だというふうに思ってます。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 池端委員、どうぞ。

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)

 私もそう思ってたんで、先ほど、あえて評価はしなかったんですけども、ただ、1点だけ気になるところがある。

 81ページ(入院料ごとの入院継続の理由)の、「入院継続の理由別の割合」というところがあります。

81_2018年度調査結果(速報)

 これが、なぜか地ケア(=地域包括ケア病棟)だけ、「現時点で具体的な退院日が決まっているため、それまでの間入院を継続している」っていうのが一番多いんですね。

 ここはどう考えるかということなんですけども、ひょっとしたら、60日居れるから、少し長く居てもいいよねっていうところが、ひょっとしてあるとすると、

 やっぱり地ケアの中でも、かなりパフォーマンスが高い所と、そうでもない所と二極化していって、こういうことに出るのかなと、そういう深読みもできるかなと思うんですけども、そのへんは事務局はどういうふうにお考えているのか。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 ご質問ですか?
 はい。それでは課長、どうぞ。

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厚労省保険局医療課・森光敬子課長

 総体的にはいろいろ、「今後検討」という話になると思いますが、

 ただ、石川先生おっしゃったとおり、患者さんの病態に合わせて適切に、その病態にふさわしい入院、医療を提供する場所に移すというのは、もうそのとおりだというふうに思います。

 ただ、池端先生おっしゃるとおり、じゃあ、それが、この現時点で具体的なタイミングで決まってないため、そのため、何かこう、「ちょっと待機場所になってる」というようなことがあるのであれば、それはちょっと不適切なことだろうというふうには思ってます。

 だから、「転棟がどうこう」という以前に、病院の使い方、それから病状に合わせた医療のケアの提供の仕方といったときに、不適切な部分があれば、それは直していくということになるだろうというふうに思ってます。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 神野委員、どうぞ。

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神野正博委員(全日本病院協会副会長、恵寿総合病院理事長)

 ちょうど今、81ページ(入院料ごとの入院継続の理由)なので、

81_2018年度調査結果(速報)

 ここで大学病院にけんかを売るつもりはないですけども、特定機能病院で、「現時点で具体的な退院時が決まっているため」(という理由が2割以上)っていうのは、地域包括に続いて、特定機能病院、多いんですよね。

 ここは何といっても、地域医療構想では、高度急性だし、それから一番点数も高い入院料の所なので、ここのところは、ちょっと特定機能病院の話は別の会議があると思いますけども、ここのところは、ちょっと考えてもいいかなというふうに思いました。

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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)

 はい。事務局どうぞ。

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厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 事務局でございます。

 各先生からの今、ご指摘のところの1つの要因としましては、75ページ(入院料ごとの平均在院日数・病床利用率)を見ていただきますと、
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75_2018年度調査結果(速報)

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 これだけで説明できることではないかと思いますけれども、

 平均在院日数がやはり、だいぶ違うこともありまして、要は(特定機能病院の平均在院日数)12日の中でも、平均在院日数がこれだけですと、退院日が決まってる方も、相当数いらっしゃるという所と、

 比較している所の、今回でいいますと、地ケアで言いますと、平均在院日数がここでいうと25.5(日)ということで、そもそも滞在期間が長いということで、そのへんは退院日が決まっている方の、その割合ということも多少影響するのかなというとこで、

 要はその、退院日が1週間先なのか翌日なのかという差はあるにしても、退院日が決まっている人っていうのはそれぞれいらっしゃるのかなというのは、そこは事務局としては思っているところで、そこも含めて今後分析をさせていただければというふうに思っております。
 
 (後略)

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